電子書籍
☆虚構推理☆
2024/05/11 10:56
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ACE - この投稿者のレビュー一覧を見る
【みだりに扉を開けるなかれ】
岩永と九郎とのドライブ中の会話。ある事件で殺人罪として罰を受けた夫がいるのだが、彼は社会的制裁以上の恐怖を味わっているのだと岩永が言う。どうやら、彼女はこの事件の被害者である妻の亡霊を知っているのだが、彼女が予期せず夫に与えた恐怖とは?
【鉄板前の眠り姫】
常連客にしか営業しているかがわからないお好み焼き屋に、岩永がふらっと現れる。そこでなぜか雨音の影響で眠りこけてしまう岩永。軈て、九郎が迎えに来るのだが、なぜかそのお迎えを必要以上に疑う若店主。この店に、何か秘密があるのか!?
【かくてあらかじめ失われ……】
離婚した父が嘗て亡くなったのだが、実はそれはある人物による自殺に見せかけた偽装殺人だった・・・ のだが、怪異達がいたずらで密室状態を開放し、偽の遺書を持ち去ってしまった・・・ のだが、犯人は、この予期せぬ状況をむしろ喜んでいた・・・
この幾重にも重なる不可解な状況を、岩永は「K」なる人物も登場させて、虚構推理を展開する。
【怪談・血まみれパイロン】
落語口調で語られる本作。若い男と路上の赤いコーンのお話。
果たして、若い男に付きまとうのは心霊か? 狸か? それとも虚構か?
【飛島家の殺人】
一代で飛島家を政財界の華に押し上げた女傑・飛島龍子は、夫を事故で亡くしたことをきっかけに、常に黒いベールを纏っている。その孫にあたる椿の前に現れはじめた使用人の幽霊が黙示する、老女の驚愕の過去とは?
紙の本
☆虚構推理☆
2024/05/11 10:54
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ACE - この投稿者のレビュー一覧を見る
【みだりに扉を開けるなかれ】
岩永と九郎とのドライブ中の会話。ある事件で殺人罪として罰を受けた夫がいるのだが、彼は社会的制裁以上の恐怖を味わっているのだと岩永が言う。どうやら、彼女はこの事件の被害者である妻の亡霊を知っているのだが、彼女が予期せず夫に与えた恐怖とは?
【鉄板前の眠り姫】
常連客にしか営業しているかがわからないお好み焼き屋に、岩永がふらっと現れる。そこでなぜか雨音の影響で眠りこけてしまう岩永。軈て、九郎が迎えに来るのだが、なぜかそのお迎えを必要以上に疑う若店主。この店に、何か秘密があるのか!?
【かくてあらかじめ失われ……】
離婚した父が嘗て亡くなったのだが、実はそれはある人物による自殺に見せかけた偽装殺人だった・・・ のだが、怪異達がいたずらで密室状態を開放し、偽の遺書を持ち去ってしまった・・・ のだが、犯人は、この予期せぬ状況をむしろ喜んでいた・・・
この幾重にも重なる不可解な状況を、岩永は「K」なる人物も登場させて、虚構推理を展開する。
【怪談・血まみれパイロン】
落語口調で語られる本作。若い男と路上の赤いコーンのお話。
果たして、若い男に付きまとうのは心霊か? 狸か? それとも虚構か?
【飛島家の殺人】
一代で飛島家を政財界の華に押し上げた女傑・飛島龍子は、夫を事故で亡くしたことをきっかけに、常に黒いベールを纏っている。その孫にあたる椿の前に現れはじめた使用人の幽霊が黙示する、老女の驚愕の過去とは?
電子書籍
飛島家
2023/05/03 02:35
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
最後の「飛島家の殺人」がイチオシです。まあ、作者もそのつもりで最後においたのでしょうね。わずか一代で飛島家を作り上げた飛島龍子。現在は静かに暮らす龍子の、過去が絡んで……。このお話が良かった~。
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全五編の短編集なのに、ちょっと胃もたれするくらいの濃さを感じる一冊だった。普通のミステリなら真相は一つだけなので謎解きも一回で終わるけれど、『虚構推理』は虚構の解決であるため、もしかしたらそうかもしれない…という真相が幾つも提示されるので、ぐわんぐわん揺らされてるみたいに驚かされるせいだと思う。『かくてあらかじめ失われ……』と『飛島家の殺人』が特にそうで、ひどい酔いが回ったような読後感だった。でも、だからこそ面白いし、そこが好きで何度も読み返してしまう。
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2023.3.30読了。
虚構推理の醍醐味を一番味わえた「飛島家の殺人」は、特に素晴らしい出来だと思います。
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ミステリの王道トリックとも言える密室トリック
一見すると不可能犯罪だから殺人事件に挑む探偵役の活躍が面白くなる。つまり逆説的に言えば密室は探偵に開かれる為に存在している
なら、その密室が探偵ではなく第三者によって開くなら?という点を追求するエピソードだったのかな
…というか、化け物達の間で密室を開く遊びがブームになるとか流石にそれは駄目でしょ(笑)
短編を前座にして始まるのは特異な密室事件の後始末が描かれる『かくてあらかじめ失われ……』
折角の密室トリックや二重三重の安全措置も化け物が暴いてしまったせいで、犯人はあっさりお縄に就いた事件。問題点となるのは風変わりな部分だね
犯人が偽造した被害者の遺書。自白によりそれが偽書と関係者に知れている。なのに第三者が持ち去っているからその目的と存在が謎と扱われる
まあ、事情を知る琴子にすれば、化け物の仕業という真実を明かすわけには行かないから、またしても虚構で誤魔化す手間が生じた案件と言えるのだけど
ただ、琴子にとって幸いと言えるのは、裏で広がる「妖怪密室ひらき」が厄介なだけで、事件そのものは社会的な影響をすぐには持たない点
だから関係者の中心人物を納得させるだけで済む。つまりは相手を煙に巻けば良いわけだ
そうして読者の意識は偽造遺書の処理に集中させられていたから、もう一つの密室に気付かなかった。それは心の密室だね
美矢乃が抱え続け、誰にも開いた事のない疑念。しかし開かれていない為に将来的に悪影響を生むかもしれない心
一度、事件の虚構を示した後に関係人物の真実を示し始めるものだから度肝を抜かれたよ…
まあ、その真実も更に隠された真実があったのだけどね。後から見ると、諸悪の元凶というか騒動の中心人物がやたらめったら厄介な人物だったな……
そしてもう一つの密室と言える『飛島家の殺人』は何種類もの密室が折り重なって構成されたあれはあれで美しい構成の話だったな…
事件そのものは現場へ近づく唯一の道は目撃者が存在した為に現場へは誰も辿り着けなかった。それ故に密室というタイプのもの
けれど、事件発生が50年前という真相解明が非常に難しい程の昔であること、そもそも事件現場がもう存在していないこと、関係者の多くが没している等々の困難を含んでいる
なら決定的な真実を明かす希望なんてそもそも無くて、いつものように虚構にてそれっぽい辻褄合わせを取り繕うだけに終止するかと思いきや、いやはや意外な展開を迎えたエピソードだったよ……
依頼人である椿や頼行が求めるのは龍子が50年間着け続けるベールを外してやる事、事件の気掛かりを自明の理としてやる事
そういった依頼であれば、これまで事件の虚構を如何様にも操ってきた琴子に出来ない仕儀ではなくて
だから本題となるのはそもそも真相が椿や頼行の願い通りのものであるのかという問い
ここで事件が50年前の出来事という点が効いてくるね
虚構なら幾らでも形作れる。でもその虚構がもし真実そのものであったら?そもそも真実���開かない方が良い密室であったら?
一応の解決は示されたのに真相も虚構も曖昧になるラスト。琴子は真実を知った上で関係者を煙に巻く発言をしているのではないか?龍子に聞けば真相を全て詳らかにしてくれるのではないか?
結局問題となってくるのは密室を誰がどのように開くかという一点
椿と頼行は琴子の助力によって密室へ至る道筋は手にした。探偵は開いてくれなかった密室を開いてしまうかそれとも閉じたままにしておくのか。
希望どころか後書きすら与えてくれない本作の締めは事件関係者だけでなく、読者にすら問いかけてくるかのようだ……
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虚構推理シリーズの最新刊が届けられた。近所の書店では、やっぱりラノベの棚に置かれていた。漫画原作のための書下ろしだそうだが、過去作品もそうだっけ? 漫画やアニメの方が原作より人気が高そうではある。
サブタイトルにある通り、今回は密室がテーマ。今なお定番中の定番ジャンルだが、虚構推理の世界観でどのように料理するのか。興味津々に読み始める。
短い「みだりに扉を開けるなかれ」。妻を殺害し、密室工作をした夫。しかし、発見時、密室工作は何者かに台無しにされていた…。うーむ、夫に同情できるようなできないような。この掌編には全編のプロローグ的意味合いもある。
「鉄板前の眠り姫」。古いお好み焼き店の熱々の鉄板前で、眠っているのは…。この人たちの行く先行く先、どうしてそういう展開ばかりなのか。もはや軽いブラックジョーク程度にしか感じない自分も、毒されているのかもしれない。
「かくてあらかじめ失われ……」。幼なじみの一家同士の、複雑な関係。いくらでもドロドロにできそうな設定を軽く読ませるのは、このシリーズならでは。漫画版やアニメ版では、琴子がこういうネタでも容赦なく論破する姿に萌えるのだろうか。
短い「怪談・血まみれパイロン」。なぜ怪談にパイロン? 最後の下ネタにすべて持っていかれた感がある。このためのパイロンかよっ!
メインと思われる最後の「飛島家の殺人」。一代で地位と財を築いた飛島家の女傑・飛島龍子。現在は静かに暮らす龍子の過去とは。このシリーズ、問題を抱えた一家はお約束とも言えるが、どうして琴子に依頼してしまうのか。成功者の思考回路は、凡人には理解不能とだけ書いておきましょう。もちろん琴子の思考回路も。
十分に長編にアレンジできそうなネタ3本と、短い小ネタ2本という配置は、『虚構推理短編集 岩永琴子の純真』と同じ。ガチの密室ネタを期待して読むファンはいないと思うが、九郎と六花の出番の少なさには不満を抱くかもしれない。
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いくら特殊設定と言ってもそんなのが流行っってたらミステリは成立せんだろと思いきやなんと成立どころか久し振りに会心の虚構推理\(^o^)/
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【収録作品】みだりに扉を開けるなかれ/鉄板前の眠り姫/かくてあらかじめ失われ……/怪談・血まみれパイロン/飛島家の殺人
いやいや、行動的なあやかしたちだな~ 密室のくだりは脱力して笑える。
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'23年7月12日、Amazon audibleで、聴き終えました。シリーズ、六作目、だったかな…?
久しぶりの虚構推理シリーズでしたが…やはり、面白かったです。
全作品、楽しめましたが…僕的には最後の「飛鳥家の殺人」が好きです。いかにも虚構推理、っぽいなあと。
「血まみれパイロン」も、笑えました。
いやぁ~楽しかった(^∇^)ノ♪
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城平京『虚構推理短編集 岩永琴子の密室』読了。一部Audibleにて。
安定して面白い。密室をテーマにした短編集で、それぞれ色も違うので飽きずに楽しめる。
「鉄板前の眠り姫」「怪談・血まみれパイロン」「飛島家の殺人」は城平京らしくかつクオリティも高くて素晴らしい。
トータルで見ると漫画向きかなという短編が多いのだが、メインの「飛島家の殺人」については、読み応えがある。
長編が一段落着いてしまったので期待してなかったのだが、全く安定感は変わらず、相変わらずの情報量を見事に処理していて満足だった。
「鉄板前の眠り姫」の短いながら鋭く、掌編として綺麗にまとまった感じがあるのは流石にうまい。意外性もあって結構好き。
「怪談・血まみれパイロン」は形式自体が新しい。かなり漫画向きだと思う。こちらもまとまりがよく良作。
「飛島家の殺人」はこれぞ虚構推理という内容で、長編にできなくはなかっただろうと思うけれど、出し惜しみせず消費するのが潔い。虚構推理の一種の型なので真相に予想はつくのだが、もはや構成自体が美しい。
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【みだりに扉を開けるなかれ】
妖怪や幽霊が存在している事が前提であるなら、妖怪や幽霊によって密室殺人の密室が破られる事もあるという、ミステリーなら非難轟々だろう話でした。妖怪や幽霊の存在をその様な役割に当てはめる発想が無かったので、とても面白く感じました。あと、「妖怪密室ひらき」が生まれうるというちょっとズレた心配をする岩永琴子は相変わらずなのだと感じました。
【かくてあらかじめ失われ……】
妖怪や幽霊が密室を開ける、という事件が実際に起こり、岩永琴子が解決に奔走した話。密室にまつわる犯行と、岩永琴子の紡いだ虚構も中々に面白いものでしたが、それ以上に複雑な人間関係が明らかになったのが面白かったです。推理小説みたいな人間関係と言いたくなるのも宜なるかなといった感じでした。
【飛島家の殺人】
事件自体に妖怪や幽霊の関わりは無いものの、この作品らしく岩永琴子が虚構を紡ぐ話でした。五十年の歳月が経っており、既に証拠など残っていない事件に対し、岩永琴子があげた二つの仮説。真相がどうあれ、当人達にとってはどちらを取るか(もしくはどちらも話してしまうか)迷う仮説を紡いだのは流石としか言い様がありません。そして、どこか人間離れした不気味さを感じさせ、岩永琴子らしいと思いました。
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「みだりに扉を開けるなかれ」
密室を作り出したはずが。
計画通りに進めていったはずだが、自分が何もしていないというのに変化があったら混乱と共に恐怖するだろ。
トリックを解かなければ本来の姿に辿り着けないというのに、面白半分で邪魔をされてしまったら混乱を招くだけなのではないのか。
「鉄板前の眠り姫」
警察を呼んだら問題あり。
営業終了間近だというのに入店し注文したどころか、そこで寝入ってしまうのは流石に迷惑だったのではないか。
ここまで警戒心が強いのは助かることもあるだろうが、ここまで破綻のない説明を信じてくれないのは面倒な相手だっただろうな。
「かくしてあらかじめ失われ……」
二人の関係は複雑なもの。
渡された書類に目を通した時、もしもの可能性が書き連ねられていなかったからこそ目に見えて安堵したのだろう。
理想の女性として語られる容姿を持つ人など居ないと思っていたが、実際に現れてしまったら心の中は驚きと嫉妬で相当荒れただろうな。
「怪談・血まみれパイロン」
語られた一匹の狸の話は。
どんな目的であったとしても、偶然出会ったことにより命拾いしたのだから物であっても礼を言ってもいいだろう。
ほんの少しだけ嘘を交えることによって、事実が少し捻じ曲げられても違和感をもたないような物語になるのかもしれないな。
「飛島家の殺人」
黒いベールが表情を隠し。
長い年月が経った事件の真相を知ることなど不可能に近いが、もしかしたらと仮説を立てるには十分な証言かもな。
最後に語られた話が正しければ、それを問いただす勇気も必要であるだろうし今まで見れなかった顔を表に出されることに躊躇するだろうな。
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なんとも生々しい話が続くなという印象だった。それこそ、その複雑さは韓国ドラマっぽいなという感想を抱くくらいには。そして救いようのあるような、ないような浮遊感のある話が多いように思えた。
最後の章である飛島家の殺人は珍しく複数の説を提示しながらも答え合わせのない話であった。正直題名の通り、この物語は全編を通して虚構推理なわけだが、それでも最後には岩永琴子が最初から妖怪や幽霊から話を聞いていて裏付けをしている等のことが示されることが多かったため、最後はなんとも言えない読了感であった。少し考えれば、文中に出てきた「牧師の黒のベール」なる短編小説の結末をなぞっていることは自明ではあったが、そうなるとなんともオシャレな締め方である。