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今まで月に対して抱いていたイメージ(夜道を明るく優しく照らしてくれるもの)が覆ってしまった。冷たく薄ぼんやりと世界を照らす月。その裏には何を抱えているのか分からない不気味さ。
1作目の「そして月がふりかえる」は、一番現実的な設定から始まるので、余計に怖さを感じた。一瞬で、自分の立場が変わってしまう世界になる恐怖。家族が家族でなくなる怖さ。3作の中で一番怖いかもしれない。
表題作は、残酷な世界だけど、現代とは完全な別世界の話だから、それほど怖さは感じない。冬芽と瑠香の愛の物語として読んだ。誰にも知られず彫刻を作り続ける冬芽の生きる力と、世界を愛する心が、胸に沁みる。
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SFです。月にまつわる3編。好みは大きく分かれる作品だと思う。
個人的に「そして月がふりかえる」が好きだった。中島敦の「山月記」にどことなく似ている。
小田雅久仁さんは初だが、文章の想像力がすごいと思った。
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三篇とも面白かったが、尻上がりに完成度が高くなっていった。
特に最後の「残月記」の近未来感がリアルでゾクゾクした。
コロナ禍と一党独裁政権に自発的に隷属しそうな現代の空気を小説の背景に据えているところ、小説はこうでなくっちゃ!
現代の「誰か」を想像出来そうな下條拓という独裁者。現代に通じる恐ろしさだからこそ、ファンタジーなのにリアル。
月昂というウイルスによる感染症はメタファーだ。こんな悲しい感染症を創作した作者の想像力と知性に感服した。
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初めましての小田雅久仁さん、本屋大賞ノミネートおめでとうございます。
月にまつわる2つの短編と1つの中編の3遍からなるダークファンタジーでした。この本も表紙の雰囲気から、本屋大賞にノミネートされていなかったら手に取らなかったと思います。
そして読んだ感想を一言で言うと…私には合いませんでした、ごめんなさい。世界観や設定は嫌いではなかったです。特に2話目の『月景石』とか好きな設定だったんですが、なんだろう、語り口が私には合わなくて、読んでいてもまったくお話に入り込めず…一度本を置いてしまうと続きを読みたいと思えず、読みながら何度も寝落ちし…かなり苦戦しました。今年も本屋大賞ノミネートされた作品は全部読む!と心に決めていなかったら、多分途中で挫折していたと思います。
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短編二つ、中編二つ。
どれも異世界を描いたお話で、すごく良かった。
どの話も面白いが、短編二つを読んだ時点ではなかなか面白い、くらいの感想だった。
短編二つについては、ふとした瞬間に異世界に放り込まれる理不尽さがたまらなく好みだった。
この扉を出たら…、夢の中で別世界に繋がってたら…、どちらも子どものころによくしていた妄想だったので、リアリティたっぷりな異世界に迷い込む感覚を大いに楽しめた。
この二つの話も面白かったが、とりわけ表題作になっている『残月記』はとてもよかった。
久しぶりに思い合う男女の心に胸を打たれ、深い感動を味わえた。
伝染する病を扱っている点も、コロナに悩まされる今の世の中を反映していて考えさせられる。
短編はファンタジー色が強いが、この作品はSF、ディストピアの色合いもあり、暗いストーリー展開。
そんな中で出会った女性に一途な思いを寄せ、彼女を解放して2人で慎ましやかな余生を過ごしたいと願う男性の話。
あまりにも純粋で一途な思いに心を掴まれた。
血生臭い場面も多いが、誰にも認められなくても思い続ける、作り続けるという男の生き方にグッとくる。
どれも月の神秘、狂気を表現していて、ダークだが美しい物語だった。
読みたいと思う世界観を超えてくる小説で、大満足。
ただ、個性的な作品なので好き嫌いは分かれると思う。
大賞は取れないかもしれないが、私は好き。
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・そして月がふりかえる
・月景石
・残月記
月とか星とかタイトルに入ってるとつい読んでしまうんだけど、なんというかSFに慣れていないせいもあってものすごく読むのに時間がかかった。
とりあえず夢を見るのが怖くなるし、残月記はオリジナリティの塊のような作品だった。
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月に関するSF的物語
どの物語もその不思議な世界観に包み込まれました
やっぱり月は人の心を動かすんですね
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どれも一気読みさせられるリーダビリティの高さがすごい。
表題作「残月記」を読んでいたら、ふと「今死んでもいいのかも」と思った。何でかはわからないけど。そういう気持ちにさせる作品って、そうはないよな。
作中詩の
=====
声を張りあげる者を信じてはならないと
誰もが知っているはずだった
(中略)
みな耳が馬鹿になり
大きな声しか聞こえなくなったのだ
=====
が怖いのよ。
月昂という病自体は想像上のものであっても、話は一貫してリアルなのが怖い。
=====
もしこの世に割りあてられた不幸の量がさだめられたものなら、その不幸はいつだって他人の上に、つまり党員になれぬ凡俗どもの上に降りかからねばならない。(中略)人は平等ではないし、平等であってはならない。
=====
この思想が、凡俗側からするとリアルに思えるんですよ!
そして冬芽の死に様が円空とリンクした瞬間はゾッとした。
「そして月がふりかえる」はホラーだ。一瞬を境目に自分だけ世界が入れ替わってしまい、誰にも気づかれない恐怖。妻に必死に訴える様が悲しい。
=====
もし母と詩織を並べて指ではじいたら、きっと同じように淋しく澄んだ音色を響かせたに違いない。
=====
という一文が好き。
ただ「月景石」については読んだ後に「どういう感情を抱いたらいいの?」と思ってしまった。これだけはどうにも…。
しかし面白い世界の設定を読みながら、ライトノベルとの境界線というか定義とは?という疑問が。不思議な設定ならライトノベルってわけじゃないのだろうけど、薄っぺらい話がライトノベルでもなく…。
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おもわず後ろを振り向いてしまう衝動に駆られた。
月の真の怖さを体験することになるでしょう。
私はファンタジー小説が苦手で、あまり世界観に入れないので、この作品をあまり楽しんで読めなかったが、こういったファンタジーもあるんだなと新鮮な気持ちになりました。
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本屋大賞 2022年ノミネート作ぜんぶ読むチャレンジ⑥
裏返る月を見たことで別の人生と入れ替わってしまった男。 叔母の遺した「月景石」が見せる異世界。独裁国家日本で弾圧される「月昂」患者…。月が誘う、現実の裏側のもうひとつの世界を描く3つの物語。
ジャンルとしては幻想小説になるのかな?妙に生々しい夢の中に閉じ込められたような感覚が、どことなく中井英夫を思わせる。どの話も月光のようにひんやりと美しくおそろしく、そしてほのかにエロティック。作者の想像力の鮮やかさに脱帽する。
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月にまつわるファンタジーで不気味なお話が3編入っている。
1つ目の「そして月がふりかえる」はホラーだった。でも好き。読み終わったあと、夜に外食したら月が出ていて怖くなった。
3つ目の「残月記」は、こんな状況どうやって終わるんだろう…と続きが気になった。
面白かった!
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三編の短編集からなる作品。正直なんで本屋大賞にノミネートしてるのか解らん感じ。
①そして月がふりかえる
・順風満帆な生活を送る主人公が、ファミレスでトイレから戻ると全員が月を見つめていた。皆がなおると、別人が自分として生活し始めた話。
世界線を超えて別の世界線の別の人に入っちゃった的な話。
ほとんどそれで終了。自分の家に不法侵入し、自分の妻に色々話をするが報われない。
②月景石
・月の景色のような模様の石を枕の下に入れて寝ると、別世界の夢が見れる。別世界で新たに人を召喚して、その世界の月桂樹を守る。
・目覚めると、その召喚された人は現実世界からは忽然と消えており誰も覚えていない。
・ついに自分の同棲相手も消えて、素からいなかったので同棲部屋もなくなって、古いアパートになった。というか人類は皆いなくなってた。
みたいな話。
③残月記
・狼男みたいに、満月の夜に昂ぶって、新月の夜に萎える感染症が流行ってる。狼男は新月の夜に死ぬ確率が高い。
・狼男病は危険だから見つけ次第収監される。主人公は県道でインターハイ出場していたので、収監後に剣闘士になる。剣闘士は公に認められていないが独立政党の絶対的指導者が娯楽で楽しんでる。剣闘士である間は新月の夜に死ぬのを防ぐ薬をもらえ、30勝すると引退できる。
・1勝ごとに、狼女を抱ける。一緒に収監された女をずっと抱き続ける。女は45回抱かれると引退できる。
・主人公はもともと木工所で働いていたので、剣闘士を木彫りすることにして色々つくる。
・30勝超えても女を引退させるために戦うが、絶対的指導者をテロで殺す計画に加担し、最終決戦で負けるが相手もテロで殺すつもりだったらしく、指導者は死ぬ。
・その後、殺されそうになるが逃げ延びて、木彫りを収監されてる女に届ける・・・といった話。最後、新月の夜に死んだら月面世界に生まれ変わってスナクジラの背に乗って…という描写があるが、どうなのか不明。
・結構長いし、ホワーっとした感じで雰囲気は良いが、まぁそんなところ。短編集の他の作品とは連携しない。
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私が小田雅久仁と初めて出会ったのは、「日本SFの臨界点[恋愛篇]」に掲載された「人生、信号待ち」。確かに読み終わって久々に胸が熱くジーンと鳴った。そう、この読後感がSF恋愛小説に求めていたと評した。
そして二度目の出会いは、「Genesis 時間飼ってみた」に掲載された「ラムディアンズ・キューブ」。この時もかなり強いインパクトを受け、私にとって注目すべき作家となるかもしれないとの予感が滲み出してきた。そして、そうなるためには最新作「残月記」にかかっているので、慎重に読み進めていきたいとも評していた。いずれもアンソロジーとして収載されているが、小田作品はどちらの本においても他の作品よりも遥かに抜きん出ていた。
そして今回、満を持して手に取った「残月記」を読み終えた今、これまでと同じではなく、それ以上の新鮮な感覚・感動が私に降り注ぎ、久しく味わっていなかったSFの醍醐味を取り戻してくれた。
パラレルワールドはSFの基本中の基本であり、つい最近では筒井康隆の「パプリカを深夜のテレビで見たが、大御所には申し訳ないがどうも世界を移動する人間の心の動きが直線的すぎる。昔はパラレルワールド自体が素晴らしいアイディアで、その移動・跳躍技法の斬新さを競っていたのだが、次第にネタ切れで作品の絶対数が萎んで現在に至っている。
「残月記」は極めて静かな愛に溢れる世界を描くだけでなく、異世界の描写が幻想的でリアル。この融合が小田雅久仁の醍醐味ではあるが、今後この形をどの様に発展させていくか期待している。過去の作品にも興味があるので、SFマガジンを探しに神保町に行こうかな。
そうそう、他の2作についても簡単にコメントしてみる。
「そして月がふりかえる」
ストーリーは極めて初歩的なパラレルワールドなのだが、どうも知らないうちに主人公に感情移入している自分がいる。受け入れる、受け入れるしかないんだと、自分にも言いかけながらラストを迎えた。
「月影石」
パラレルワールドの相対する世界は、本当は自分の夢の世界じゃないのかと子供時代は思っていた。しかし科学の進歩により、夢は脳に加えられた多くの情報を基に組み立てられたものであることが解明された。確かに、相対する世界を人間でしか生きていないのがその証拠。
本作品の様に、相対する世界が絶望に満ちていたとしても、自分なら藻掻き足掻くに違いない。絶対に「生きる」ということに精いっぱいであり続けたいと思うはずだ、自分なら。
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残月に照らされた記憶の浮遊。
静謐に根を張るような愛。
それは、満ちるでも欠けるでもなく、
背中合わせのまま響き合う。
混沌とした美しさと恐怖のようにそれらは綯交ぜになり、けっして目を逸らすことができない。
月はもう、以前とは同じ顔をしていない。
毎夜のようにそこにあったはずの月は、
もうこの空のどこにも昇らない。
そのくらい影響力を感じる作品でした。
満ちた月を見るたびに、
きっとこの世界観を思い出すと思います。
文体に独特な美しさがあり、
心に響く文章が散りばめられていて、
本屋大賞ノミネート作品となったことで、
読む機会となり、本当に良かったと思いました。
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1頁ほとんど隙間なく活字!
でも美しく流れるような文章は読むのが気持ちよかった。
いろんな感想があると思うけど、私には切なく一途な恋愛小説のようでした。 https://t.co/GeijEiMkPU