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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
話の展開の大胆さなど、面白く読むことができました。ストーカーの不気味な動きに、引きつけられてしまいました。
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帰省した田舎で久しぶりに会った昔馴染みの萌香に、ストーカーがいることを知った千秋。そして、その後に萌香が何者かに殺害された。千秋は、萌香を殺した犯人を探し出そうとこっそり盗んだ萌香の服を着て、萌香が通う大学やバイト先の周辺を捜査する。
一方、ブラック企業に就職をした杏は、職場の先輩に恋をしていた。営業成績も悪く、いつも上司から怒鳴られるが、杏は優しい先輩と事務職で働く樹里のおかげでなんとかやっていけている。しかし、ある日、優しい先輩と樹里が付き合っているのではないかと思い、樹里への嫉妬が渦巻いて…
なんだか少し怖かった。千秋は完全にサイコパス。もう頭がおかしいんじゃねぇかと思った。イジメを受けてもワクワクしちゃうし、虐待されている子供に「お母さんを交換して」と言ってしまうし、もう本当にヤバい人間だった。
そして、騙された。完全に騙されて、はぁ?!ってなった。久しぶりに騙され、映像化は難しいだろうなぁという作品を読んだ。まぁ、正直な話、出て来る人物全員頭おかしいってのも初めてだったかもしれないけど。
少し後味悪かったけど、面白かったからいいか。そして、頭がおかしい人は本当に日常に溶け込むのがうまいんだなとも思った。
2022.2.27 読了
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「愛情の反対は憎しみではなく無関心である」というマザー・テレサの言葉を、これほどまっすぐにゆがませる小説があっただろうか。
地元の後輩が殺された。その犯人を追う千秋。危険すぎる探索活動と、震えるほどのその理由。
「愛情」という言葉の意味がこんなに揺らぐとは。
千秋が狂おしいほど追い求める自分への愛。
優しさは、無関心の次に薄い感情だ。相手のことがどうでもいいから優しくできる。優しさを伴わない愛とは。
ぞわっと震え、がっつり騙された。愛ってなんだ。愛情ってなんなんだ。
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2021/11/16 読書メーターで当選したものが送られてくる。
2022/3/5〜3/7
読書メーターのプレゼント企画で当選した本。初めて読む作家さん。第8回暮らしの小説大賞受賞作。
帰省先で後輩の萌香に会い、ストーカー被害にあっていると聞かされた千秋。その萌香が殺人事件に巻き込まれて死亡する。犯人を探し出そうとした千秋は、萌香の服装を真似て歩き回ることで犯人を探そうとした。もう一つの話の流れと絡み合うようにストーリーは展開するが、終盤その2つのストーリーが合致するとき、物語の世界が一転するどんでん返し。うーん、なかなか微妙な展開ではある。が、まあうまく騙されたかなぁ。
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❇︎
千秋は就職を控えた萌香と何年かぶりに再開した、
その数ヶ月後、萌香が何者かに殺害された。
千秋は萌香を殺した犯人を見つけようと、
独自に犯人探しを始める。
ここまでなら普通の話なんですが、千秋が
萌香を殺して犯人を追う理由が普通じゃない。
千秋の嗜好に違和感と異常性を感じながら、
調査を進める千秋の行動を軸に物語は進みます。
でも、千秋の推理はその嗜好のせいか、
何度も肩透かしを食らうばかりで一向に犯人に
たどり着かず、もどかしさが増します。
消去法でこの人しかいないだろうと目星をつけ、
読む中でも、またもや……。
16章まで色々な意味で、主人公の千秋に
すっかり騙され続けました。
そして跋
結末がどう終わったか考えるのは、
読み人次第ということでしょうか?
意図せずですが、読む本にストーカーに
関係した話が続いていて、人それぞれの独特な
こだわりや嗜好、趣味を不思議に思いつつ、
ボーダーラインはどこにあるんだろう?と
考えてしまいます。
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2021.12.10 一気読み
主人公がすごいサイコパスで、読んでいて引き込まれたが、読み終わった後、どっと疲れた。
テンポがよくて読みやすかったです。
二つのストーリーが交互に出てくるので、どう関わっていくのか考えながら読めて面白い(๑˃̵ᴗ˂̵)
続きが気になって一気に読んでしまいました。
最後の2行が、またよかったです。
ちょうど一年後やないかーい。笑
最後まで騙されました!
次回作も楽しみです。
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新人作家のミステリー。
ストーリーが幾重にも重なって、プロットが複雑になっている。読者はある程度はその展開に騙されるが、ある部分は「多分そうだろうなあ」と予測できる部分もある。
サイコ的な要素も含んで終焉を迎える。さらっと読めるが、全体のストーリーを正確に把握するには再読が必要か。
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新刊コーナーから薦めてもらったもの。
ストーリーはかなり感じ悪いけれど、展開の仕方は面白い。
人のビジュアルを想像で補うのは小説の特性だけど、それを活かした構成だと思う。
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ここ二年で新人賞を掴み取った作家が書いた作品を読んでいるが、その中で突出している。ムラと無駄のない作品。それらは削ぎ落とされている印象を受けた。ある人物を犯人に特定したが、帯の文句どおりにまんまと騙された。構成が巧みすぎる。しがない読書好きが言うのは説得力がないですが、新年一作品目に相応しい出来だと思います。
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物語は、新聞の事件記事から始まる。
事件概要は、斜岡に住む女性が刺殺された、というもの。
なぜ彼女は殺されたのか。
誰に殺されたのか。
この二つの謎を解きながら物語は進む。
出てくる地名は読み方が少し難しい。
斜岡、出入野。
初めのうちは、なんと読むんだったかな、と都度突っかかっていた。
さて、肝心の中身だが、出てくる人々は揃いも揃って怪しい。
主人公は千秋。
友人の萌香が事件に巻き込まれ、犯人探しに奔走する。
いわば、探偵役だ。
しかし、千秋自身にも大いに問題がある。
千秋は、愛に飢えている。
そしてその愛の理解は歪んでいる。小学生の時分にいじめにあった千秋は、主犯格の同級生に愛を返す。
やられたことと同等、いや、それ以上のことを。
しかしそれは周りを恐れさせる。
推測するに、千秋のなかでは、無関心でないのなら、どんなことでも、愛、なのだ。
次々に怪しい人物が出ては消え、出ては消える。
そして最後。
驚愕の事実、と言いたいが、手法としてはそこまで珍しいものではない。
登場人物たちそれぞれの「普通」そのものが事件そのものだった。
そのことが読み手をぞくりとさせる。
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これは本当に面白いです!
叙述トリックで有名なアレや、どんでん返しで有名なアレよりも絶対にこれを読むべき。
この現代社会への痛烈な風刺も効いているし、斜め上行くドMコントと思っても面白い。
流血描写はシンプルで無駄がなく、アクションが真に迫っていて変なグロさがありません。
ちょっとした風景描写に個性的な比喩が用いられていて、飽きさせず素敵。
サイコな登場人物たちになぜか感情移入できてしまいます。
近年になく読んで良かったと思える本。
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これは、まんまと騙された…としか言いようのない作品である。
物語は、地元に帰省した千秋が、偶然後輩の萌香に会い、彼女がストーカー被害に遭ってることをきかされることから始まる。
数日後に萌香が、何者かに刺殺される。
千秋は、萌香を殺した犯人を捜すため、仕事の休みには、彼女の服装を真似て、大学やバイト先を調べ廻るようになる。
そこから、登場人物が複雑に絡み合っていく。
その犯人を見つけることが、警察へ突き出すでもなく、復讐すべく殺す目的でもないことはわかるのだが…
読み進めながらも決して心の中は、気持ちの良いものではなく、常に沸々と暗いものが湧き上がる。
なんとも言えない気になりながらもながらも途中で終わることはできなかった。
心身共に苦痛を味わうほどのものを愛情だと思う気持ち。
わかりかねる。怖さを感じる。
なんとも不気味さを通り越して、サイコである。
まさしく、騙されるほどの驚愕のサイコミステリーである。
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帯の煽りに、よし騙されてやろうじゃないの!と手に取った。後輩の萌香が殺され、犯人を見つけるために萌香のファッションを真似て動きだす千秋。一方でブラック企業で働く杏の日々がつづられる。誰にも共感できないし、二人それぞれの壮絶な過去が少しずつ明かされると心が凍りそうになった。しかし話が複雑に絡みまるで色を付けるように一つの絵を見せるところは圧巻。想像できていたのはひとつだけ。帯は言い過ぎにしても全部のパズルを嵌められる人は少ないだろう。ラストページ、一年間の行間をきっちり埋める最後の二行が全てを持って行った。
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千秋は結局理想の愛を手に入れられなかったのか
愛し尽くせなかったのか
愛し尽くしたから殺したのか
愛されても殺されたくないと言っていたのに愛す方になると殺すことが究極の愛だと判断したのか
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これはまさにサイコミステリー。
主人公・千秋に当初感じていたもやっとした違和感が、徐々に気持ち悪さに変化していく。
刺殺体で発見された後輩・萌香、その犯人を追っていく千秋の章と、ブラック企業で働く杏の章が交互に描かれる。
一見なんの関係もなさそうな二つの物語は終盤で絶妙に交わる事になる。
そして、なんの疑いも持たなかった事実は大きく反転。
これは誰もが騙されるはず。
中盤あまりの気味悪さに挫折しかけたが、真相が明らかになるにつれ面白さが増して行った。
孤独と暴力が形を変え、歪み切った愛を無心に欲す主人公に戦慄する読後。