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投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
剥き出しの欲望と短絡的な凶暴性、昭和の犯罪と人間のなまなましさをこっそり覗き見たかったら松本清張で間違いなしです。
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考古学助教授の江村宗三は、元兄嫁美奈子と関係を持っていた。男女の愛憎、肉欲に溺れた江村の感情、年上の夫に愛情のない美奈子の江村に対する愛情が描かれており、妊娠したと告白した美奈子に対し殺意を抱く江村。用意周到に殺人を実行する。このまま迷宮入りになるかと思いきや、ひょんなことから警察が動き始める。悪いことはできない。お天道様は全てお見通しなのだと思う。それにしても警察の諦めない姿勢はすごい。収録された「死んだ馬」も男女の愛憎に絡む短編。清張さん 男女のドロドロの関係から地獄に向かって進む人間の身勝手さをリアルに描きます。2023年10月1日読了。
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不倫&殺人を描いた中編2作収録。どちらも相手の女性は歳上で夫側はかなり歳上、そしてダブル不倫という特色。
表題作の方は元兄の嫁さんで兄もなかなかの屑だったが弟の方も肉欲不倫を楽しんで相手を妊娠させて困ると殺害という短絡的かつ身勝手な男である。本書に限らずだが松本清張の作品では男は愛人を持っているのがデフォルトみたいなのが多い。多分昭和の価値観で男尊女卑の感が強い。
『死んだ馬』の方は美しい夫人の方が見た目劣化していくだけでなく目をつけた青年の金に吸い付くヒルの様でタイトルが秀逸。犯人側に同情もしたくなるが…。