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紙の本
扶桑社新書式「真実」かと思いきや
2023/05/05 14:17
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投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
扶桑社新書なので、岩波文庫の「春香伝」すら読んだ事がないらしい宮脇淳子式の「真実」かと思いきや、なかなかにしっかりとした本だった。ウクライナの宗教を扱った一般書はあるかどうか分からないが、単純な「支配者たるロシア・ソ連」対「被支配者たるウクライナ」といった二元論でない事に好感が持てる。ロシア帝国が単なるロシア人の国家でなく、ツァーリを中心とした諸民族の国家だったのは、マンネルヘイム元帥が帝政時代のロシア軍の将軍だった事を想起すればいい。ソ連も少なくとも出発点は大ロシア主義を否定した「国際主義」を掲げた体制だ。
著者はソルジェニーツィンからロシア研究に入って共産主義時代にラーゲリがあったソロヴェツキーで正教会の洗礼を受けたとあるから、生まれながらの正教会の信者ではないわけだ。正教会の用語を多用しているのは、いつも使っているからだろうが、一般の読者には馴染みがないだろうか。
1941年6月22日の戦争でドイツ軍占領下のウクライナで教会が再開されたとある。当時のウクライナを支配していた国家弁務官のエーリヒ・コッホにとって、ウクライナはユダヤ人は「絶滅」して「劣等民族」は搾取すべき土地に過ぎないはずだ。ローゼンベルクの東方占領地省とは不仲というから、コッホの部下で、ある程度ウクライナについて知識がある人が立案したはずだ。ドイツ軍が教会を再会した事がソ連での宗教の生き残りの分岐点となったにしろ、ロシア正教会はウクライナの教会にとって新たな支配者であり、同時にロシア正教会の存続にとって必要な存在となったのは皮肉な話だ。
ロシア正教会の総主教をはじめとする人々がKGBのエージェントである事は知られているが、ウクライナの教会にも同じような立場の人はいるはずだ。
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