紙の本
文豪トンデモエピソード本
2023/10/30 09:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:S910 - この投稿者のレビュー一覧を見る
文豪の破天荒な性格やら行動はいろんなまとめがあるが、これはその中でも「逃げる」に特化してまとめられた本。
こういう文豪本にしては珍しく、海外の文豪の事例もまとめられていて興味深い。
文豪もこれだけ逃げているのだから、現代人もつらいことを無理して我慢せずに逃げちゃえ、という主旨の本なのだが、正直逃げ方がとんでもなさすぎて真似しようとは思えない(笑)
しょっぱなが結婚式ドタキャンだし、借金から逃げる文豪多すぎて笑う。
最後の逆に逃げなかった文豪エピソードも面白かった。
有名既知ネタ以外もたくさんあって楽しかった。
投稿元:
レビューを見る
ちょっと感覚が違うなあ、と思うこともしばしば。
複雑に考えすぎなのではないか、と思ってしまう部分もあった。
感受性が強いのか、鈍いのか、文豪もなかなか面白い。
投稿元:
レビューを見る
逃げまくった文豪たち
嫌なことがあったら逃げたらいいよ
著者:真山知幸
発行:2023年7月20日
実務教育出版
内外40人の文豪を取り上げ、彼・彼女たちがなにから逃げて創作活動をし、暮らしていったか、を紹介している。また、「文豪こぼれ話」という短いコラムが挿入され、6人が取り上げられている。1人ダブっているので、総勢45人となる。
何から逃げたのかがカテゴライズされていて、
1.人間関係から逃亡
2.家族から逃亡
3.仕事から逃亡
4.勉強から逃亡
5.自分との約束から逃亡
6.借金から逃亡
7.むしろ逃亡しないヤバい文豪
という具合。
「勉強から逃亡」の括りで紹介されている、「放浪詩人」金子光晴。暁星中学校までは優等生で、かつ、絵の才能にも恵まれていた。しかし、早稲田大学予科文科、東京美術学校日本画科、慶應義塾大学文学部予科は、どこも途中でやめている。妻とは、お互い新しい相手ができたら遠慮なく別れることを条件に結婚した。そして、つねに放浪、戦争への抵抗詩を書き続けた。いい加減さの中に、反権力を貫いている生き様がやはりかっこいい。
なお、瀬戸内寂聴が出家前に最後に不倫していたのが、金子光晴だと思われる。
先日、他界した伊集院静について、新聞は「最後の無頼派」と書いていたが、この本を読むと、金子光晴はじめ無頼派のような作家は山ほどいる。というか、多かれ少なかれ、文豪たちはみんな無頼派である。
石川啄木は、盛岡に帰って結婚するはずが、東京に居残って結婚式をすっぽかした(ただし、その後、結婚生活は送る)。
永井荷風は、編集者などの来客から堂々と居留守を使って逃げ続けた。
夏目漱石は、ロンドン留学での切り詰めた生活が悲惨で、窓に映る自分の姿も醜く見えて、引きこもってしまった。
太宰治は逃げ足が早く、師匠の井伏鱒二と大衆酒場で飲んでいて角刈りの酔っ払いと喧嘩になりかけ、井伏を置いて逃げていった。店を出て1人ゆっくり歩いていた井伏のことを、角刈り男はただの通行にだと思って横を通り過ぎていった。
檀一雄は、親友の太宰治の妻に頼まれ、太宰が払えない宿泊代や飲食代を持って熱海の旅館までいった。太宰はお礼にと小料理屋で大酒をおごり、その金を使い果たした。宿代は払えないので壇が残り、太宰が東京で金を借りて戻ることになった。ところが、待てど暮らせど来ない。壇が宿に断りを入れて井伏鱒二の家に行くと、そこにのんびりと将棋を指す太宰。怒り心頭!この「熱海事件」が後に太宰の「走れメロス」執筆のきっかけになった。
島崎藤村は、極貧の中で書き続け、娘を3人栄養失調でなくし、妻も目を悪くして死亡してしまった。「破戒」の成功で経済状態はよくなったが、1人で残る4人の子供が育てられず、次兄の次女を同居させる。しかし、姪にあたる彼女に手を出し、妊娠させてしまった。フランスに逃亡。3年後、ほとぼりが冷めた頃に帰国して再婚。しかし、また姪っこに手を出してしまった。私小説「新生」でそのことを発表して悔い改めようとした。
上��、1章「人間関係」と2章「家族」から逃亡、という話が一番おもしろかった。3章の「仕事」から逃亡においては、文筆業をしたいので食い扶持となる仕事から逃げた、というパターンと、書くことから逃げた、というパターンがある。さらに、その両方をした、という文豪もいた。
江戸川乱歩は、大卒後に入った住み込み勤務の貿易商社を1年で脱走し、三重県の造船所勤務も段々と行かなくなり、しなそばの屋台を短期間引いたりもした。そして、天職の文筆業につき、もう朝起きなくてもいい生活を送ったものの、度々休筆宣言をして、合計17年間も休んだ。
室生犀星は、「小景異情」で「ふるさとは遠きにありて思うもの」とのフレーズを発しているが、実は世間で思われているのと逆の意味だという。彼は地元金沢での職から逃げだし、上京しては食い詰め、また地元に戻り・・・を繰り返し、文筆業で食べられるまでには紆余曲折があった。上記のフレーズは遠きにありて書いたものではなく、地元で書いたもの。「故郷は遠くで思うくらいがよい」、つまり今の状況をネガティブに嘆いていることになる。
坂口安吾は、売れっ子になっても限界まで仕事を受けてしまい、訪問者を拒んで閉じ籠もりっきりで仕事をした。誰かに会うと、また仕事を受けてしまうから。1ヶ月あまりも閉じ籠もりっきりで、仕事が一段落したらお酒を飲んでから、有り金全部を持って逃亡。逃亡中は一切の連絡を絶った。
それぞれの文豪たちによる、名言が一つずつ掲げられている。
夏目漱石
「群衆は眼中に置かない方が身体の薬です」
(SNS全盛の今こそ心がけたい)
島崎藤村
「弱いのが決して恥ではない。その弱さに徹し得ないのが恥だ」
幸田露伴
「順風として喜んでいる人が遇っている風は、逆風として嘆いている人が遇っている風と、まったく同じ風なのである」
ヘルマン・ヘッセ
「しがみつくことで強くなれると考える者もいる。しかし時には手放すことで強くなれるのだ」
種田山頭火
「どうしようもないわたしが歩いている」
(誰でも知っている自由律俳句の代表作)
川端康成
「あの作品は睡眠薬を飲んで書いたから、私にも分けわからないんですよ」
(「古都」映画化時に訪ねてきた主演の岩下志麻に対して)
******
宮澤賢治が高く評価されたのは、彼の死後。生前に受け取った原稿料はわずか5円(現在だと約2万円)だった。
ブランスのアレクサンドル・デュマは、「三銃士」や「モンテ・クリスト伯爵」が売れて莫大な印税を得、大邸宅モンテ・クリスト城に惜しげもなくそれをつぎ込み、建築パーティーやそれ以後のパーティーで大金を浪費した。さらに舞台も成功。ところが、1848年の2月革命で状況が一変し、パリ市民は芝居どころではなくなった。女癖も悪く、ついに破産。金策に奔走した上、議会選挙にも出馬したものの、「私の著作と戯曲、2150人分の労働に給与を払ったことになる」と自慢話のような演説をしたためか、当選ラインが7万票だったのに、獲得したのはわずか261票だった。
投稿元:
レビューを見る
文学史に残る偉人たちの「逃げた」エピソード集。逃げた対象は様々で人間関係、家族、金銭問題、仕事、勉強と多岐に渡るが、借金に悩まされていた文豪が目立つ。あれほど偉大な人物でも、このような下世話な出来事もあるのだから、一般人である我々が過剰に気負う必要なない。ストレスフルな現代でどうしても辛いことがあった時、逃げるという選択肢もあるんだよ・・という慰めというか、事例の紹介が本書の主旨だが、この本に登場する文豪たちの逃げっぷりが凄すぎて圧倒される。
一般常識が通じないというか、社会通念上ありえないだろ!というツッコミを何度も入れながら読んだ。「豪胆」と表現すれば聞こえは良いが、近くにいた人々は色々な迷惑・被害にさらされたのだろう。
逃げている最中など、人生のピンチと思える中で名作を生みだしたり、逃げた体験自体が後々になって文学作品として昇華したりといったエピソードも多い。逃げることは絶対に悪ではないというススメとともに、人間万事塞翁が馬的な訓話も含まれている。
個人的には谷崎潤一郎の人物伝が気になった。
投稿元:
レビューを見る
あの有名な文豪がこんなにめちゃめちゃな人生を送っていたのか、と驚きの連続。偉大な文豪たちだからといってすべてが完璧であるとは限らないと知り、何者でもない自分が完璧な生活を送れなくてもしょうがないと思える。
投稿元:
レビューを見る
色々なものにがんじがらめにされている現代人から見たらある意味すさまじい逃げっぷりに呆れたら笑ってしまったり。イラストもいい感じですね。結婚式、職場、人間関係、勉強、借金…逃げるものがありすぎてすごい。また反対に逃げ出さなかった文豪の紹介もあり、そちらにもツッコミが追いつかない(笑)逃げることも生きるために必要ならば逃げていいんだ、文豪たちの名言が沁みます。
投稿元:
レビューを見る
後世に残る名作を生み出した文豪たちですが 私生活は駄目すぎる、逃げちゃいけないよ という状況すぎる。でも文豪だし。平凡な自分はうだうだ悩まず逃げても問題ないなと思いました。面白かったです。
投稿元:
レビューを見る
誰もが名を知る文豪たちが勢揃い。作者の名前を知らなくとも、教科書等でその著作を耳にしたことはあるはず。
「タイトルはキャッチーだけど、結局才能溢れる人々だから許されるんだろうな…」と思っていたら、思ったより屑が多かったというまとめ本。
人によってはどうしようもない屑。
あの偉人さえこんな一面が…というより、こんな酷い人でも結局楽しく生きていけるのだなあ、と人間の逞しさに感心する。
確かに、真面目な人はちょっと楽になるかもしれない。全員ではないが、ここまでぶっ飛んだ人を見たら、そのインパクトで自分の心が軽くなりそう。
「自分の人生、もう少し自分の声を聞いても許されるかも…」としみじみできる可能性大。
…結果できないけれど笑
ガス抜き本として面白い所だけ読むのもあり。
こんな壮絶人生だったのか…と、文豪の生き方に心惹かれ、著作をもう少し楽しめそう。
エピソードとして読んでいるから、フィクションめいて可愛らしささえ感じられる(合間のイラストがまた可愛い)が、これ実際家族だったらとんでもなくストレス溜まりそう…
投稿元:
レビューを見る
内容が、うっすーい
もっと、逃げて逃げて逃げまくる、逃げっぷりがスゴ過ぎる作家だけに的を絞って、ダメっぷりを、もっと深く深く掘り下げるべきだった
その他大勢の作家は、軽く触るくらいで良い
的を絞った数人については、徹底的に掘り下げていくと、もっとおもしろい内容になったのに。
企画倒れ
やっぱ、深く掘り下げるべきは
フランツ・カフカ 不安過ぎ、神経質すぎ
ヘミングウェイ 危険を愛しすぎ、お酒依存症
ドストエフスキー ギャンブル依存症
夏目漱石 鬱病ぎみ
萩原朔太郎 芸術愛がスゴ過ぎ
種田山頭火 お酒が好きすぎ お酒依存症
中島らも ドラッグや、お酒に依存しすぎ
太宰治 逃げ過ぎ
三島由紀夫 同性愛に走り過ぎ カッコつけ過ぎ
この人の中には
太宰的な、何かがあるんだよ
模造人間っつーか
逆に、この人、逃げてないんじゃね、って思ったのは
谷崎潤一郎
坂口安吾
それにしても
小説家って、逃げまくってるなあ
結婚式をスッポカシた石川啄木
23歳のとき、新聞社に就職
朝から仕事に行かず
出社したくなさすぎて
11時まで布団の中でモゾモゾして
親友には借金
遊郭に通いまくり
夏目漱石
ロンドン留学中に欝気味になり
部屋にひきこもってしまう
38歳で
デビュー
『吾輩は猫である』
フランツ・カフカ
二度婚約して、二度破棄
カフカはモテるのに
文通ばっかして、ぜんぜん関係が前に進まない
太宰は、逃げ足が早い
逃げてばかりいる
寺山修司
歌壇デビューした時
「ぼくは、昭和の石川啄木になった」
って喜んだんだって
舞台をやってたからかなあ
覗き趣味があったんだよね
芥川龍之介
地震のとき、妻子を見捨てて逃げた
たしか、自殺でしょ?
更年期障害だったんじゃないかなあ
森鴎外
妻子を置いて、家出する
江戸川乱歩
出勤したくなくて、押し入れに隠れる
作家になってからもたびたび休筆宣言
萩原朔太郎
『月に吠える』を自費出版して、ブレイクスルー
オレも、萩原朔太郎は好きだったなあ
中原中也
昔、マンガで読んだよ。
子供の頃は天才だったのに
ドロップアウトして詩人になって
中原中也マニアになる人って、いるよね
オレは、ぜんぜんそういうタイプではない
彼の詩には惹かれたことがない
アルベール・カミュ
新聞記者だったけど第二次世界大戦で失業
飲まず食わずの生活
モテるのに、なぜか禁欲しようとするが挫折
種田山頭火
酒飲み過ぎ
俳句ばかりつくってた人
飲みだすと止まらない
私には女よりも酒が向いている
どうしようもない私が歩いている
オレは種田山頭火の作品は大好きなんだよねえ
根が一緒だと思う
中島らも
酒飲み過ぎ
毎日ウイスキー2本ずつ
肝機能障害で入院
ドストエフスキー
ギャンブル依存症で借金まみれ
賭けビリヤードとドミノに注ぎ込む
サイテーの男
愛人がパリで待ってるのに
ドイツに留まってルーレット賭博
2番めの妻と結婚した時には
『罪と罰』で有名作家になってたけど
借金取りに追われている
海外逃亡を図るが、ドイツについたら妻を置き去りにして、カジノに入り浸って、賭博に負ける
いつも出版社から、借金の前借りをしていた
三島由紀夫
三島ってエリートだもんなあ
でも太宰に
太宰の文学はキライだ
って言った時って
やっぱり、太宰の中に、自殺志向というか、模造人間というか、ニセモノの自分と似たものを見て、思わず、近親憎悪が湧いたんだと思う
三島の自殺って、性的な願望も関係しているのかもしれないけれど、やっぱり最後の逃亡だったんじゃないかなあ
ヘミングウェイ
母親からチェロを習わされたり
父親から釣りや狩猟を教えられている
フットボール、ボクシング、水泳などスポーツ万能
新聞記者になり
第一次世界大戦では、イタリア戦線で、赤十字に志願し、戦地では積極的に前線に出る
東アフリカで、赤痢にかかりながら狩猟したり
自動車事故で57針も縫った後、退院してすぐにノルマンディー上陸作戦に参加する
いつも、進んで自らの身を危険に晒すような生き方だ
最後は自殺だった
ヘミングウェイも酒飲みすぎだったと思う。