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『日本人は、どんな肉を喰ってきたのか?』
2023年12月18日読了
各地の狩猟の取材記録をまとめた一冊。著者が実際に狩猟について行き、猟師にと鍋を囲み、酒を酌み交わし…といった経験をもとに執筆されている。
各地の猟場環境や狩猟の仕方の違いも面白いのだが、なんといってもハントした野生動物を実際に調理し食らう場面に、なんだか憧れてしまう。
ただ「肉を喰う」場面なのだけれども、狩猟の労をねぎらうとか、仲間と団らんするとか、もちろん恵みをいただくことへの感謝の念とか、現代の私たちが忘れてしまった経験や思いがそこにあるような気がした。
また、統計だけではないリアルな問題への言及も興味深い。
特に、地域によって狩猟の補助金が異なるために、補助金の多い地域での狩猟が集中し、野生動物が激減してしまう問題。統計上ではハンターの減少や高齢化が叫ばれる一方で、真逆をいくような問題が発生している現状には驚いた。
今年は街中でも多くの熊が出没し、人的被害も多数報道された。早急な対策を講じなければ、これからも被害は拡大し続けるだろう。地域ごとではなく日本全体の問題として、対応する必要があるのではないだろうか。