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「文学2023 日本文藝家協会 編」を読んだ。
以下の12篇
らっきょうとクロッカス 桜木紫乃
キャンプ 井戸川射子
二千回飲みに行ったあとに 津村記久子
文士と夜警 筒井康隆
砂漠の検問所 池澤夏樹
パーミション 岡崎祥久
ママと戦う 西加奈子
私の労働 町屋良平
霊たち 三国美千子
スメラミシング 小川 哲
偶然の本質 辻原 登
家畜人ヤプ子 山田詠美
お名前を存じ上げていてかつ作品を読んだことがある方が六人。
お名前を存じげてはいるけれど作品を読んだことがない方がお一人。
お名前すら存じ上げていない方が五人。
(読書が好きだと言っておきながら半分近くの方を存じ上げないというのはどうなんだろうな)
津村記久子さんと小川哲さんはさすがだなぁ。
岡崎祥久さんは初めてですが、「パーミション」は『おお!』と唸りました。
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本書は、2022年に主要文芸誌に載った短編〜中編から日本文藝家協会の編纂委員により選ばれた12作品。巻頭、解説の金原ひとみさんによる作品に寄せた短いコメントがすばらしくて、ひとつ読み終えるたびに解説に戻って再度読み返したり。
コロナ禍真っ只中に発表された作品はどれもそれぞれに忘れがたく、おもしろかった。12人のうち、初めましての作家さんは「パーミション」の岡崎祥久さん、「霊たち」の三国美千子さん、「偶然の本質」辻原登さん。
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こんな素晴らしい作品集があったとは。
今回も、図書館での出会いに感謝。
①西加奈子「ママと戦う」
毒親モノを読みすぎなのか、ママから離れる、自立の意味だと最初思ったら
ママと一緒に、世間の悪意、とりわけ男達と戦うということだった
SNSでの誹謗中傷、痴漢、最悪すぎる
自分の満たされなさ故に女性に攻撃するような男達
かつ、実際に大好きな柔道を一緒に習って、実際にママと戦う。
旧態依然とした上下関係ではなく、
母と娘は同志みたいな関係になっていく。
全てを肯定して欲しかったわけではなく、一緒に強くなる。そうありたい。
②スメラミシング
コロナワクチン、ノーマスク
陰謀論を信奉する人々が団結していく様
シニカルさが好き
違う世界線の人物が交差し、(デモ時に)交わるのも好き
③キャンプ
お父さん達(おじ含む)と子ども達(男子のみ)だけのキャンプ
子ども達だけで山の散策はやめて…と言いたいところだが、冒険になるんだろうな
④砂漠の検問所
性犯罪者はみんなこうなれ。
世界中、人類の歴史上に存在する奴全員。
⑤パーミション
冷蔵庫施設で働くキモい男性の話
家族に搾取され女性や友人には縁がなく…
文体が珍しいのと(普段ほぼ目にしない、おっさんが自己紹介していくみたいな)明らかに知能に何かある人って思考回路がこうなのかな、という、解像度の高さが興味深かった
⑥霊たち
祖父母の家の記憶が雪崩れ込んできた
どどどうっと、まるで滝のように
この物語のお家とは環境も感情も全然違うのに、「赤ちゃん椅子」が出てきた時に、優しいおばあちゃんや親戚のなつかしい記憶がそれはもう鮮明に
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スメラミシングが読みたくて図書館で借りたのだけど、他の作品も秀逸!お初の作家さんも数人。同じ日本語で書かれた文章なのに、どれもこれもバラエティに富んでいて、受ける印象がまるで異なる。作家さんってすごいなあ〜といまさらのように思ったりしています。私は筒井康隆さんと池澤夏樹さんの短編がお気に入りでした。