二つの闇の世界の融合
2003/02/11 11:07
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:河内の藍影 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『鬼平』の盗賊と、『仕掛人・藤枝梅安』の仕掛人。
交わりそうで交わることのなかったこの二つが、この小説では複雑に絡み合う。盗賊と仕掛人、それぞれの世界の掟、争いが、人知れず巻き起こる江戸。その中に巻き込まれていく、記憶喪失の若い浪人・谷川弥太郎。そして、彼を発見し、彼の命を助ける弥平次。偶然の出会いだったが、時が経ち、二人は江戸でまた偶然出会う、それは闇の世界で…。
池波さんは、下町の人たちの心配りや人情を大切にしていらした方で、作品にもそれがあふれている。「鬼平」の長谷川平蔵、「剣客商売」の秋山小兵衛、そして仕掛人・藤枝梅安。結局3人は自分自身で、分身だと語られたそうだ。
ここに出てくる盗賊の小頭・弥平次も、鬼平や秋山小兵衛のように、懐が広くて、人間が大きい。他人を思いやり、それでいて人につけいらず、ふみこみはしない。そんな池波さんのダンディリズムがここにも語られていて、弥平次も池波さん自身として書かれているのだろうと感じた。
投稿元:
レビューを見る
純粋に生きているからこそ絡まる人間関係を、優しく、時には強引に導くために奔走する主人公の強さに、惹かれた。
年齢も性別も超えて慕われるキャラクターは、今の自分自身を見つめるきっかけも与えてくれる。
物語が展開するリズムの心地よさも、読後感の爽やかさも絶妙。
登場人物が多くても、うんざりしない描き方と、季節感や情景の立ち上がり方が読みやすい。
題材に親しみやすさがない分、人物の生活感が迫ってくるような丁寧さが、より感情移入しやすかった。
投稿元:
レビューを見る
江戸の暗黒街を舞台にした長編。記憶を失った浪人、その浪人を助けた盗賊、それから江戸街を仕切る香具師の世界。池波正太郎氏の描く江戸の大パノラマ世界、人と人との繋がりが現代の我々にも、よくわかる作品。
投稿元:
レビューを見る
闇の狩人、下巻もやっぱり面白い。
上巻で書いたけども
時代劇専門チャンネルでドラマ化してて感化されて
本も読んでみようと思ったわけで。
ドラマと下巻は違うとこあったけどまぁそれはそれで良し。
それにしても弥平次、カッコいいよ。
ドラマでは中村梅雀がやってたんだけど
これがまた良かった。
私を裏切らない、時代劇専門チャンネル。
私を裏切らない、池波正太郎作品。
小説の方が、もっと深い内容かなって思うけど。
とにかく裏の社会と表の社会の描写が、凄まじい。
仕掛人と盗人、そして武士と町人。
みんな同じ人間だもの。
生きるためにとか御家を守る為とか
お世継ぎとか
どの社会も同じで、思った以上に深いな。と。
とりあえず小説もドラマも
同じくらい面白いのは確か。
投稿元:
レビューを見る
盗賊達の手口、組織は相変わらずの手際良さ、盗賊組織間の争いに仕掛人の組織が絡み、加えて、記憶喪失の男を軸に男同士の関係が、、、わくわくしてついつい朝まで読んでしまった。。。2015/8読了
投稿元:
レビューを見る
L 闇の狩人下
しぶい。
どんな結末になるかとおもったら、意外にも。ある意味池波節?弥太郎、いい人いい人と周りに安心感を与える若者だったけれど、それが培われたのは記憶を失ったあとなのか。過去は本人が知らぬところで明白にはなったけれど、結局本人しか知らないところはわからずじまい。なんだかお順さんがいちばんの貧乏くじじゃないか!
元締始め、殺したり殺されたりはあっけなくサッパリ。
投稿元:
レビューを見る
江戸の世も現代も組織や対人とのしがらみに縛られて生きている。意地を張って抵抗しなくても良いのではないか。結末が良かった。2020.12.1
投稿元:
レビューを見る
盗賊の後継者争いに、香具師の縄張り争い、お家騒動が絡まって、それなりにまとまる。もう、一気に収まる。
大体いいけれど、弥太郎関連が物足りない感じだった。あれだけ引っ張った割に、あっさり。