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【期間限定価格】剣客商売七 隠れ簑 みんなのレビュー

    一般書

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    みんなのレビュー38件

    みんなの評価4.4

    評価内訳

    • 星 5 (12件)
    • 星 4 (18件)
    • 星 3 (6件)
    • 星 2 (1件)
    • 星 1 (0件)
    37 件中 1 件~ 15 件を表示

    紙の本

    死ぬまで仕合せな勘違いができるようになりたい小兵衛

    2012/01/06 14:46

    2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

    投稿者:saihikarunogo - この投稿者のレビュー一覧を見る

    『剣客商売』第一巻の書評で、私は、こう書いた。

    >60歳間近で20歳になるかならずの女性と結婚するという……秋山小兵衛って、久米の仙人の「その後」みたいな暮らしをしている。これが15歳~18歳ぐらいの娘とそんな仲になったのなら、現代の法律では許されないということを別にしても、まず、全読者から、すけべ爺い、とののしられること必定である。19歳の心身ともに健康でかつ金持ちというほどでもないが経済的にも家族の愛情にも恵まれた家庭の娘が相手だから、おもに男の読者からうらやましがられ、女の読者からも許しを得ているのだ。

    ああ、それなのに、それなのに、この『剣客商売』第七巻では、小兵衛は、おはるが十七歳で道場にやってきたときに、「手をつけた」と、なっているではないか。第一巻の記述と矛盾している。どういうことだ、すけべ爺い!!

    と、言いたいところだが……。

    第六巻が安永九年(1780年)秋~安永十年、天明元年(1781年)春の物語で、第七巻が安永十年、天明元年(1781年)春~夏の物語と、ここへきて、時間の進み具合が、ぐっと遅くなっている。なにしろ天明時代になれば、有名な大飢饉もあるし、田沼意次の失脚のときも近づいて来る。そうなれば、田沼家と関わりのある人々にもどんな不幸がもたらされるかわからない。だから、いたずら小僧的不良老人小兵衛を中心とする明るい世界を長引かせるために、このような書き換えをしたのだろう。(関係ないかもしれないけど……)

    第一話『春愁』で、桜の花の盛りの頃、小兵衛は、かつての愛弟子の仇を討とうとする。しかし、その結果、かえって、愛弟子の裏切りに気づいてしまう。

    >(ああ……わしも、いま、このとしになって、このようなことをおもい出そうとは……まだ、いかぬな。まだ、わしはだめな男よ)

    遅桜の花びらをつまみあげたおはるに答える声も、沈んでいる。事件に関わった、二十年も親しくしている刀屋の孫助に、小兵衛は、人には誰でも「二つや三つは、他人のはかり知れぬ恐ろしいことがある」と、語った。

    ちなみに、この刀屋の孫助は人相手相を見、小兵衛は九十歳過ぎまで生きる、という。何か、刀を扱う商売の人には霊感が働くという話が、江戸時代にあったのだろうか?宇江佐真理の『髪結い伊三次捕物余話』でも、刀剣骨董の店の主が、怪談じみた話を聞かせて伊三次をこわがらせていた。

    第二話『徳どん、逃げろ』は、始めは愉快な話かと思った。小兵衛も、「こういうことがあるから、長生きをする甲斐もあるということよ」と言って、ひざを叩かんばかりにうれしがっている。

    しかし、徳次郎にとっては、哀しい終わりを迎えた。こちらは裏切っていたのに、相手は真心を尽くしてくれた。小兵衛は、その真心を、「勘ちがい」によるものだという。

    >「ごらんな。太閤・豊臣秀吉や、織田信長ほどの英雄でさえ、勘ちがいをしているではないか。なればこそ、あんな死にざまをすることになった。わしだってお前、若い女房なぞをこしらえたのはよいが、それも勘ちがいかも知れぬよ」

    小兵衛、やはり、十七歳の娘に手を出したことに内心、罪悪感があるのか? いや、作者はそんなことは書いていないけれども。

    第一話、第二話と、人の裏表がもたらす悲喜劇が続いた。小兵衛は、人には裏があるから醜いとか信じられないというのではなく、そういうものとして、受け入れていこうとしている。ときには、進んで騙されようとしているようだ。小兵衛のそういう態度は、ときにはずるいが、賢く、優しく、謙虚である。

    第三話『隠れ蓑』では、「噎せ返るような新緑のにおい」がこもる夜、隠れ蓑の花が咲く頃、年老いた僧と盲目の浪人の二人連れを、大治郎と小兵衛が、襲撃から救う。この年老いた二人連れの後半生こそ、だまし続け、だまされ続けて、信頼と献身とに貫かれた、苦難と愛に満ちたものだった。一度被った隠れ蓑は、死ぬまで脱いではならない。一度騙されたら、信じたら、死ぬまで騙され続け、信じ続けるのが仕合せだ。だが、一方が死んだ後、残された者は、何をよすがに生きるのだろう。

    つい、「永遠の嘘をついてくれ」という歌を思い出す。「永遠の嘘を聞きたい」男が、遠くにいる友に、「永遠の嘘をついてくれ」と呼びかけるのだ。「隠れ蓑」の二人が、寄り添っていられたのは、「失明」という奇禍があったればこそ、だった。誰かを信じ続けるためには、何も見ないのが一番いいのかもしれない。

    第四話『梅雨の柚の花』と、第五話『大江戸ゆばり組』の冒頭で、飯田粂太郎に続く、秋山大治郎の二人目の弟子、笹野新五郎に関わる事件が起こる。飯田粂太郎は三冬の紹介だったが、笹野新五郎は田沼意次の用人の生島次郎太夫の紹介である。大治郎はよくよく田沼家と縁がある。

    笹野新五郎の顔を初めて見たとき、笑いをこらえて袂で顔をおおって逃げ出したり、後で大治郎に叱られる前に自分から謝ったり、新五郎の世話を実の親以上に焼く生島次郎太夫を見て、かつては「この男は体に血が通うておるのか」と思ったが見直したと言ったりする、三冬。夫婦のやりとりもほほえましい。

    五月雨がふりけむる昼下り(旧暦だから五月雨は梅雨の雨)、墓地に咲く白い五弁の可憐な花の名を「柚(ゆ)の花」とは知らぬまま、新五郎が「さびしげ」と感じたのは、自身の出生の秘密を知らぬ彼がその花のようだからか、新五郎が愛する人のたたずまいがその花のようだったからか……?

    第五話『大江戸ゆばり組』で、小兵衛が河童になって悪者の鼻をちょんぎったのはまたまたいたずら小僧的不良老人の面目躍如だったが、その後日談では、酸いも甘いも噛み分けて枯れきったような絵師川野玉栄に、すっかりとぼけられてしゃっぽをぬいでいる。上には上がいるものだ、と思う。

    『大江戸ゆばり組』に出て来る、囲い者になって手付金を取って一晩で手を切る方法というのは、他の作家の小説にもあった。やはり、江戸時代の文献に残っているのだろう。

    『越後屋騒ぎ』では、小兵衛のすばらしいスーパー老人ぶりが堪能できてうれしいが、事件の関係者の子供たちがかわいそうだった。

    『決闘・高田の馬場』でも、小兵衛のいたずらスーパー老人的大活躍が、特に「いたずら」が堪能できて、しかも、大治郎も「共演」し、三冬とおはるも衣装方で活躍し、これは、文句なく、楽しい話だった。

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    紙の本

    武家の苛酷な掟の果てに生まれる人の情

    2011/08/31 16:33

    2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

    投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る

     本書に収録されている七話の作品は、非常にバラエティに富んでいる。
    ●小兵衛が殺された愛弟子の敵を討つ【春愁】
    ●盗人に見込まれ、小兵衛宅に押し入る羽目になった下っ引き傘徳の顛末【徳どん、逃げろ】
    ●盲目浪人と彼を支える老僧の苛酷な掟と、それによって生まれた奇妙な情【隠れ簑】
    ●大治郎の道場へ通うこととなった男の秘められた真実と、亡き師にまつわる事件の真相【梅雨の柚の花】
    ●囲い女が一夜で手を切り、手付け金を手に入れる方法【大江戸ゆばり組】
    ●孫を誘拐されかかった蝋燭問屋越後屋の秘密【越後屋騒ぎ】
    ●大身旗本二人の立場をわきまえぬ行動から決められた、高田の馬場での決闘の顛末【決闘・高田の馬場】
     悲しく、楽しく、緊迫しつつも、脱力させられ、とにかく楽しめる。

     その中でも表題作【隠れ簑】は魅力的。
     武家の苛酷な掟に翻弄された盲目浪人と老僧の運命がとても哀れで、しかし、その苛酷な定めの中に生まれた人の情に、人間本来の姿が見いだされ、悲しくも暖かい余韻が残った。

     この物語を気に入った人なら、著者の作品『仇討ち』も、きっと気に入るはず。
     仇を討つまで帰国を許されない武家の苛酷な掟に身を投じる事となった者たちの、非常に人間味に溢れた物語の数々を収録している。

     また、ユーモアとペーソスが盛り込まれた【徳どん、逃げろ】も印象に残る。
     盗人・八郎吾に見込まれ、下っ引・傘徳は、小兵衛宅に押し入る羽目に。しかも傘徳は八郎吾に親しみを覚えてしまった。
     この八郎吾、妙に親しみを覚える人物に描かれていて、傘徳の複雑な気持ちに強く共感できる。なんとかして逃がしてやりたいなぁ、という気になってくる。しかし、その結末は、とても意外だった。

    【収録作品】
     春愁、[徳どん、逃げろ]、隠れ簑、梅雨の柚の花、大江戸ゆばり組、越後屋騒ぎ、決闘・高田の馬場。

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    紙の本

    影法師〈罪ほろぼし〉

    2003/07/07 17:24

    2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

    投稿者:流花 - この投稿者のレビュー一覧を見る

     知らない者は幸せである。病で盲目となりながらも、28年もの間、“我が父の敵”と探し求めていた男。まさにその男が、長年影法師のようにぴったり寄り添い、身の回りの世話をしてくれた老僧だったとは。その老僧の腕の中で、「長い長い間…かたじけない」という言葉を残して死んでいった年老いた武士。その最期は、きっと安らかだったであろう。…「やっと終わった…」敵を討つことはできなかった。だが、長い長い辛苦の旅は終わったのだ。家族も青春もやすらぎも捨て、ひたすら敵を探し求めた歳月。貴重な人生を敵討ちに費やし、気がつけば棒に振っていた…しかし今、解放されたのである。そのことだけを思って、安らかな世界へ旅立って行ったのであろう。
    …かたや、自分を敵と狙っている男が盲目となったのを隠れ蓑に、ずっと騙し続けた男。善良な僧を装って…。今、その騙し続けていた相手が亡くなったのだ。やすらぎは訪れただろうか。彼にとって、隠れ蓑生活は人生そのものになっていた。相手の男が亡くなった今、彼の人生も終わった。だが、彼は生きなければならない。今度は自分が騙していた人間の影法師に、ずっとつきまとわれて…。敵討ちは不条理である。追う者も追われる者も、人生をめちゃめちゃにさせられる。だが、その種をまいたのは、他ならぬ自分である。彼は、死ぬまで生きなければならない。それが、罪ほろぼしなのだから。
     「嘘も方便」という。人生において、嘘が必要な場合もある。無益な争いや、無駄な心配をさせずにすむように。『梅雨の柚の花』で、大治郎の道場に新たに弟子入りした笹野新五郎は、田沼意次の側用人生島次郎太夫の子であると知らされていない。生島は、笹野家の子となった新五郎の影となって、気付かぬように新五郎を守り抜くのである。
     騙している人間は、騙されている人間の影になる。影となって、密接にくっつけばくっつくほど、騙している人は苦しい。だが、それはしかたない。騙しているのだから。
     知らない者は幸せである。こんな愛嬌のある幸せ者もいる。傘屋の徳次郎を“筋の通った盗人”と勘違いし、二人で盗めをしようと誘ってきた男。しかも押し入る先が、鐘ヶ淵の小兵衛の隠宅というのだから、笑ってしまう。話に乗った(ふりをする)徳次郎。しかし予想外のことが起こる。「徳どん、逃げろ」。…彼は斬られ、彼の死んだ兄に似た徳次郎の腕の中で息絶えた。昔の女房の話なんかしながら…。

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    紙の本

    読みやすいです

    2024/04/28 16:30

    0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

    投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る

    似たようなエピソードがなくもない気もしますが、よくも思いつくなあと感心しました。 主人公やその周囲の人達のあたたかさが作品に潤いを与えていますね。

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    2006/10/29 22:44

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    2007/02/25 15:07

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    2008/11/28 10:37

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    2009/11/22 01:30

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    2010/03/24 11:52

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    2011/08/15 03:51

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    2011/10/03 22:19

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    2012/01/03 21:29

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