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そして月がふりかえる
月景石
残月記
それぞれが別の話。
共通点と言えるのは月がキーワード。
『そして月がふりかえる』
タイトルから想像した内容と全く違っていて、
不可解だけどホラー的だとも思いました。
でも、どこか救いがなく物悲しい話。
『月景石』
見えない引力に抗えず、夢と現を行き来する
地球と月世界の狭間で翻弄される物語。
ファンタジー、ホラー、イヤミスなど、
分類は曖昧ででもどれにも当たるようで、
反対にどれにも当てはまらないような
頭を粟立てられて混乱させられる話。
『残月記』
不幸にも月昂という不治の病に感染して
社会から阻害されてしまった主人公は、
ただ生き残るために闘いに明け暮れる。
同じように暗い絶望の縁を歩く女性と出会い、
僅かずつ心を通い合わせてゆく。
相手をよすがとして想い抜いた切ない話。
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衝撃の読書体験。でも、好き嫌いが分かれそう。
途中はグロいというか溝が深すぎるというか、読んでいて辛いところがあったものの、最後の残月記でうるうるきた。ちょっと異世界にワープする感じが新鮮。
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面白かった。短期間で集中して読んだ。短編二つは少し怖いが、続きを考えて想像が膨らむ。
長編の残月記は設定の深さや状況描写のリアル感が圧倒的でのめり込んだ。作者の創造力が凄い。どんどんと主人公の冬芽に感情移入していってしまう。
コロナ禍でディストピアな世界観がリアルで怖いところがとてもいい。
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話も月に関わるSF中編小説。
不思議な世界観に包み込まれる。
月は人の心を動かし、決して裏側を
みせない。月が振り返った時、人は
どうなるのだろう。
最後まで読み切れるか心配だった。
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圧倒的な文章力に時間を忘れ最後まで読んでいた。現在過去未来三部作なかなか素晴らしかった。仮想の世界の話ではじめはなんか辟易したが、最後の残月記は人生の最後には行ってみたい世界だ❗️
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月をテーマに据えた三編は、いずれもどっしりとした重量を持っている。
そして、初めて月を手玉に取る人(作者)を目撃した。
月を転がしながら物語を紡ぐ巧みさで、総じて裏返った世界を見せてくださった。
これは一種のトリップ体験だ。
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三つの話が読めました。どれも月が重要な鍵になっています。広告などでダークファンタジーと書いてあったけどファンタジー文学とは一線を画している気がします。幻想エキス入り文学。芥川賞寄り。
表題になってる残月記は月齢により体調や精神に影響でて、法を犯すような行動とる月昂(激昂と掛けてあるのか?)という病気のある世界で、独裁政治下の日本という設定。月昂を発症すると、昔のライ病みたいに隔離される…というところから、わりととんでもない遠くまで話が進んで、純愛小説?って印象でした。
最初の「そして月がふりかえる」はさらっと読める。月により世界が変わった男の心理描写。
「月景石」ファンタジー要素を一番感じた。パラレルワールドの話。月桂樹とも掛けてある、と思う。
いずれにせよ、本屋大賞候補ってことで気軽に読むと重くて胸焼けするかも。好みの分かれる本です。
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月がテーマの3つの中編。
ちょっぴりSFな感じも漂いつつどこかしら不気味な雰囲気がある。
それが何とも言えないくせになって読んでしまう。
特に一個目の話が怖かった・・・
自分の中では月イコール優しく夜を見守ってくれる的なイメージがあっただけになんだか月の裏の顔を見せつけられたようでドキッとしてしまった。
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今まで体験したことが無いような、想像力が迸る作品でした。
こういう出会いがあるから、本を読むのはやめられませんね!
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セリフがすごい少なくて読みにくいけど、文章の表現力がすごいのか頭の中でどんどん映像化された。
SF?ファンタジー?表題作は壮大な愛の話。短編2作とも中途半端なとこで終わった。
本屋大賞ノミネート作品にしては重いような?なんでこれノミネートされたんやろ?
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月に関係する短編集3つ。
①家族4人でレストランへ。食事途中でトイレにいって席につこうとしたら家族に「あなた誰?」と言われる。
怖がられ、ん?となり、訳がわからないうちに知らない男が自分の席に。
なんと、月の光によって、別人に!
誰が別人に?自分が別人に?元の家族が別人に?
怖い。
②マンションの隣に住む女の子が儚げで気になっていた。
何度か挨拶などするうちに3人姉弟であることがわかる。
ある日、弟くんたちに「今日は、お姉ちゃんは?」と気軽に聞いたら、なんとなんと!
僕たちは2人兄弟で姉はいないという。
嘘を言っているようには見えない。
え?じゃあこの間、会話したあの女の子は?誰?何?どういうこと?
胸に月の石?
ファンタジー要素もあるが、いや怖い。
③近未来物。
月昂という感染症で、たくさん人が死ぬ。
救国闘技会で闘士となり戦う冬芽。
勝てると、ご褒美として女を抱ける。
やってきたのがルカ。
砂の中を泳げる月鯨。
ファンタジーっぽい。
大人は面白いと感じる内容。
おっさん向けかも。
女性を軽視する内容もあり、
夢見る中学生には無理なエロさ。
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月の見え方が私の中で変わってしまった3編です。
そして月がふりかえる
人生が変わる大学教授?高志が家族からも忘れ去られる
。孤独。
月景石
石の中の景色。異世界に行く。
大月桂樹の世界。怖い。
残月記
月昂者という月の満ち欠けで変わる(伝染病)は、
激昂からの言葉の変換かしら?
近未来の伝染病と現在のコロナウイルス。
差別と偏見は未来も続くのか。
冬芽の心の動き瑠花の香りの思い出、名前からおもしろい。
近未来映画を見ている様なおもしろさ。
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月をモチーフにした3つの短・中編が入った本です。SFに当たるのでしょうか?1,2作はホラーのような気持ちの悪い話です。3作目は、実際あったことのレポートのようなリアルさのある内容です。
「そして月がふりかえる」は、比較的順調に生きてきた主人公がレストランでトイレに入って、戻ると、皆が月を見上げ停止していて、再開後から、さえない人生を歩む別の人と入れ替わる話です。気持ちが悪く、これを書いた目的は何って 思ってしまいました。
「月景石」は叔母からもらった不思議な石を枕に敷いて寝ると、別世界に飛ばされる話です。2つの世界が並行して進みますが、これもどういう意味で、別世界に飛ばされるんだろう??っと思ってしまいました。
1,2作は好きではありませんが、第3作は好きとまでは言いませんが、1,2作ほど嫌いではありませんでした。「残月記」は、日本が一党独裁となり、また月昂者という病気が蔓延した社会で、月昂者となった主人公が生きていく話です。ハンセン病からイメージした話のように思いますが、社会的に迫害される月昂者が、生きている物語です。問題提起としても興味深かったです。
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煌々と照る月はいつでも美しい。恒星は輝くとしても、衛星がなぜあんなに光るのか。鏡でもないのに。そして、太陽光と違って肌に有毒な紫外線を月の反射光は含まず、日焼けをしないんだとか。京極夏彦さんの小説に、太陽は命を与える光だけれど月は死んだ光。だから太陽の光は死に行く速度を早めるが、月の光は生きるのを止める。月の光の中でだけ、生き物は生命の呪縛から逃れられる。そんな印象的なフレーズを思い出させてくれるファンタジーだ。地球の引力が月の自転を調整して常に同じ月面が地球に向く、これまた分かったようで分からぬ不思議。
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独裁国家となった近未来の日本を舞台にした表題作ほか、月をモチーフに描いた2つの短編を収録。
突如パラレルワールドに放り込まれる「そして月がふりかえる」、夢と現実を行き来する「月景石」、ともにあり得ない出来事のはずなのに、やけにリアルで胸に迫ってくる。設定こそSFだが、そこにとどまらないより深い味わいときらめきがある。
表題作「残月記」も同様で、独裁政治や特殊な疫病などによるディストピアな世界は決して目新しいものではないのだが、残酷な運命に翻弄されながらも生き延びようとする主人公の姿の、その息づかいまでが生々しく伝わってきて、圧倒された。終始出口のない哀しみに覆われているけれど、不器用で純粋な2人の恋愛物語は読後もため息の出るような余韻を残す。
そういえば、タイトルにひかれて『本にだって雄と雌があります』を購入したのはいつだったろう。同じ作者の作品だが、なぜかずいぶん長いこと積読になっているのでこれを機に掘り出してみたい。