紙の本
硬軟取り混ぜた書評
2023/07/21 17:30
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投稿者:つばめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は中東・イスラーム地域研究を専門とする東京大学名誉教授である。本書は著者が1992年から2021年にかけて、新聞、週刊誌等に掲載した75冊の書評をとりまとめたものである。紹介されている75冊は、硬軟取り混ぜ、『外国人レスラー最強列伝』のような一見、歴史となんの関りもなさそうなものから、『言志四録』、『アルファフリー』のような一般人には縁遠い、学者のプライドが垣間見られる本まで様々である。75冊の書評を全て理解するのは、一般人にとっては難解と思われるが、既読の本があれば、賢人がどのようにそれを評しているか、自らの読後感と対比させれば一興であろう。歴史を学ぶ意義を述べた、著者の次のコメントは、このご時世、特に印象に残った。<歴史を探求することで、強者が弱者に負け、成功者がまたたく間に敗北者となって表舞台から消え去る「歴史の畏怖」を知る意味が大きい。>
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歴史に関する書籍75冊の書評集。1冊あたり概ね2ページ〜4ページの短さで説明されていて読みやすそうに見えたが、意外と難しくて読むのに時間がかかった。私が聞いたことがない本・全然知らない知識・専門外の内容ばかりで難しかった。読むのが大変だったが、学びは多かったとは思う。
23ページ
ある一つの地域や時代に詳しいだけでは、物事を類比することはできない。自分が好きな領域だけに閉じこもっていては、その分だけ知識は増えるであろうが、歴史の大局的な見方はなかなか磨かれないのである。
→同意はするけどやはり知らない領域・苦手な領域を学ぶのは難しい。
71ページ『アルファフリー イスラームの君主論と諸王朝史)』
望ましい知識とは、「学問の専門家と相談し、当面する困難状態をそれによって克服することを可能にする程度に学問に親しむ」ことを意味する。政治家は学者になる必要がなく、必要なときに学者を活用すれば良いのだ。
→これも同意できる。現代でも同じことが言えるし、もっと言えば政治家と学者以外の組み合わせでも当てはまると思う。現実的で合理的な落とし所はここになることが多いだろう。
245ページ『ハイブリッド戦争 ロシアの新しい国家戦略』
日本人は軍事という観念をあまりにも狭くとらえがちな国民である。古典的な陸海空の戦争空間ではなく、宇宙・サイバーを通した挑発や衝突は稀な現象ではない。
→(主語が大きすぎるような気はするが、)主旨には気づきがある。昨今の海外からのDoS攻撃やフォームスパム送信の増加は国際的な攻撃であり軍事の一部と考えるべきというのはわかると言えばわかる。
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1992~2021までの新聞・雑誌記事をまとめたもので75冊の本を紹介。硬軟様々ではあるが、全体的には軽めの本が多い印象。特に、5章の現代パートには書名からはやや逸脱した「歴史」に関する本とは言えないモノも含まれており、少々強引に集めてしまったようにも思える。
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ロシア大統領の特徴は、なるほどと。
そういう風に歴史を使う政治家が、この国にはいるのかと。私たちの国の総理が、観光地に招いて結局何も生み出さなかったことを、歴史として厳しく記憶しておく必要があろう。