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大好きな作家のひとり、このお話しもハズレなし。
ベトナム戦争、私が小学校を卒業する頃までやっていたということ、プラトゥーンやディアハンターなどたくさんの映画で描かれているように、ベトナムにとってもアメリカにとっても悲惨な歴史である事は何となくわかっていたが、実は何にも知らないということがわかった。
登場人物ひとりひとりの言葉がとても重い。
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物語はある普通の家庭で生まれ育った娘が大学の友達と海外旅行に行くため、パスポートをとるというところから始まります。
パスポートを取るためには戸籍謄本か抄本が必要なわけですが、その戸籍謄本には母がベトナムで生まれたベトナム人であるという出生の秘密が書かれていて、その秘密を娘に明かすことにより、物語が動き出します。
本物語は、5歳でボートピープルとしてベトナムから日本に渡ってきた母視点、その母と日本人の間に生まれた娘視点、ベトナム戦争で負けた南ベトナムから家族を連れてボートピープルとして逃げてきた祖母視点で語られる、親子3代に渡る物語です。
南ベトナムでは裕福だったものの、北ベトナムにより統一されたベトナムでは生きていけないと命からがら逃げてきた当時の祖母視点、5歳でベトナムから日本に渡ったため、ベトナム語も話せずベトナムに興味すらない母、ベトナムの血が入っていることを知ってから、自分のルーツが気になって仕方がない大学生の娘、この3人の視点は全く違うはずなのですが、物語がしっかりと繋がっていて、読んでいてしっかりとまとまっている印象で非常に読みやすかったです。
また、ベトナム戦争は知っているものの、その内容はしらない、ましてボートピープルって何?な私にとってはベトナムの複雑な歴史を知るというきっかけを与えてくれる作品だと思いました。
さて、そんな私が本作を通じて思ったのは
「なんでもない平凡な私達には歴史がある」
ということです。
一見、ベトナムが大変で逃げてきた難民の話で、私には関係がないお話かと思えるかもしれませんが、読んでいてしきりに思ったのは、実は今を生きる、普通に生活をしている私がここにいるということは、月並みですが、物凄く奇跡なんだということです。
よくよく考えれば、私の祖父や祖母は第二次世界大戦を生き抜いているわけですし、ご先祖様は江戸時代の飢饉を生き抜いていたり、戦国時代を生き抜いていて、実は複雑な日本の歴史の中でも奇跡的に生き延びてきた人たちがいたから、今の私が存在しているだなと思いました。
これは、本作品が南ベトナムがベトナム戦争に負けて、国が統一されて、新体制から逃げてきたボートピープルである祖母視点を読んでいて思いました。
しかし、私はそんな自分のルーツをほとんど知らず、日本の歴史の流れだけ知ったまま何も考えず、普通に暮らしている本作品の母と変わらないんじゃないかと思いました。
本作品のこんぱるいろとはベトナム語で、我々の認識している青ではターコイズブルーのことを指すようです。
このこんぱるいろは作中の祖母の故郷であるニャチャンの海の色のことのようですが、この作品の題名『こんぱるいろ、彼方』とはニャチャンの海から彼方の日本を指すのか日本から祖母が思いを馳せるニャチャンの海を指すのか。
その答えはわからないですが、思い描くこんぱるいろは作中の3人の女性それぞれが同じ違う色を描くんだろうなと思いました。きっと私が思い描くこんぱるいろが彼女たちの思い描くこんぱるいろと違うように。
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Kindleで読んだ。
1978年。戦争が終わり、体制の変わったベトナムから逃れるため、スアンと子どもたちは船に乗った――。
日本人として家族と暮らしている真依子は、子供の頃にボートピープルとして、家族とともにベトナムからやってきた。
自分がベトナム人であることを子どもたちに明かさずに暮らしている真依子だったが、娘の奈月がベトナム旅行に行くのをきっかけに娘に伝えて――。
春恵(スアン)、真依子、奈月の母娘三代の物語。
母から伝えられてベトナムについて理解を深めようとする奈月がすごいなぁと思った。
真依子みたいに無関心な気持ちもわかるから。
同じアジアだから、顔ではあまり分からないのかもね。
タイでも日本人かな?タイ人かなって分からない顔の人も多いし。
“ボートピープルとして日本に来て、真面目に働き、姉を大学、兄を大学院まで行かせ、一軒家を建てた。よくぞ、よくぞここまで。そんな言葉が、ふと頭に浮かぶ。 よくぞ、よくぞここまで。”
本当にすごいことだよね。
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ベトナム戦争の時に南ベトナムで過ごした家族のこと。ボートピープルとして脱出してきた人々のこと。知らなかった。
民主主義に相反するのが共産主義として描かれていたけど、共産主義は経済体制のこと。民主主義vs独裁君主 共産主義vs資本主義なのでは?そのねじれに違和感を感じてしまった。