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何のことだろうと題名を見たときにはわかりませんでした。 おしょりんとは、福井地方の方言で積雪の表面が凍った状態 明治時代、福井で眼鏡を作ることを決断した増永五佐衛門、彼がいかに苦難の末に築き上げた眼鏡産業、この作品を読んで福井でなぜ眼鏡だったのかと理解しました。五佐衛門の妻むめが結婚相手の弟、幸八と間違えた時の場面は特に印象に残っています 心に残る印象深いセリフがたくさんあります。福井の眼鏡が人々に賞賛されるところまでを想像しながら読み終わりました。 すごくドラマ化してほしい作品だと思いました。
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東京の外苑、キラー通り沿いにある、お洒落な眼鏡屋さん。まだまだ眼鏡が地方では珍しい時代に、眼鏡で福井県の小さな村の産業を活気づけようと、懸命に時代に立ち向かい、人々のためをひたすら願い、真摯に人生を駆け抜けた兄弟の話に胸が熱くなりました。
まさか、この兄弟が、あのお洒落な眼鏡屋さんに繋がるとは…。新鮮な驚きと発見をさせてもらいました。
そして、ほんのひと昔前には、視力という概念がなかったため、視力が悪い人達は、頭が悪いということにされてしまっていた事実にあらためて衝撃を受けました。
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福井県で「めがね」の製造をはじめ
県を代表する一大産業へと育てた
ある兄弟のおはなし。
試行錯誤しながら取り組む姿や
雪深い国で安定した仕事を確保するため
職人から育成していくところなど
財を投げうってでも後世のために動いた
兄弟それぞれの熱い思いは感じました。
ただね〜、兄嫁の存在が私にはちょっと。
三角関係っぽく描くのはいいとして
一方を選んだあとのハッピーエンド感がないわ。
(と私は受け取った)
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父親の地元の福井県鯖江の辺りでメガネ作りを始める時の物語。
明治の地租改正で貨幣で納税が必要となったところから、貨幣経済が農村に求められるようになったところから、農村の貧困の加速、現金収入に向けた産業化が必要になったということも語られていて興味深い。
農作物の値段が安いというのが、そもそもおかしいのだと思うが、何故なんだろうか?そこも考えてみたい。
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鯖江の職人が作る眼鏡愛用者なので、眼鏡職人の物語が気になり読んでみた。すみません、増永眼鏡はかけたことがありませんでした。読み終えてからホームページを拝見してブランドのフィロソフィーやビジョンなども知った。この物語以降のことが補足されたようでとても良かった。ここで描かれるのは、明治37年から明治44年までの眼鏡作りを始めるきっかけや初期の話(過去として明治28年の話もあり)。
冬は雪深く畑仕事ができなくなる福井県麻生津村。村の将来のことを託されるようになった増永五左衛門は羽二重工場を立ち上げ、村一帯の地域産業にしようと奮起していた。しかし、大火事に見舞われ、その余波で倒産する。その後は新しい事業を始めることができずにいた。そこへ、幼くして東京や大阪に出て様々な仕事をしてきた弟の幸八が帰郷する。「これからの日本は教育が普及し、読書する人も増えるから眼鏡が必要だ」と村で眼鏡作りをしないかと持ちかける。
今までのこともありなかなか踏ん切りがつかない五左衛門が幸八と共に眼鏡作りを始め、紆余曲折を経て着実に村の産業にしていく道のりが描かれる。増永兄弟2人の情熱、五左衛門の妻むめの思い、共に歩んでいく職人たちの熱意、落胆、歓喜など、ちょっと熱い気持ちになりながら読み終えた。
特に心に残ったエピソードをひとつ、後に親方になる末吉と娘のツネの話を以下に挙げる。フィルターかけないので、まっさらで読みたい方はここで閉じてください。
増永末吉は宮大工である。何もないところから眼鏡作りを地域産業に育てていく上で、もの作りの矜持や姿勢を身をもって分かっている末吉は無くてはならない存在だと考える。五左衛門と幸八は無理を承知で末吉の家に向かい、共に眼鏡作りをしてくれるように頼みに行く。昼過ぎに訪ねたが末吉は不在で、待つ間娘のツネが歌などを教えてくれる。結果的に、末吉には今の環境を捨ててまで未知の事業に協力をすることはできないと断られてしまう。帰宅後、幸八はあの時間にツネが家にいたことを不思議に思う。学校に行っている時間ではないか?聞くところによると、板書ができないため、先生から授業について行くことが難しいと言われ退学させられていた。だが、とても賢そうなツネが授業についていけないとは思えない。そして、その晩にもう一度だけ末吉の家に行きたいと幸八は言う。目的はツネに会うこと。幸八はツネに眼鏡を掛けさせる。「眩しい」「おとっちゃんの顔がいつもと違って見える」「おっかちゃんの前掛けに白い花の模様あったんか」とツネは言う。ツネは勉強についていけなくて板書が出来なかったのではない。生まれつき目が悪くて見えなかったのだ。まだ村には眼鏡をかける人がいない。眼鏡をすればよく見えるようになるが、ツネは笑いものになるのではないか?(その後、ツネは小学校に再入学して優秀な成績を修め、高等女学校にも進学していくことになる。)このツネのことがきっかけで末吉も眼鏡作りに創業時から携わる。数年後、末吉は五左衛門に「眼鏡はただの道具やない。人生を変えるかけがえのないもんやった。」とツネのことを思い語る。このことは末吉にとって眼鏡作りの原点になっているし、た���良いだけではなく人の人生に影響を与えるもの作りをしていく増永眼鏡の根幹にもなっている。
このエピソードには目頭が熱くなったし、もの作りに対する職人の思い、使う人の未来に関わるものの価値、全編を通して最後まで堪能した。これからも福井の眼鏡をずっと愛用していく。
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初めてのことに挑戦するのはなかなか踏み切れないものだが、この人たちはとても勇気のある人たちだ。こんな人たちがいたから今の日本があるんだと実感させられた。
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鯖江のメガネを作ったのは、ふるさとを思う熱い気持ちだった。
明治の人達の 真面目さ 熱い思いに頭が下がる。
最後の終わり方も とてもいい
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2023-11-19
ちょっとだけ読むつもりが、読みやすすぎて一気読み。この分量で2時間ちょいで読んでしまった。
近場で映画の上映がないからせめて原作を、と手に取ったのだが、予想以上に朝ドラ。まあ人物造形が、とか、いちいちの視点の移り代わりが、とか、気になるところはあるが、事実の面白さがそれを上回る。熱い。
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題材がとても良いわけ〜最高やった。歴史の大人物とかじゃないし自分でも高校生から眼鏡なので気持ちが分かるって事。おしょりんの方言も目に留まるし、親方3人制度が生きてラストで五座右衛門と共に喜び合う。むめも日本の女性の鏡だと思う、芯があって旦那さんを立ててくれる、現代ではない世界だろうなあーあっ女性蔑視では決してないです、自分だって女性に生まれたら現代の方が生きていける。幸八の道を作るのと五座右衛門の堅実な経営が絶妙だから
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一日で読了。読み終えて藤岡陽子さんの作品が久しぶりであったことに気付く。むめが主人公かと思ったら違った。増永めがねに関係しているすべての人が主人公だった。言葉で言い表せないほど心を動かされた。
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映画を見逃したので、原作を読んだ。
すごく面白かった。藤岡さんの本は、リラの花咲く獣道で初めて読み、すごく読みやすかったので、こちらも読みました。地に根差したモノとして、リラと共通します。
メガネなんて見たことない、視力という概念すら知らなかった時代の話。麻生津は現在でも超がつく田舎。そこで、こんな変なもの顔につけるか!と誰もが眉を顰める中、メガネ産業を興そうと奔走する兄弟の話。甘酸っぱい恋バナも含む!
実は、ワタクシ、福井在住。関東出身の私にとって福井は位置すら曖昧でしたが、「都会から来た」私(福井の人は訛りがないだけで都会の人扱いしてくれます)に福井の人は優しく、当時は何言ってるか7割ほどしかわからない訛りで、東尋坊、永平寺、恐竜、そしてメガネと福井の誇るものを教えてくれました。
数年前におしょりんの存在を知りつつ、時代モノかな?読みにくそうかな?と思い、寝かしていたが読んで良かった。
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藤岡作品としては今回作風の色合いが他と違っている感がしましたし、描かれた時代が明治なので文化や価値観に戸惑いながら読み始めました。
が、やはり稀代のストーリーテーラー。
いつの間にか物語に引き摺り込まれてしまいました。
どの作品も共通して言えますが、藤岡作品はこの引き込まれる感覚がとても心地良いのです。
随所に伏線が散りばめられていてどれを深掘りしても一つ一つのエピソードが面白くワクワクさせてくれますが、物語が果てしなく長くなってしまうのでページ数の関係で収束させた感も否めません。
そういう意味でも2時間程度の映画ではなくて朝ドラの原作になり得た作品だったとおもいます。