紙の本
学校の問題は社会を写す鏡
2023/06/10 10:46
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投稿者:雑多な本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、日本経済新聞社社会報道グループの教育担当チームが2021年10月から23年1月の連載企画「教育岩盤」の記事をまとめたもの。読み進むと、日本が劣化している言われる問題は教育だけでないことも解ってくる。日本が置かれている状況は、英語を母国語としていない国・地域での日本人の英語力は低く、相対的に低下し、ITスキルを持つ人材も振るわず、今回のテーマである「低学歴」で、博士号取得者の減少が取り上げられている。目次を見ると、
はじめに 日本人の「低学歴」化を見つめる
第1章 変わらない日本の「学校」
第2章 いびつな日本の「学歴」問題
第3章 二極化する「入試」、形骸化する「偏差値」 となっている。
確かに、教育体系にしろ、教育現場にしろ、閉塞感が漂い、教師を目指す人が減少、少子化がとどめをさすような事態になっている。ITに遅れ、訳の分からない校則を後生大事に抱え込む姿はなんとも言えない。しかし、問題は学校だけだろうか。本書でも指摘している経営者に大学院卒、博士号取得者が少ないというのは学校の責任だろうか。明らかに企業や社会の責任で、博士号を持つ人は大学に集中し、研究所も含め、非正規が多く、雇止めで社会問題になっているが、教育の問題であろうか。そもそも、企業が大学院卒を積極的に採用すれば問題は緩和されたはずである。大学進学率が上昇したというけれど、世界的に見て伸び悩んでいる姿も見える。学校の状況では、低学力の生徒・学生に対応しきれず、ギフテッドと言われる人も含めて、高いレベルを求めることにも対応できずという状況はよくわかる。それでも過度の平等主義という決めつけはどうかと思う。適度な平等はどういうものか示していない限り意味不明となる。詰めた説明が必要だろう。
社会の問題として見ると、社会的に一般入試が問題として取り上げられ、その結果、今や推薦型、総合型が半分を超え、低学力の大学生が生まれてきている。大学の問題だけとも思われない。少子化で高校や大学が囲い込みに躍起になっている。PTAのことにしろ、日本社会の問題であり、現実に起きていることを理解するには必要な書である。一読してほしい本である。
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テレビ東京で朝放送している「モーニングサテライト」(モーサテ)で、中国の話題を取り上げていた。
現在の中国は買い手市場で、企業側が学生に求める要求も上がっている。
企業の中には「博士」あるいは「修士」限定の募集をしている所もある。
日本はどうかというと、学部卒の方が院卒よりも好まれる。
少子高齢化が問題になっているが、教育も様々な問題を抱えていて、放置していると日本が「オワコン化」する可能性がある。
教育制度自体、時代に合わないのに文部科学省、学校で変化を好まない人たちがいるので変わらない。
優秀な人材はいても、理系だと医学部に流れてしまう。
偏差値が高いから医学部で入り、実際に医者になると不適合な方が出現している。
血を見るのがイヤ、メスを入れられないと笑うに笑えない事例があるそうだ。
読み進めていくと、日本の教育が抱えている問題が大きくてため息がハーと何度も出た。
日本は人が「資源」なのだから、教育をガラッと変えていかないと、将来ムンクの叫びのようなことになる。
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最近読んだ他の本と合わせて、本当に日本の学校はオワコンだなと。
かといって国が変えてくれるのを待つのではなく、現場レベルで変えられるところから変えていかないとと思います。
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文章が好き
作品全体の雰囲気が好き
内容結末に納得がいった ◯
また読みたい
その他 ◯
こどもの将来のために、読んだ。
こどもが少なくなっていくなかで、生き残りを模索する「学校」。
こどもたちにとっては、良くいえば、いろいろな環境が提供されている恵まれた状態。
自分の進路を選ぶときに、何をやりたいかがしっかりかたまっていれば、いいんだと思う。
自分のこどものことだけを考えるのであれば。
日本の将来のことを考えた場合、この教育環境にいいところは無いように思う。
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新聞の連載をまとめたもの。
学校の問題がさまざまな視点から語られている。
これに対して、文教族の議員や文科省の対応などが書かれていれば、よかったが、そのような記述がなかったのが残念。
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小中学から準備して親が高収入でないと入れない大学。そして、入学も卒業も簡単な大学。
そんなところで4年学ぶ気になりますかね?
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日経新聞の連載記事の書籍化なので内容的には薄め。ある種の「平等主義」の結果、下方平準化しだけという気がしないでもない。
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人口増・高度成長期に設計された教育が、少子化・低成長のいま、制度疲労が著しい。とてもタイムリーな特集だった。
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多様性に対応できてない公立校の体制 院卒を受け入れづらい日本社会など 問題点が列挙されてよかった。最後学校崩壊の章は 院卒の活躍の場の話から遠のき 少しちらかった印象。まあいいけど。
学力に関する多様性の話は 下位 上位 発達凸凹と3つ位に分けたらよいかな。
坊主がこのあたりの論文書くようで 資料の出典先調べる参考になりそう(よこしま)
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前半には、これまでの日本の教育課程の流れから飛び出た、新たな試みについて書かれており、読んでいて元気になった。試行錯誤の部分は当然ありつつも、失敗も見越しつつ、新たな試みはなされるべきだと思う。一方で読み進めるにつれて、現状についての記述が増え、だんだん気が重くなっていった。低学歴化という視点で語られていうけれど、教育の世界だけではない日本の現状ということなのだろう。俺自身、アラフィフとなり、もはや若い世代とはいえない。むしろ言いようのない閉そく感を感じることも多くなり、今の自分に何ができるのか、なかなか悩ましいところ。
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よく耳にする話題ですが、日本の最高学府である
東京大学も、世界のランクでは30〜40番目にな
ってしまうらしいです。
元々世界ランクなんて意識せずに過ごしてきた人
からすれば、「それがどうしたの?」という気持
ちであると思います。
しかしここで論じられるのは、国内トップである
東大へ送り込もうとする教育制度です。
明治時代からほぼ変わっていない日本の教育制度
は典型的岩盤規制で固められいて、関係者は既得
権益に守られているのが実情です。
コロナ禍で少しだけ議論になった「9月入学制度」
でさえも今や誰も話題にすらしていないです。
大量生産、大量消費時代には大いに効果を発揮し
ていた現行の教育制度は曲がり角に来ていると言
っていいでしょう。
教育にも多様性が求められる時代なのだと痛感さ
せられる一冊です。