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日本・香港警察間での捜査協力関係構築の一環として、神田神保町に設置された特殊共助係。ただ警察内部では香港関係者の接待役程度にしか見られておらず「香港警察東京分室」と揶揄されていた。
その分室に持ち込まれた捜査事案は、香港でデモを扇動したうえに助手を殺害した容疑をかけられている元教授の逮捕。しかし捜査を進めていくうちに、香港系の犯罪グループの襲撃に巻き込まれる分室メンバー。
次第に明らかになっていく国家の謀略とは―――。
スピード感があり、アクションシーンも迫力がある。と思ったら脱力系のやり取りなんかもあったりして、そのギャップが読んでいて面白かった。
日本国内で他国の警察組織が公然と活動するというストーリー展開は相当無理があるけど、B級アクション小説に徹するという著者の開き直りのようなものを感じたので、まあこれはこれでアリかなと思った。
10名の主要登場人物はほぼ平等に描き分けされており、曲者揃いのメンツの個性がちゃんと浮かび上がってくる点もよくできている。ただ全てを見通す神のような存在として描かれている水越管理官の設定だけは、ミステリーとして読むとマイナスになっている気がしなくもない。
また、恐らくシリーズ化を見据えているせいなんだろうけど、主要登場人物について誰か死んでくれとは言わないまでも、最終的に何となく落ち着くところに落ち着いてしまった感はあり、読後やや物足りなさは残った。
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これぞエンタメ警察小説!
映像化ができそうなスピード感・アクション場面&登場人物の多彩なキャラクター
香港の複雑な問題を絡みつつ、派手な銃撃戦もあり、疾走感のある文章で爽快だった
ただ話が進む際に、場面場面で視点が10人いる主要人物の視点が次々と切り替わるので、やや混乱しやすかった
映画化するならこの人に、と俳優と当てはめながら読み進めたら、映像がより鮮明になり読みやすかった
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直木賞発表直後に読み終わりました。残念ながら受賞とはなりませんでしたが、スピード感があって、おもしろかったです!
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アクション満載の一編。
一癖も二癖もあるキャラばかりの中で、キャピキャピしたキャラの水越管理官が印象に残る。
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日本警察と香港警察から選抜されたメンバーで構成された分室が捜査にあたるのは、香港から日本へ逃亡した元教授の逮捕だった。しかしそのさなか、強大な犯罪グループによる襲撃を受け、さらなる謀略が明らかになってくる。アクション満載の警察小説です。
一癖も二癖もある、いわゆる「はみ出し者」ばかりが集められた分室。だけれどこういうのって、大概優秀な人ばかりなんですよねえ。もちろんこれも例外ではなく、いろんな意味でとんでもない人たちが揃っています。ただし、日本警察と香港警察の間にはやはり壁のようなものがあり、協力体制を取るという建前はあるもののどちらも相手を信用していない印象でした。しかし国は違えども、それぞれの国や警察に対する思い、そして誇りを守ろうとする姿勢は同じなんですよね。いずれは素晴らしいチームワークが生まれてくるのでは、という期待も。続編にも期待したいです。
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月村さん得意のドンぱち物。日本でショットガン撃ちまくって虫ケラのように人が死んでいく。
これシリーズ化させるつもり?
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香港の警察機関が日本警察と組んで東京に分室を作り、そのメンバーが国際的陰謀に立ち向かう活躍を描いた作品。香港と中国、日本と中国の現在の状況を考えると、なかなか面白い題材だとは思うが、もう少し深掘りした方がより面白味が増すのではないか、と思った。いろいろな要素が詰め込まれ過ぎているようで、ちょっと物足りなく感じた。
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2047問題なんて知らなかったな。とても勉強になりました。
物語前半は悪くはないけどやや軽い印象で、2047問題が背景にあるのが明らかになってからは香港と中南海を取り巻く権力闘争の代理戦争が日本を舞台にして行われているという意味で重みを増していく展開になったのかなと思う。まあ、日本にとってはえらい迷惑な話だけど、、、
終盤のユーとシドニーとのやりとりは意識朦朧の中でということだがイマイチわからず、、、
個人的に1番響いたのは物語の内容とはあまり関係ないかもしれないけど『日本は香港よりも容易く独裁主義、全体主義の手に落ちるでしょう。いや、すでにそうなっているといったほうがより実情に近いはずだ』というセリフだな。肝に銘じたい。
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中国側も日本側も一人一人のキャラクターが魅力的で面白かった。アクション映画のような派手な銃撃戦もあり。ハードボイルドや警察小説はそんなに好みではないけど、シリアスになりすぎずエンターテイメント色が強くて私は好み。そちら系が好きな人には軽すぎるかも。
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水越管理官、いかにも頼りになるじゃないですか。キャリアなのに天然っぽくて親しみやすく、上に対して現場の要求を通してくれるわ、情報を持ってきてくれるわ。なんたって、ここ一番自分の責任で際どい判断をしてくれるんだから。どうやらこの東京分室はシリーズとして続く様相で、きっと彼女の謎めいたパワーの源が明かされていくんでしょう。これまで、台湾をめぐる問題として分かったようなふりをしていた一国二制度を学ぶ良い機会になった。香港47問題、まだ分かってないけど。ただ、東京での派手な銃撃戦にはリアリティが乏しくて馴染めず。
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香港と日本の警察のそれぞれの組織の違いが、少し判りました。上層部の意向に左右されるのは、万国共通です。
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『香港警察東京分室』ってジャッキーチェンを思わせるタイトルで思わずふふふ。と笑ってしまう。
月村作品はいつも知的好奇心を満たしてくれる。現在進行形の世界情勢をストーリーに絡ませた作品が多いので、いつも世界に目を向けさせてくれる。でもそれだけじゃなく、物語りの世界も存分に楽しませてくれる。もぉぉぉー大好き♡
『香港警察東京分室』は警視庁内で新設された部署。
正式には『警視庁組織犯罪対策部国際犯罪対策課特殊共助係』(←ナガーイ!)
まわりからは『分室』と呼ばれる。
チームは香港警察から5人日本警察から5人
各階級がカウンターパートになっている。
この10人のバラバラの思想、行動、腹の探り合いと駆け引きと心理戦…いやいや同じチームなのにっ!さらにこの駆け引きと心理戦は同じ警視庁の中でも中国政府やギャング相手にも繰り広げられてハラハラドキドキが止まらない。
日本に潜伏している、多数の死者を出した香港デモの先導者とされるキャサリン•ユーの捜査を進める中で、このチーム1人1人の心に秘める思い、警察官としての矜持が見えてくる…。それがとっても良いんです。最後はもう泣いちゃった(;_;)
チーム10人、それぞれののキャラが個性的で、仲間同士のやりとりの場面でなんど笑ったか。
激しいガンアクション、手に汗握る心理戦、心震えるストーリー…、そこに笑いまで入ってくるんだから、もう大大満足です。
ふぅーっと満足のため息で読み終わった後、
ふと、月村さんは、一つの作品を書く為にどれほどエネルギーを費やされているんだろう…と思った。自分も作品からのエネルギーを全身で感じながら、その世界を味わいつくしたい。
今は星4.5、シリーズ化が決定したら星5です(^^)もっと続きを読みたい!
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香港に関する報道がめっきり絶えた。連日雨傘運動が報じられ香港国家安全維持法が成立。その後コロナ禍をくぐり香港はどうなっているのか。私のは単なる知的好奇心だが、香港に住む人たちには対岸の火事ではない。1997年、香港はイギリスから返還された。その時に、一国二制度(一国両制)をもとに、社会主義政策を将来50年(2047年まで)にわたって香港で実施しないことを約束している。なのに、香港はかつての自由を失い、「二つの中国」という大前提が失われつつある。
今回の直木賞ノミネート作品で、私の疑問に応えてくれる作品を見つけた。社会問題を考える糸口を提供してくれる本は好きなジャンルだ。
かくして月村了衛さんの初読みとなった。
あらすじ
香港国家安全維持法成立以来、日本に流入する犯罪者は増加傾向にある。国際犯罪に対応すべく日本と中国の警察が協力する――インターポールの仲介で締結された「継続的捜査協力に関する覚書」のもと警視庁に設立されたのが「特殊共助係」だ。だが警察内部では各署の厄介者を集め香港側の接待役をさせるものとされ、「香港警察東京分室」と揶揄されていた。メンバーは日本側の水越真希枝警視ら5名、香港側のグレアム・ウォン警司ら5名である。
初の共助事案は香港でデモを扇動、多数の死者を出した上、助手を殺害し日本に逃亡したキャサリン・ユー元教授を逮捕すること。元教授の足跡を追い密輸業者のアジトに潜入すると、そこへ香港系の犯罪グループ・黒指安が襲撃してくる。対立グループとの抗争に巻き込まれつつもユー元教授の捜索を進める分室メンバー。やがて新たな謎が湧き上がる。なぜ穏健派のユー教授はデモを起こしたのか、彼女の周囲で目撃された謎の男とは。疑問は分室設立に隠された真実を手繰り寄せる。そこにあったのは思いもよらぬ国家の謀略だった――
ミステリーとアクションを織り交ぜたエンタメ作品! きっちりと現代を切り取るジャーナリズムと日本を憂う社会批評に感服した。
「香港警察東京分室」には女性陣が全部で5人、しかも日本側はナンバーワンとツーに女性を就けているのに、先ず驚いた。指揮官を務める水越警視、その補佐に七村警部、そしてヤンキー風情の山吹捜査員も腕っぷしがいい。香港側の女性陣はハリエットとエレイン。5人ともそれなりに見せてくれるが、水越警視の一見おとぼけ風を装いながら鋭く突いてくるキャラは、今後必須となる人物かもしれない。
アクションが素晴らしく、次々と新奇の武器が使われる武闘シーンが展開され、まるで映画を観ているようだった! 終盤にシドニー・ゲンの心の奥底が明らかになるシーンで心が締め付けられたが、煙に巻かれたような気もする。キャサリン・ユー元教授の母心を逆手にとった息子に対しても似た思いを持った。ネタバレになるので詳細は書けないが、穏健派だったキャサリン・ユーがデモを起こし追われる身までになった理由は、極めれば”母性”だったとも取られ兼ねない。読後しばらくして冷静になり、納得感動させる結末は、もっと別な展開で解決して欲しかったと残念な思いも残った。
読み終え依然として小説中にあったセリフが甦る。
日本人は自由のない社会、特定��政治勢力に支配された社会を当たり前のように受け入れていると糾弾、『日本国は香港と同じ道を辿っている。しかも恐ろしいまでの早足で、なんの疑いも抱かずに。(略) あなた達は権力に対してどこまでも従順であるばかりか、抵抗する人、疑問を投げかける人を皆で嘲る。進んで自由を投げ出そうとする。香港人の私にはまったく信じられないことだらけです! 』『断言しますが、日本は香港よりもたやすく独裁主義、全体主義の手に落ちるでしょう。いや、すでにそうなっていると言った方がより実情に近いはずだ』
心が痛んだ。月村さんはこのことを真っ先に伝えたかったと、インタビューで語っている。
嵯峨秋人警部補の出自もユニークだった。その度胸は暴力団にも請われていて、彼は暴力団側の就職話をきっちり断り、警察の仕事を選んだという人物設定だった。刑事もので似たような人物が登場して苦々しく感じていたが、今回初めて警察の荒仕事にはやむを得ないのかと思わされた。
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香港警察と日本警察のメンバーが協力して事件を解決していく物語です。
香港と日本の同じ課のメンバーであってもお互いの立場を尊重せず対立気味で、自分たちの利益のために動いている印象でした。
国による捜査のアプローチや、考え方の違いが大きいのでしょうね。
これまで読んだ警察小説は、他国の警察組織と連携するものは読んだことがなかったので新鮮でした。
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現在の作家で、日本国内での市街戦を描かせたら一番上手い(と思います)、月村さんの本領発揮の一作。
本筋のキナくささだけで無く、日本と香港(中国)メンバー全員のキャラクターが満遍なく立っていて面白く読みました。