紙の本
あらすじに誤謬がある。描写に躓くことも多い。
2023/10/20 10:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ブラウン - この投稿者のレビュー一覧を見る
「名探偵レイチェルには、自分が突きとめた殺人者を死に追いやるという黒い噂がつきまとっていた」とあるが、作中のレイチェルは「洞察力はある素人探偵」として描写されていただけだし、物語開始時点で「黒い噂」が流れていると言えるだけの状況は成立していないように見える。あらすじはこの小説の魅力を百倍に濃縮してはいるのだが、いかんせん茫漠とした文章の中でようやく見つけたフックを無理にエッセンスに抽出している感がある。
公式ファンブックに載せておけと言いたくなるような人物描写がたまにあったり、金に物を言わせる策謀、悪党の核心部分に関して読者はほぼ蚊帳の外に置かれたように感じる描写など、没入感から覚めさせられる部分が多かった印象がある。中盤から地に足の着いたリアリティのある描写が続いて「おお」と思ったのも束の間、物語の畳み方が「締め切りに間に合わせようとしましたか?」って聞きたくなるほどヤケクソで唐突。ミステリーとしてもサスペンスとしても、500ページ以上引っ張られてこれはないなと思った。
投稿元:
レビューを見る
SL 2024.3.6-2024.3.10
2018年の作品で1930年のロンドンが舞台。その時代らしさと現代的な面も混在する。
レイチェル•サヴァナクとは実際何者なのか、がわかったところで事件もある程度見えてくる。
終盤にはさらなるドンデン返しも。
とても雰囲気のある作品だった。
投稿元:
レビューを見る
うお〜難しいな…やはり翻訳文学は登場人物が覚えきれないのと、言語の壁が立ちはだかって情景が想像しきれない…特に長い&登場人物が多いので、きつかった…でも最後の展開はなんとなく理解して爽快な気分に!
投稿元:
レビューを見る
22時頃に電子書籍で買って読み始めたら止まらなくなって、結局徹夜してしまった。
や、これもし自分好みの面白さだったら途中で読むのやめられなくなるだろうな、て予感はあった。徹夜になだれ込んだのは半ば確信犯。
疑惑の女レイチェルと少女ジュリエットのトリックは序盤で何となく察しがついたけど、だからといって面白さは全く損なわれなかった。
優雅に、冷徹に、完璧な計画を遂行していくレイチェルに引きずり込まれていくような感覚を、ジェイコブと一緒に味わった。
(クライマックスはちょっと都合が良すぎて現実に引き戻されてしまったけど)
これ1本で完結かと思ったら、すでにシリーズ化されていて4本目が今年発刊だそうなので、続編の翻訳に期待!
投稿元:
レビューを見る
殺人犯に自殺を強要するレイチェル・サヴァナク。本書は、読み始めて間もなくショッキングな出だしで始まる。彼女は高名な判事の娘であるらしいが、一体彼女の正体は?
彼女の正体を突き止めるべく、功名心に燃える若手新聞記者ジェイコブの前には、次々と不思議な事件が起きる。これらの事件にレイチェルは関与しているのだろうか。
ザっというと、本書はこのような形で始まる。一つ一つの事件にはあまり筆は割かれず、次々に事件が発生するスピーディな展開。一体何が起きているのかと不思議に思わせながら、読者を全く飽きさせることなく話が進む。
途中途中に挿入される、1919年の日付のある”ジュリエット・ブレンターノの日記”。彼女はレイチェルの親戚の娘なのだが、レイチェルに酷い目に合わされてきたらしい。それは現在とどう繋がっているのか。
人が次々に殺されていくその背景事情やレイチェルの正体も、だんだん分かってくるのだが、そこからもう一ひねりあって、最後まで興味を持続させる妙はすばらしい。
またジュリエッタの日記に出てくる1919年という年も、本書の背景として意味深い年として設定されていたことが良く分かった。
最近読んだミステリではベストと言える作品。
(少し人が殺され過ぎだが。)
投稿元:
レビューを見る
評価が高いので気になっていた一冊。レイチェル・サヴァナクとは一体何者なんだというのが主眼なのだが、やたらと人が殺され無理矢理風のドンデン返しが続く。が、緊迫感が感じられず平板な印象で残念。1930年代が主舞台となっているがその雰囲気効果は伝わってこない。あれだけのことをしたにもかかわらず、レイチェルはシリーズであるらしい。マジか。
投稿元:
レビューを見る
マーティン・エドワーズの長編初翻訳。
早川ミステリ文庫では今年イチオシの作品の様。
殺人を犯したと思われる犯人たちが次々と死んでいく。その影にはレイチェル・サヴァナクという美貌の名探偵が見え隠れする。彼女は一体何者なのか。また間に語られる日記は何を意味するのか。
うーーーーん、読みやすさ、先が気になる展開、どれを取っても良かった。良かったのだが、思ってたのと違う、というのが正直なところ。ミステリだと思ったら必殺仕事人だった、みたいな。
中盤のある展開からとんでもなく面白くなるのだが、そこまでが長い。そして起こっている事件にほとんど意味がない。キモとなる展開がわかりやすすぎて途中から予想できる。というので星4でした。
いや、本当に良い作品なのだけど、ミステリとしての期待値を勝手に上げすぎた。。。次作があるらしいので、楽しみにしてます。
投稿元:
レビューを見る
面白いし現代的。ではあるが、作り込みがすぎるというか、見え透いているというか。響かなかったかな~。また、主人公もふくめてキャラが弱い。「ストーンサークルの殺人」などのほうが面白かった印象。もちろん本作も悪くはないんだけれども。
投稿元:
レビューを見る
作者マーティン・エドワーズは、評論『探偵小説の黄金時代』(国書刊行会)の著者であり、彼の小説はこれまで翻訳されていなかったので、日本ではむしろ海外古典ミステリの愛好家の方が彼の名前をよく知っているかもしれません。
私も実際、邦訳はされていませんが、彼の評論"The Story of Classic Crime in 100 Books"で、海外古典ミステリの名著探索をしたり、まだ全部は読めていませんが、"The Life of Crime: Detecting the History of Mysteries and their Creators"で、ミステリの歴史に思いを馳せたりすることはありましたが、彼の小説にはそんなに興味を持っていませんでした。
ただ、「この女は名探偵か、悪魔か。」とか、「黄金時代の傑作に並び立つ極上の謎解きミステリ」という、本書の帯の謳い文句を見ると、黄金時代の傑作が好きな私としては、読まなければな、と。
始めに、本作は「謎解きミステリ」ではありますが、「本格ミステリ」ではないと思います。だから、それを期待すると評価が低くなると思います。
一方、「ジェットコースター・サスペンス」と評されているようですが、1930年のロンドンで起こる、スリル溢れるおどろおどろしい作品として読めば、かなり楽しめると思います。シャーロック・ホームズやアルセーヌ・ルパン、…特にルパンの方ですかね、彼らの冒険譚が好きな人は、本作のケレン味溢れるストーリーを面白く読める気がします。
ただ、何が何だかよく分からないままに、次々に人が殺されていくので、そういうのが苦手な方は抵抗があるかもしれません。
580ページほどあって、少し分厚い作品でしたが、私は次がどういう展開になるのか気になって、グイグイと作品世界に引き込まれました。
読む人は選ぶ作品かもしれませんが、私は大好きです。
投稿元:
レビューを見る
ジェイコブ・フリントが個人的にとても好印象でした。長身痩躯のイメージでは読まなかったけれど。作中の雰囲気に慣れたところでスリル感もあって、展開は映画的なのでわかりやすかったですけれど総じて面白かったです。続刊もあるようなのでぜひ翻訳してほしいです。
投稿元:
レビューを見る
時は1930年。レイチェル・サヴァナクは探偵なのか。。殺人者なのか。。
この最大の謎を追っていくのが記者ジェイコブ。
レイチェルの謎の行動。日記の謎。次から次に沢山の謎が出てくる。その謎をジェイコブと共に追いかけるのがすごく面白かった。
物語の中盤に差し掛かってからラストまでのノンストップの怒涛の展開が凄かったなー(๑°ㅁ°๑)!!
続編もあるみたいなので今から楽しみです。
あとこの物語はとにかく登場人物が多いので、登場人物表が別に付属されてる親切な仕様が嬉しかったです
投稿元:
レビューを見る
何度も騙された。兎に角ミステリの上書き上書きの繰り返しで、自分の立ち位置すらわからない、と言う展開。騙された作品の中で転がされているのもひとつの趣向かも。
投稿元:
レビューを見る
☆4.2
ロンドンで起きたある殺人事件を解き明かしたというレイチェル・サヴァナク。
彼女は謎に包まれていた。
有名な判事を父に持ち、今では莫大な遺産を相続している。
病の父と共に島に住んでいたが、亡くなったのをきっかけにロンドンで暮らすようになったらしい。
新米新聞記者のジェイコブは、そんなレイチェルについて記事にしようと彼女に近づく。
彼女には何かある。
そんな確信を持ち、なんとかスクープをものにしようと狙う。
しかしレイチェルには躱され気味。
そんな中、差出人のない手紙が届く。
そこに書かれた場所へ行くと、そこは発覚したばかりの事件現場だった。
この事件にもレイチェルは関係してくるのだろうか…
ある少女の日記と、レイチェル側、ジェイコブ側と三つの視点から構成されている。
最初のうちは何が謎となるのかわからず、とにかくレイチェルがミステリアスで、この人はどんな人なのか不穏なまま進んでいく。
彼女は善なのか、悪なのか。
何かの企みが進行していることだけはわかる。
この不安定なところがこの作品の魅力で、記者のジェイコブと一緒に読者も振り回される。
一体何が起こっているのか、様々なことはすべて関係してるのか、いつもジェイコブはわからないことばかり。
いつまでたっても彼は主導権を握れないけど、でもレイチェルの真実が気になって仕方ない。
レイチェルの人間性を貫いている軸が少しずつわかってくると、その強さに圧倒される。
その軸のブレなさは、鉄の女を見た気持ちになる。
そしてその根っこがわかると、ここまで理解できなかった彼女の言動が、絡まっていた事件たちが、するりとほどけて
見えるようになってくる。
さぁ、彼女の正義を見届けよう。最後まで。
投稿元:
レビューを見る
★5 謎の探偵レイチェルの魅力に惹かれっぱなし!読み応え抜群のスリラー&ミステリ #処刑台広場の女
■あらすじ
1930年のロンドン。新聞記者のジェイコブは、かつて難事件を解決したとして名をはせていた探偵レイチェルを調査していた。実はレイチェルには隠された裏の顔があり、見つけた犯人を自殺に追い込んでいたのだ。その後、次々と発生する殺人事件していくのだが、ジェイコブも巻き込まれてしまい… この事件の背景と、彼女の正体はいったい何者なのか。
■きっと読みたくなるレビュー
濃密なミステリーであり、スリラーですね。これは読みごたえがあります。本作は登場人物が多く、関係性も次々と発展するので、人物表とにらめっこしながら読まないと置いて行かれるのでじっくり読みましょう。
次々発生する殺人事件。女の事件関連性は明示されているけど、背後関係がよくわからない。まずこの女はいったい何者なんだよ、全知全能的で、目的を達成するためにどんなことでも支配する。怖い…でも惹かれる。
本作は主に新人記者のジェイコブ目線と、謎の探偵レイチェル目線で物語は進行していくのですが、謎めいたレイチェルや仲間たちの言動にぐいぐい引き込まれる。でも何故こんなことをしているのかが分からない。特に情報の出し方や、事件の演出が上手で、このまま海外ドラマでなりそうですね。
レイチェルは善なのか悪なのか… いや、すくなくとも善ではないような…と、考えているうちに、どんどん事件は展開し、舞台が混乱してくる。これだけ読者を惹きつけ、忠心させてしまう主人公はそうはいない。いや、これはすげぇ。
そして読み進めると徐々に明るみになってくる物語ですが、真相があまりに強烈すぎて、読んでいて腸がひっくり返ります。謎解きの仕掛けもしっかりパンチがあって、ミステリーファンとしても満足です。また1930年代の腐敗した格差社会を丁寧に描かれていて、今年の海外ミステリーのランキングを賑わす作品になりそうです。
■ぜっさん推しポイント
昔の映画監督の言葉です。
「正義」の反対語は「悪」ではない。「もうひとつの正義」である。
本書引用:真実には様々な形があり、現実は見る者によって変わる。
放たれる痛烈なセリフの数々、読んでいると昨今のネット界隈での言動があまりにも恥ずかしい。一方的な正義を振りかざし、全員が付和雷同する社会はもう卒業したいですね。
投稿元:
レビューを見る
ミステリーというよりはサスペンスといった方がしっくりくる作品。作中の仕掛けには何となく気づけたが、最後の展開は読めなかった。