投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
神宮寺藩江戸藩邸差配役・里村五郎兵衛。陰で「なんでも屋」と揶揄されながら、人がやらない仕事を諸々引き受けるお役目。そんな里村の元には大小様々な藩邸内の揉め事が持ち込まれる。
日日控という表題どおり、里村の業務日誌のような短編4篇に、藩邸内に蠢く謀略の行方が描かれる最終話を加えた5つの話。
なんといっても里村の佇まいがいい。「なんでも屋」と揶揄され、中には腐るものもいる下役たちに差配役の仕事の何たるかを諭す姿。里村の仕事に対する矜持に触れることで下役たちも自然と学んでいく、正に理想の上司。
前半の藩邸騒動記のような短編はそれぞれが気軽に読め、最終話「秋江賦」では全ての話が一つに繋がり重厚な長編のような構成に。
最後には全ての伏線が回収され、さらに驚きの事実も明らかに。里村が10歳の世子・亀千代に告げなければならなかった事実と、若君の尊厳を守るためと主君にさえ貫いた秘密には胸が熱くなった。
里村はさることながら、亀千代、澪、安西、曽根など脇を固める登場人物も皆魅力的で読み終わっても藩邸を去り難く後を引く感じ。
心がホッと温かくなる作品でした。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
2023.12.12
穏やかな筆致がさえているという印象が一番。主人公の役職は目の付け所が良いという印象。やはり、主人を持つサラリーマンはストレスたまるよなという印象
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
神宮寺藩江戸藩邸を舞台に何でも屋の差配役里村五郎兵衛の誠実で思いやりのある働きを描いている。登場人物も味のある面々で、物語もきな臭さはあるものの淡々と進み最後の章で一気に弾ける。読んでいてハズレのない書き手で、この本も面白かった。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
書店で見かけたかわいい野鳥”アオジ”と黄色のイチョウに彩られた表紙に惹かれ、内容もよく知らずに図書館で借りた時代もの。
主人公は江戸藩邸の差配役、今で言うとコンシェルジュのような存在。
穏やかで真面目なリーダー、冷静である反面、人間らしい一面も見え隠れする好印象な人物。
そんな五郎兵衛が、若君の失踪からいなくなった猫の捜索、お家騒動にまでも巻き込まれて行く。
そうは言っても全体に漂う空気感はとても静かで、
そこに咲く花や野鳥の鳴き声が見え聞こえするかのような描写にほっこりした。
この作品、これで終わりな感じがしない。
続きがありそうなエンディングに期待大。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
既刊神山藩3作のような新鮮さはなかったかな。
隠居と若嫁、三兄弟、祖父・父・孫と、
それぞれの関係性の静けさが面白かったが、
今作は、どこか急ぎ足な気がした。
何でも屋というところが、やや気にかかる。
ミステリーとかサスペンスとかの方向へ行かないでほしい。
砂原浩太朗と同時に、
乙川優三郎と藤沢周平を見比べてみると、
自分の好き嫌いがわかってくるような気がする。
砂原浩太朗は追っていきたい作家なので、
次も読んでみたいと思う。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
時代小説に対する苦手意識はなくなったとはいえ、まだまだ自分から積極的に手を伸ばすほどではありません。それを知っている人なのにわざわざ貸してくれるのは、相当良い本ゆえのことでしょう。
江戸藩邸の差配役が主人公。「何でも屋」と陰口を叩く者がいるとしても、『勤め』はおしなべて誰かが喜ぶようにできているものだという言い草に思わずにっこりしてしまう。聡い若君とのやりとりも楽しい。明るい話ばかりではなく、物騒な事件もたまに起きたりして、硬軟のバランスがちょうどいい。
四季を通して藩邸を見ていたような気持ちになりました。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
時代小説なんだけど、気苦労が絶えないお仕事小説の一面も強かった。最後まで安心感のある流れ。もっと各キャラクター達との会話を見てみたかった感はあるかな。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
この作家の作品としては、高瀬、黛家ときて3作目だが、同じ江戸の武士ながらもう少し雑用総務課のような役回りの差配役が主人公。
キャラクターは個性的ではないし、出来事もありきたりな感じながら、それが時代の雰囲気を自然と出しているようで読んでいて心地よい。5つの短編連作になっているが、寝る前にひとつ読んでまた翌日という感じで1週間足らずで読了。終わり方もいいので続編にも期待する。
時代風景も描き方もいいが、出てくる料理が実に美味そうで、小料理屋の登美岡には行ってみたくなった。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
このところ、連続してとうっかモノを楽しんでいる。
帯にある「高瀬。。」「黛家。。」に続いてこれが記されているところを見ると、佳作とみられているのだろう。
思った通りの良作、朝に読み終えていい気持ちになれた。
筋でいえば、ありふれたといってもいいだろうが行間に流す余情がこなれている。
5編が収められている~若君失踪、入札疑惑、妖の女譚、正室の愛猫顛末、そして底流を流れていた藩邸の膿・・
きっちり骨組みを立てているから、伏線回収が収まるところへ行くのに違和感がなくすっきり
差配役 五郎兵衛、娘 七緒と澪 亡き妻の妹咲乃
五郎兵衛は40半ばか・・時折顔を出す聡明な少年 若君
国元 藩主和泉守
藩邸の狸 大久保、岩本、
お勤めは【しょ―もない事】ゆえの煩雑さ・・だからこそ人との細かい折衝は肝心
「薄い背」「鬢の白髪」「厚い唇」「眠そうな瞼」等など手垢が付いたとは失礼ながら、多用して散りばめ散ることがあるので舞台が眼前に現れる。
小物の情景・・茶碗の底のぬるい茶
雲の広がる空、橙色が染められていく夕景・・etc
神宮寺藩・・を神山藩と一緒に追わなきゃ。
引き続いて楽しめる作家・・だ