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Amazonの紹介より
桐野夏生が描く「バブル」
欲、たぎる地で迎える圧巻のクライマックス
時代はバブル全盛に。東京本社に栄転が決まった望月と結婚した佳那(かな)は、ヤクザの山鼻の愛人・美蘭(みらん)のてほどきで瞬く間に贅沢な暮らしに染まっていく。一方の水矢子(みやこ)は不首尾に終わった受験の余波で、思いがけない流転の生活がスタートする。そして、バブルに陰りが見え始めた頃、若者たちの運命が狂い出す……。
期間としては約2年間が描かれるのですが、内容が濃すぎでした。長い年月を過ごしていたんじゃないかと思うくらい起伏の激しい出来事ばかりでした。
下巻では、バブル期の絶頂期から転落していき、そして・・といった展開になっています。えげつない転落人生に背筋が凍りました。
桐野さんの描く追い詰められていく登場人物の描写が、秀逸でした。精神的に追い込まれる心理描写が際立っていて引き込まれました。
欲に塗れる人達の光と影を見ていると、いかに株がハイリスクなのか痛感しました。
絶頂期では、あんなにはしゃいでいた人達が、バブルが弾けると、憎悪の塊となって怒りへと発展していく描写にお金の恐怖を感じました。
特に怪しげだった人達が、本領を発揮するかのように攻撃する描写は、読んでいてもホラーと思えるくらい鬼気迫っていて怖かったです。
甘い蜜を吸いすぎた分、その反動はとてつくもなかったです。
やっぱり地道な道を選んだ方が良いのかなぁとしみじみ思ってしまう自分がいました。
そして、上巻のプロローグでの場面の続きが、下巻の最後で描かれるのですが、最初に思っていた印象とは違った印象だったので驚きでした。
まさかあの人が・・・。さらにラストの展開は後味悪いですが、なんとなく解き放たれたような感覚もありました。
「お金」によって狂わされた登場人物達。スリルを味わうか細々とした人生を味わうか。
吸いも甘いも、人間の色んな人生を垣間見た作品でした。
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なんでも良い時代で景気が良くて、何億も儲けられて、そんなことが続くわけないと分かっていても、みんな気づかないふりをして乗っかっていたように感じた。うまくいきすぎるとその反動がより大きくなって返ってくるのが怖いと思った。お金は人間をおかしくさせるものだと思った。お金の恨みは怖い。うまく時代に踊らされているように感じた。人のお金を動かすことの重みをもっと考えないといけない。実際のバブル時代と崩壊後をもっと知りたいと思った。
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1986年証券会社福岡支店に入社した者たち。伊東水矢子は母子家庭で大学に行く金を貯めに入社。小島香那はフロントレディになって稼ぐために。他人の気持ちが汲み取れない望月は太客を掴んで出世するため。バブル到来に浮かれて・・・
失礼な言い方だけど、意外と読みやすく、意外と面白い。
バブル期の証券会社のやり口についてはある程度は知っているつもりではいたけれど、NTT株の裏にはそんなインチキがあったとは。
参考文献が何一つ挙げられていないのが残念。
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まさかこんな結末になるとは。
私は少し楽観的過ぎた。望月夫妻は持ち前の運が幸いして、何とか逃げ延びるんだろうと思っていた。
人の金で得をし,豪遊したツケが回ってきたのだから当然だという見方もあるかもしれないが,佳那と昭平はまだ若い。若さ故にその筋の人と関わったらどうなるか考えが及ばなかったのだろう。彼らに,もっと親身になって相談できる誰かがいればこんな結末にはならなかったろうに。
望月夫妻は東京に引っ越してから,どちらも箍が外れたように金を使いまくっていた。二人とも金に対してどこかぞんざいであった気がする。
金をうまく使っているつもりでも,実は金に振り回されていたのだろうと思う。金が自由に使える状況になった途端,昭平と佳那の心も離れ始めたことを考えると,まだ貧乏でもがむしゃらに生きていた時の方が良かったようにすら思えてくる。
水矢子だけは,一貫して,派手な冒険をせず堅実に生きていたが,彼女に待ち受ける結末も寂しいものであった。
3人の若者たちを待ち受けていた未来には、希望も何もなかった。
何とも言えない読後感。
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ホームレスになった水矢子の前に現れた佳那。このシーンの種明かしとなるエピローグがなんとも言えず哀しい。
「俺たちやられたんですよ。大人たちに」
日本中がバブルに沸いたあの時代、マネーゲームに奔走し天国と地獄を見た者たち。
望月と佳那はいざ知らず、地道に生きていた水矢子すら行き着いた先があれでは救いがないな。
同じバブルの時代に東京で働いていた自分がどうだったのか振り返りながらの読書。
バブルの恩恵に与らなかったとは言わないけれど、泡銭を手にしなかったからこその平凡な今があるのかなとふと思ったりも。
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全ての現況は望月……。でも水矢子も水矢子で短絡的というか、「頭がいい」という言葉に驕っていたというか……。
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上巻を読み終わって、もう、次が読みたくて、上巻の感想を書くのも忘れて、下巻を読んだ。本当に一気読み。感想はまとめて上巻に。 お金が怖い。怖すぎて引き込まれた。
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伊東水矢子、小島佳那、望月、佳那の姉、須藤、山鼻、美蘭、水矢子の母、
それぞれの生き方が興味深く、ページをめくる手が止まらない。
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東京での成功を夢見ていた証券会社勤務の同期、小島佳那、伊東水矢子、望月昭平。
下巻の舞台は福岡から東京へ。
佳那は望月と結婚し、湯水のように金を使う日々。
かたや、水矢子は希望の大学に落ち、人生を迷っていた。
好景気に沸いたバブル期も徐々に陰りが見え始め、その崩壊は彼らの人生にまで深く影響して来る。
上巻で感じた不吉な予感は確信へ。
だが望月の場当たり的で、良心や罪悪感に欠けた言動を鑑みれば当然の結果だとも思える。
リーダビリティが高く一気に読めるものの予定調和な展開。
バブルに踊らされ、判断力を失った人間の業が切ない。
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うはぁ〜〜!面白すぎて一気読み!上下巻合わせて647ページ。
夢中で読みました。やっぱ桐野さんって、凄いのだ!すっごくシンプルな文体なのに、グイグイこちらの心に入ってくる。好きだ〜。
さて、主人公の1人、望月が1963年生まれで、まさに私と同じ。女性2人は、私よりちょっと下、なので、もう、まさに、私がOLやっていてバブル真っ盛りだった時期と重なるんですねえ。そう、しかし、誰もが知ってる通り、バブルの間は「今はバブルなんだ」なんて気付いていなかったので、なんか景気良くなってるのは、当たり前みたいに思ってました。
私自身は、小説の中のように、株で儲けたり、エルメスを持ったり、ホストクラブで豪遊したり、なんて、そこまではなかったけど、それでも、海外旅行したり着物買ったり、ゴルフやったり、仕事中のランチでグラスワイン飲んだりしてました(笑)あの頃は、お給料というのは、どんどん上がっていくものだと信じていたし。
歳とって、その頃の友人と会うと、
「良い時代だったよねえ〜、あん時のお金、どこにいっちゃったんだろう?」なんて話になるのです。
バブル話になっちゃいましたが、つまりは、この小説は、その頃の、ちょっと狂乱の時代の雰囲気が見事に描かれていて、しかも、証券会社という舞台がもう、私なんかでは怖くて仕方ないくらいのお金が動く世界なので、
「ひい〜〜っ」としばしば絶句してました。
バブルが弾けたことは、今では皆知ってるし、物語の構成からしても、先の展開はある程度読めるので、くるぞくるぞ、壊れるぞ!って予想してて読んでて…それでも、よお〜〜く考えると怖いのだ。
ほんの何年間かの話なのにね。
佳那と水矢子のキャラの対比が、すんごく良い!そして、望月はかなり嫌なヤツなんだけど、ヤツなりに思ってたことも分からんでもない…って感じたり。
そんな気分で同じ時代を同調しながら読んでいて、ラストは、涙出そうになりました。
これも、バブル世代OLだった自分の感傷なのかもしれません。でもさ、可哀想だったな。
いずれにせよ、読み応えあり!この時代を知らない若い人にも読んでみてもらいたいな、と思います
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バブル全盛時代、望月と結婚した佳那は、ヤクザの山鼻の愛人・美蘭のてほどきで贅沢な暮らしに染まっていく。一方水矢子は、不首尾に終わった受験から流転の生活がスタートし…。
上巻のプロローグで暗示されていたので、結末に驚きはなかった。小説だからかなり誇張されて描かれているにせよ、バブル崩壊で似たような物語が現実にあったのかもしれないと思わせる作品だった。
(B)
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バブル全盛期の東京。
望月と結婚した佳那、ずっと独身の水矢子。
正反対の生き方だが、どちらにも共感できない。
だけど気になって仕方ない。
なぜこんなに気になるのか。
この時代に生きた同世代のものには、わかりたくないのにわかりすぎるから怖い。
「生きる、生き切る、」凄さを感じた。
とにかく凄い世界である。
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上巻と同じくめちゃくちゃ面白かった、
だれるところがなくてずっと面白い
桐野作品を初めて読んだけど、文章がシンプルだけどわかりやすくてさくさく読める
文章が上手い人ってこういう文章を書くんだろうなあと勝手に考えた
バブルの時期は知らないけどこういう人たちも実際にいたのかなあとか思ったり思わなかったり
最後の方は一ページ一ページ恐る恐るめくりながら読んだ、、、しびれた
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ストーリとしては想像通りの内容。バブル勃興期から下降期に株という魔物に一番踊らされた人間群像が確り描かれていて、懐かしさとともに読了。個人的には佳那と水矢子をもっとくっきり対角線上に据えて、踊らされなかった水矢子の後半生を幸せなもので描いて欲しかった。
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バブルに翻弄された望月、利用しているつもりがどんどん深みにハマっていく。儲けたいと群がる人々の欲望とじぶん勝手な損得感情に呆れ、結末へ転がり落ちる不幸が悲しい。
何とか自分を保っていた水矢子の母親の借金から転落していく顛末にやり切れない気持ちになる。
冒頭から続くラストの数ページ、これは水矢子と佳那の幸福な幻、美しかった。