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まず一読了。
動物たちがそれぞれの感じ方で世界を認識している、というお話が、以前読んだ『メタゾアの心身問題(ピーター・ゴドフリー・スミス)』とも通じる気がしてとてもワクワクした。また『人間は、いちばん変な動物である(日髙敏隆)』で論じられていたところから研究がさらき一歩出ているように感じられて、これからの動物言語学の可能性に期待したくなってしまう!
人間の言語については、歌と踊りについての論に感動したし、言葉が文脈や感情から離れ/離されてひとり歩きをはじめている、という点に深く頷いた。脳が縮んでいるというのはショックな話だがーー口承物語が廃れつつあることも関連するだろうかーー現状を踏まえるとやむなしという気がする。樹々のコミュニケーションについて語られなかったのが少しだけ残念。
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・章が終わるごとに章のまとめが書いてあるので覚えやすいと思う。
・そこまで難しい内容ではなかったので簡単に読めると思う。(わかりやすく話してくれる。)
・山極さんと鈴木さんの話を書き留めた本。
・動物のことがよくしれてよかった。
・これからは鳥の鳴き声などを意識して聞いていたいと思えた。
・とても良い作品だった。
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全編面白かったけど特にPart4の「バーチャルがリアルを侵す」の章は面白かった。「AIも言語と論理によって成り立っている計算機」かあ・・。ヒトはこれからどのような道を歩むんだろう。
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当初はてっきり「鳥和辞典」のような感じで「チュンチュン」は「ごはん」、「ピピピピピピ」は「上から来るゾ気をつけろ」 のように鳥語の意味を引くようなものだとばかり勝手に思いこんでいたが、どっこい、動物研究の双泰斗による動物言語学研究の最先端一番地を通して動物達のコミュニケーションの本質を探り合い、やがて人類言語学の‘いま’を発展させた未来絵図までに言及される壮大な書でありました。
全4パート構成になっており、それぞれの最後にはそのパートの重点がまとめられているという親切なつくり。総ページも200ちょっとでお二人の対話がサクふわと軽快に読めて、かつ新しい視点・思考を得られる満ち足りた読後感。
以下、備忘録。
・動物の言語研究は難しい→当たり前だが、野生と飼育下ではそもそも「鳴く必要性」(p29)に違いが生じるから→鳴く=言葉をどれだけ扱えるのかは「住む環境に左右される」(p32)。
・赤ちゃん言葉のような「インファント・ダイレクテッド・スピーチ」(p47)が人間の言語の原型ではないか。
・「「今」「ここ」以外についても語れる能力」(p62)=「超越性と言われるもので、今のところ人間以外に見つかっていない力」(同上)。だが、他の動物も記憶や認知に近いものを持っている可能性はある。例)昨日の出来事や明日の予定
・「相手が心を持っていると仮定する能力、いわゆる心の理論を持っているかどうか」(p85)が鍵。チンパンジーはある。「社会の複雑さ」(p87)が関わる。→「心の理論を持つためには、自意識に加えて共感能力が必要じゃないか」(p92)。自意識とは「自分が何をしているかわかっていること」。
・「インデックス・アイコン・シンボル」(p107)→アイコンは集団で共有しないと意味がない。シンボルには更に恣意性を要する。恣意的とは「言語が指し示すものと、それを表す記号の間に必然的な結びつきがないさま。」(p39)例)ハト=平和
・「「言葉を扱う能力」と「言葉を話せること」は別」(p113)前者は認知能力の問題、後者はからだの作りの問題。
・言語の発達要因は多産化が影響?→群れで生活するうちに社会性が発達、それが「道徳」を生んだ→「本来の道徳は、身体化されたものだったはずです。身体化というのは、頭や文章で考えて論理的に結論を出すのではなくて、瞬時に文脈から判断できるということ。」(p155) 例)「いいよ」が肯定か否定か →文脈とは「マルチモーダル。視覚や聴覚、触覚といった、複数の感覚を使うということ」(p159) 例)身振り手振り、声のトーン、表情
・人間は言葉・文字に依存している一方で、加速度的に氾濫する言葉・文字に振り回されているのではないか。「人間の思考そのものが文字に制約されるようになった」(p180)→「ヒトのコミュニケーションの中にはまだ言語化されていないような音楽的な要素もあって、言葉を並べるだけではそれを伝えきれない」(p185) 例)SNSの炎上、創作における心情描写
・「文脈を理解する力」(p195)が人間は衰退し始めている?→ 「他人の感情や気分といった、文字にならないものは軽視する社会」(同上)へ。→ 「現代は、言語化されない感情や文脈を読むよりも、明文化されたルールや制度にすがるほう���生きやすい社会」(p197)→なぜなら「人類の集団のサイズが極端に大きくなったことと、言葉の独り歩きによって個体どうしを結び付ける社会的グルーミングが難しくなったから」(同上) 例)SNS、メタバース、AI、翻訳アプリ → コロナ禍がこの状況を更に加速させた。「心の弱体化」(p200) →想定される未来として「感情や身体性を捨てることになる」(p205)のではないか?
・解決法の提起→「テクノロジーを使って新しい縁をどんどん作ればいい」(p209)。誰かに会って、誰かと何かをすることなど。
結構ハッとさせられる発言があり、文字と言葉に振り回されているな、というのは私レベルでも実感できる。共有のつもりでTEAMSに報告を投稿したら書いていないし意図していない事が独り歩きしだして、結局対面打ち合わせで説明し直したりとか。その場でちょっと聞いてくれればいいのに。
こういった事が社会レベルでも頻発しているということであり、便利な一方却って面倒くさいな、という事を引き起こしているような気がする。「。ハラ」とかくだらな過ぎるし文脈を読んでくれよ、と思うし若者の電話離れ・電話が怖いとかは社会性の欠落ということか。
さて、あなたは今日、誰としゃべりましたか?
2刷
2024.6.1