紙の本
そこにあるのは真実
2023/05/14 03:00
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投稿者:わこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
村上春樹の好きと追憶があふれている作品。
フィクションでもノンフィクションでもない、ただそこにある彼の真実が、短編集ならではの軽やかさとしめやかさで描かれている。
個人的に印象に残っているのは、「石のまくらに」と「謝肉祭(Carnaval)」。どちらも忘れられない女性の話で、一瞬の関わりが永遠を残している。
特に後者には「幸福というのはあくまで相対的なものなのよ。違う?」というセリフがある。幸せの本質が的確に表現されていて、わたしは首がもげるほどうなずいてしまった。村上春樹からは、世界の仕組みについて教えてもらうことが多々ある。
ところで、タイトルにもなっている「一人称単数」という短編が、この本のラストにおさめられているが、恥ずかしながらわたしはこの話をうまく理解することができなかった。
でも読み終わったとき、理解できないという読み方があってもいいんじゃないかとふとおもった。わたしは村上春樹の言葉を追ってひとつの世界を頭の中に立ち上げられたし、色も匂いも身体に感じた。頭で理解することがさほど重要ではないと、なんとなく、でも、強烈にそう思えたのである。
昨日の喫茶店での読書会に、わたしはこの本を持っていった。村上春樹の短編は、喫茶店との相性がいい。ひとを待つ時間、暇をつぶす時間、珈琲の香りに酔う時間、村上春樹の言葉は、一瞬を永遠にしてくれる気がする。
紙の本
久しぶりに読みました
2023/07/09 15:30
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投稿者:とらとら - この投稿者のレビュー一覧を見る
村上春樹の本を久しぶりに読みました(20年以上読んでなかった)。
現実のこととして書いているのか、夢かなんかのことを書いているのか、あいまいでよくわからないんだけど、どんどん読めていってしまえる不思議な感じなところがそのまま残っている感じがしました。個人的には「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」が一番すきでした。
電子書籍
自伝?
2023/04/11 20:42
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投稿者:マー君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルの意味、いわれはわからないが、何となく村上氏の自伝ではないかと思える。
とは言え、品川猿はさすがに自伝ではなさそう。
村上節炸裂。
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【「石のまくらに」「品川猿の告白」など全八作からなる短篇小説集】短篇小説は、ひとつの世界のたくさんの切り口だ――各々全く違う設定で書かれながら、八つの世界がまとまったとき立ち上がるものは?
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騎士団長殺しから数年ぶりの新作。文學界で掲載された短編7つと描き下ろしの表題作「一人称単数」で構成された短編集だ。村上春樹さんと言えば考察勢がいるので難解さがあってもすぐに調べて解釈の助けになる。ま、四の五の言わずに村上春樹さんを楽しめばいいだけさ。私のオススメは「謝肉祭」と「品川猿の告白」。
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3年前くらいに読んだけど、村上春樹らしさが全面に出つつも、読みやすかったし面白かった記憶あり。さらっと読める。野球関係の話があったような、、読み直そう
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初めて読んだ村上春樹さんの作品。
しっとりと重厚感のある文章で書かれているせいか一話一話を読む時間を空けたいと思った。
それぞれ全く話は違うけれど、語り手、雰囲気は似てるなって思った。そりゃ作者が同じだからなんだろうけど、作者の経験とかが色濃く表れてるからかなとも思った。
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「街とその不確かな壁」の前に読みたかったやつ!やっと消化
珍しいテイストの短編集、どこまでがホントでどこからが嘘かわからない
野球のことはほんと?猿はさすがに嘘?
でもこの人の事だから、大したことは考えてなさそう
品川猿と、クリームが好き
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「品川猿の告白」は群馬のひなびた温泉に行ってみたくなり、「謝肉祭」は曲を知らなかったので聴いてみたくなった。
村上春樹作品はフィクションとはわかっていても、いつも自伝なのかと感じてしまう…
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2/22.23
本に出てきた曲をかき集めて、タイトルをチャーリーパーカープレイズボサノヴァにしたプレイリストを作って流しながら読んだ
「品川猿の告白」良い
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一人称単数はどう言う事なのか
何回か読み返しても謎として残る。
私は何者なのか?犯した罪とは
推理小説以上の謎だ。
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#一人称単数
#村上春樹
23/2/7出版
しばらく読んでいない村上春樹さんの2020年の短編集
時が経ち、世の中が変わり、春樹さんも変わっただろうし、僕も変わった
久しぶりの村上作品、今の僕はどう感じるのだろう?
#読書好きな人と繋がりたい
#読書
#本好き
#読みたい本
https://amzn.to/3YnR7lo
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単行本が20年の7月。確か同じ時期に猫を棄てる が出てて…そっちは読んだけどこちらは未読。
おはなしは、今までと変わらない種類の奇妙な話やちょっとした「物語」なのだけれど、立ち位置がね、今までよりずっと村上春樹本体に近く感じる。半分…7割くらいはエッセイ、残りがフィクション…?くらいな。
野球好きの話、音楽が好きな話など前から題材になっていることの間に、お父さんの死のことや、お母さんの記憶が曖昧になっていたことや、10代の頃過呼吸の発作持ちだったことや…
今まで物語の主人公は自分のことではないと言い続けてきたけど、今回だってそうだろうけど、村上春樹の引き出しから出てくるものは、当然、村上春樹なのだ。それを素直に認め始めたというのかなぁ…
品川猿と一人称単数はめちゃくちゃ怖かった。
品川猿は他の短編集にも出てきててその時は何とも思わなかったが、今回ははっきりと「気持ち悪い」と思った。(違う猿かもしれないから、再読しよう)
いい歳こいたおっさん(猿)が、ヒトと一緒に暮らしすぎてヒトの女性を好きになり、欲望を抑えきれなくて…名前を盗む?
法律に抵触しなくても…なんだろうストーカー的な? 下着を盗まれて妄想されてるような不愉快さ。お世話になった教授の夫婦生活について「激しかったですヘヘヘ」とか何情報だよ?追い出された原因だって何か気持ち悪い理由だったんじゃないのか?と勘繰ってしまう。5年後くらいに名前をど忘れする女性に出逢ったことも後味悪〜い。そんな猿が世の中のいると思うとゾッとするが猿どころかニンゲンがたくさんいるのだから始末に負えないね。
一人称単数、最初のほうはちょっとのズレこそあれ、1人時間を過ごすようにのほほんとエッセイのノリで読んでいた。
店で、まーた女性が近づいてくる話かぁと思ったら「そんなことをしていて、なにか愉しい?」
──え?
ちょっと意味がわからなくてショック。
…は?
続く言葉も彼女の意図がわからず、明らかな悪意や敵意を感じても違うと思いたい、ニュートラルな意味で捉えたいと、言葉を返す村上さんが自分のことのようだった。
店を出て、はー、自分かもだけど自分ではないものと、一時的にリンクしたのかな、とんだ目にあったやれやれと思っていたが、そうは問屋が卸さなかった。
終わらなかった。始まりだった。
戻ってこられなかった。
自分ではない…はずなのにな?
もしかして、自分だったのか?
後ろめたさ?のようなもの?があったのはそのせいなのか?
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フィクション、エッセイ、夢落ち。
あるいは「色彩を持たない田崎つくるの巡礼の年」について。(仮)
「クリーム」「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」「謝肉祭」「品川猿の告白」の話が好き。
※読んでいない作品が多く知識がないのと、直近に読んだからそう感じただけかもしれないので、現段階では(仮)と表記しておく。
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1作目、2作目、村上春樹を読んでいる感動がない。とうとう、続けて読むのも終わるのだろうか。30年以上全ての作品を読み続けてきたというのに。ところが、一転、3作目からの感動。うーん、どこかで読んだような話かな、と思いつつも、やはり良い。村上春樹だ。ひょっとすると、雑誌で発表時に読んだのか、それとも単行本を図書館ででも借りて読んだのか。それならばすでにレビューがあるはずだ。エッセーで読んだことのあるものか。古レコード屋で見つけたLP。買うのをためらったLP。次の日には当然もうないのだ。売れたわけではない。そんなもの最初からなかったんだ。でも実際に自分の目で見たもの。だからそれは真実だ。そんなことが起こり得る。チャーリー・パーカーは本当にボサノヴァを演奏していたのだ。ウィズ・ザ・ビートルズのLPを胸に抱えていた少女はどこに行ったのだろうか。いまでも校舎の片隅に佇んでいるのか。そして、付き合った少女はビートルズは聞かなかった。その少女の兄は記憶の一部が突然無くなる。その間に何をしていたかが本人もまったく分からない。人殺しをしていても気が付かない。そんなテレビドラマが最近あった。僕はてっきり、両親と妹2人は殺されているものと思った。そう思わされた。しかし、それは単なる勘違いだった。兄の前で朗読した芥川の「歯車」、僕もいつか読んでみよう。それから何十年か経って、雑踏の中、兄と偶然出会う。出会わなければ知り得なかった。しかし、知ってしまった。すると途端にそれは事実となる。付き合っていた女性の自死。ヤクルトの話はまあ箸休めとして。ただ、父の葬式の話、母の話、そのあたりは興味深い。「猫を棄てる」を読んだ後に気になっていたことなので。いよいよ「謝肉祭」である。感動ここに極まる。僕は出勤途中の電車の中で読んだのだが、しばらく現実にもどって来られなかった。ただ、不覚にも、僕はタイトルを最初に見たとき百恵ちゃんの曲を口ずさんでしまった。「ジ~プシー、ジ~プシー」いまレコードを聴いてみようと探すも見つからず。なんということ、アルバムに入っていなかった? それはともかく、この「謝肉祭」はシューマンである。こちらも何度も聴いていたはずなのに、全く思い出せなかった。そして今聴きながらこれを書いている。なかなか良いではないか。誰かと、そんなにも濃厚に、ある程度の期間、何か1つのテーマについて話し合うというような経験はない。「謝肉祭」の聴き比べ。なんともマイナーなテーマなのだ。でもだからこそ、狭く深く潜り込んでいけたのだろう。その短編は強烈な文章で始まる。「彼女は、これまで僕が知り合った中でもっとも醜い女性だった」どこがどうというのでもない。身なりはきれいにしている。たぶん、後ろから見れば美人なのかもしれない。今は皆マスクをしているから目だけを見て判断するとだまされることがある。もっとも、相手はだましているつもりなど毛頭ないわけだが。で、その女性がどういう顔をしていたのか。何となく想像がつく。女優で言うと・・・まあ、やめておこう。そして、その濃密に付き合った女性が犯罪者としてテレビに映っている。そういうことも、ありうることなのだろう。そして、何と言ってもその後��付された短いエピソードがまたいいのだ。これがあるからこそ、この作品はキュッとしまっている。人と話をする猿のお話。そういうこともまた、きっとあるのだろう。あなたがそう感じたのならそれがきっと真実なのだろう。さて、「謝肉祭」も終わってしまった。本当言うと僕は「クライスレリアーナ」の方が好きだ。そこには、当時の自分の心情が大きく重なっているわけだけれど。音楽やにおいの記憶にはそういうところがあるように常々思っている。