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【ノーナ・リーヴスの西寺郷太、初の自伝的小説】バンドが群雄割拠する1990年代の下北沢ライブシーン。若きミュージシャン「ゴータ」はプロデビューという夢に向かって邁進する。
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・自分はここにいなかった人間だが、確かにこの時代はあった。確かなこの時代の空気がここにあった。
・特にSTARWAGON。インディーズ時代の一枚は自分も心の一枚。繰り返し聞いた。まさか西寺さんとそんな関係にあったとは全然知らなかった。その別れも含めて胸にズシンと来るものがあった。あのアルバムっぽいな、と思った。
・正直、あの頃と自分は全然変わっていない気がしていたけれど、これを読んで90年代って終わったんだな、と思った。(当たり前の事なんだけど)
・しかし、自分とは全然違う場所の話なんだけど、濃厚に自分の「この頃」を思い出した。これ、凄い小説だと思う。(少なくとも僕の様なある種の人達にとっては)
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NONA REEVESのフロントマンであり、優れたポップスメイカーとして作曲家活動も行い、かつマイケル・ジャクソンやプリンスの音楽評論でも知られる著者が、アーティストとしてのデビューを目指してもがいた90年代を描いた自伝的小説。
自らの才能を信じつつ、ひたすらデモテープを作り、信頼できるバンドメンバーと出会ってデビューを果たしていく、という著者の生き様がとてもキラキラしており、音楽を愛する人であれば必ず共感できるシーンばかり。そして、登場人物はほぼ実名であり、当時の日本の音楽シーンを代表する様々なアーティストたちとの交流が描かれており、下北沢を中心とする当時のロックバンドの様子なども知れるのが非常に面白い。
寝る直前に数十ページだけ読もうと思って読み始めたらあまりの面白さに手が止まらず、結局ラストまで一気に読んでしまった。音楽ファンにはおすすめの一冊。
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西寺郷太さんには2002年くらいに挨拶したことがあって確か『ミルフィユ』という当時出たばかりの2冊目の単行本をお渡しした記憶がある。その際「DJDJロンリーナーイ」と間違った歌詞で文化放送の深夜番組のテーマ曲だった『DJDJ届かぬ思い』をくちずさんで、一緒にいた友達に失礼だと叱られた。しかし、この本ではファンでもなんでもない人がうろ覚えの歌詞で口ずさむことこそがヒットであると筒美京平に言われたことが強く語られていたので、僕の行為は悪く受け取られてはいなかったはずだ。西寺さんとはそれっきりなのだけど、アフターシックスジャンクションの月一の音楽解説はとても楽しみに聞いている。
さて、この小説は鳥肌が立つ場面が多々あり、最後は涙がにじむ。95年から99年の初めまで、下北沢でアパートを借りて住んでおり、バンドもしていたのだけどお金がないのとそもそもライブやクラブがそんなに好きでないので、小説の舞台となっているQUEには数回しか行ったことがない。その近くのファーストキッチンではよく本を読んだりネームをしたりした。なのでQUEの様子は何もわからない。中古CDとミュージックマガジンしか興味がなかった。
西寺さんはいわば勝者であり、サバイブできた立場なので、消えていった人たちに対して語ることに躊躇いがあったのではないだろうか。特にワクイさん、絶対的な恩人で見上げていた人がいつしかそうでなくなる。僕も、若い漫画家にどんどん追い抜かれて、貧困層レベルの売り上げにあえいでいる現在、努力が足りていないし怠け者なので何か言う資格もないのだけど、心が苦しい。友達の団子屋をしている人、僕もお菓子屋を一時期継ごうとして結局やめて、数年前に店を畳んだ。身につまされることが多すぎて無常感でいっぱいだ。
素晴らしい小説だ。
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現NONA REEVESの著者による90年代後半の5年間を舞台にした自伝的小説。
自分は重要人物である先輩・ワクイさんの方に近い世代だけど、いやもう、洋楽ネタはツボ過ぎて読んでて悶絶(笑)
その一方で地方在住の自分にはあずかり知らぬ、当時の下北沢の空気感が濃厚に再現されているのが素晴らしい。様々な人が目の前を通り過ぎるさまに戸惑いながらも、愚直に音楽を作り続ける一人の青年を描いた青春小説としても◎
2000年代以降の続編はあるのだろうか?
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青春ものの少し青くさい感じも90年代後半の空気感にぴったり。時折り差し込まれる時事ネタが、同時代を生きた人達の心をくすぐる。野茂はパイオニアになったし、メジャーでも背番号51はイチローのものに。マイケルも筒美京平もなくなってしまったな。