紙の本
大正期の女流作家
2024/04/01 22:49
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
島根の片田舎で起こる殺人、放火、傷害未遂や横領など、様々な事件がやがて一つの目的に集約されていきます。
当時の主義主張や女性の地位向上を目指す女流作家たち。女性たちの装いなど、詳細に、しかもさりげなく織り交ぜられていたりと、楽しみはいろいろ。
電子書籍
大正の鳥取
2023/11/08 07:13
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公は田中古代子という女流作家です。舞台が大正の鳥取という本は、あまり無いので新しい感じです。火事の最中、兇賊ジゴマが、男を刺殺し、逃亡。命からがら自宅に逃げ帰った古代子と娘の千鳥に、又、というお話。さすが江戸川乱歩賞。
投稿元:
レビューを見る
読み始めは大正浪漫あふれる女流作家のお話かと思いきやだんだんとスリル満点の事件が起きるそして解決したと思ったが意外ない結末に読む手が止まらず近年稀に見る傑作の乱歩賞でした。
投稿元:
レビューを見る
歴代の乱歩賞作家には、受賞時に脚本家として名を馳せていた方は居られました。
脚本家であり、受賞作が「実在の人物が探偵役」と聞いた時、なんか嫌な予感が過ぎりました、「乱歩賞史上に残る、あの超迷作の再来か?」と。
まぁ、そこまでは行きませんでしたが、自分の評価は低いです。
ミステリの部分よりも、物語としての部分に傾いているからか、物足りなさを感じます
投稿元:
レビューを見る
このブクログの評点もバカにできないな
と思った
江戸川乱歩賞受賞作なのに
評点低い
まあ、読んでみて妥当だわと納得したけどね
まず、選評にあった通りミステリー色が弱い
貫井先生ほど辛辣な意見ではないけど
俺もよく受賞できたなと思った
(俺の選評)
作品が古くさい
なんか
一昔前のミステリー小説を読んでるみたいだった
前半、物語をなぞっていって退屈で眠たくなる
乱歩っぽい雰囲気が少しあるから
これはこの賞ではプラスポイントかな
マイナーな実在の人物を使ったのは
プラマイゼロ
俺は作中に知ってる歴史上の人物が
出てくるとテンションぶち上がるから
そっちの方が好みではある
女性の活躍を選評では評価されてたが、
これもそこまで響かなかったので、
プラマイゼロ
まあ、人にオススメするかと聞かれれば
しませんな、落選。
投稿元:
レビューを見る
Amazonの紹介より
第69回江戸川乱歩賞受賞作。
『名探偵コナン』『電脳コイル』『特命係長 只野仁』『特捜9』など数多くのテレビドラマ、アニメを手がけてきた、大ベテラン脚本家が、江戸川乱歩賞を受賞!
大正十三(1924)年七月、鳥取県鳥取市──。
主人公の田中古代子は、女性の地位向上を目指し「新しい女」の潮流を訴える女流作家である。本格的に作家として活動するため、娘の千鳥と内縁の夫・涌島義博の三人で、鳥取から東京に引っ越しをする予定を立てていた。移住直前のある日、古代子は千鳥と共に、活動写真「兇賊ジゴマ」を観るために鳥取市内の劇場「鳥取座」に向かう。ところが観劇中、場内で火事が発生。取り残された古代子と千鳥が目にしたのは、煙につつまれる舞台上に立つ「本物」の「兇賊ジゴマ」であった。逃げようとする二人の目の前で、ジゴマはひとりの男を刺殺し、逃亡する。命からがら鳥取県気高郡浜村の自宅に逃げ帰った古代子と千鳥であったが、一息つく暇もなく、再び謎の人物に襲われるのだった。
果たしてこの世の中に、本物のジゴマなどいるものだろうか……? 謎は思いがけない事態へと発展していく。
鳥取出身の実在の作家・田中古代子をモデルに、友人の女流作家・尾崎翠や鳥取に流れてきた過激アナキスト集団「露亜党」、関東大震災など、大正期を鮮やかに描く歴史活劇ミステリー!
読了した後に分かったことですが、主人公は実際にいた人物ということで、事件はフィクションですが、主人公の過去や周囲の人などは史実に基にしているということで、実際の歴史とフィクションとの融合にエンタメ性があって面白かったです。
特に主人公の活弁士による「推理の披露」は読み応えがありました。ある理由で、活弁士として表舞台に立つのですが、それまでの雰囲気とは違った迫力さが際立っていました。
他にも、この作品では男性よりも女性の方が、強く生き方を表現していて、とても印象的でした。
それだけでなく、数々のドラマ脚本を書いてきたこともあり、飽きさせない工夫が施されていて、惹きつけられました。
一つのサスペンスドラマを見ているようで、一筋縄ではいかない展開が面白かったです。
犯人確定なのに、まだページ数は余裕あるってことは…といった展開も、ドラマ脚本ならではのテクニックかと思うくらい、読む人を楽しませてくれます。
田中古代子や尾崎翠など、実際の人物は正直存じ上げなかったのですが、この作品を機にどんな作品があるのか、興味がわきました。
ミステリーとして考えると、本格的かな?と疑問符はあったのですが、江戸川乱歩賞ということで、ワクワクするような展開は、江戸川作品を彷彿させるような雰囲気もあって楽しめました。また、それぞれの女達の生き様も際立っていて、強く印象に残りました。
投稿元:
レビューを見る
第69回江戸川乱歩賞受賞作。
時は大正十三年、鳥取市。
「新しい女」の潮流を訴える女流作家田中古代子は、作家として活動するため、娘の千鳥と内縁の夫涌島義博の三人で、東京に引っ越しをする予定を立てていました。
移住直前、活動写真「兇賊ジゴマ」の観劇中、場内で火事が発生。
そこで古代子と千鳥が目にしたのは、舞台に立つ本物の「兇賊ジゴマ」。
ジゴマは男を刺殺し、逃亡します。
その後古代子と千鳥は謎の人物に襲われるように。
作家・田中古代子をモデルに、社会主義者やアナキスト、関東大震災などを描く歴史ミステリー。
最後の真相解明は、圧巻です。
投稿元:
レビューを見る
大正13年の鳥取で女流作家である田中古代子は娘の千鳥と東京に引っ越しする予定でいた。
その直前に楽しみにしていた活動写真を観劇中に火事が発生し、それに紛れてこの母娘が目撃したものは…。
その日以降、母娘は誰かにつけられて襲われる。
内縁の夫の助けがあり、難を逃れるがそれからも周辺が気になる母娘は探偵となるのだが、7歳の千鳥の賢さには驚く。
母である古代子の思考や行動力もこの時代には目立つものがあるだろうが、それを感じさせないほどである。
活動写真上映での女性弁士の口上は、素晴らしく途中のアドリブも凄さが際立った。
ここからは息を呑むほど勢いを増していく。
最後は、千鳥の観察力に驚く。
もう終わったとばかりに思っていたのだが、驚きである。
投稿元:
レビューを見る
第69回(2023年)受賞。
大正時代の鳥取が舞台。怪盗ジゴマの上映中、火事になり男が殺される。母子も殺されそうになり、探偵に。母は実在の作家。7歳の娘は賢く、詩もすてき。村の男が犯人と目され、自殺するが、もちろんどんでん返しあり。
鳥取には女流文士がいっぱいいたんだね。後日談で彼女たちがどうなったかが語られる。ただあらすじを書いてみた。
投稿元:
レビューを見る
素晴らしい書籍に出会えたものだ。大正時代の情景表現もよく父が話してた事と重なっていて思い出してしまった。登場人物も実在する名前が出てくるしその上ミステリーときたもんだ。謎解きも興味津々で最後まで読者を惹きつけて離さない!
投稿元:
レビューを見る
第69回江戸川乱歩賞受賞作。何故に大正時代、何故に舞台が鳥取?と思ったが主人公が実在の人物でそのバックボーンも全部盛り込んだのだからしょうがない。
ストーリーやミステリー的な要素も受賞作にしてはどうかな~と思ったが、何度も言いますが、実在の人物そのままを史実的な事も織り込んでのフィクションなのだからもう納得である。昔受験国語の文学史かなんかで尾崎翠という名前だけは頭の片隅に残っていたが著書は読んだことがない。今度読んでみようと思う。これも読書の醍醐味。
投稿元:
レビューを見る
江戸川乱歩賞受賞の作家さん。
大正期の鳥取の小さな村を舞台に実在の作家達をモデルにしたミステリー。
鳥取座での活劇もどきの始まりからぐいぐい引っ張られてあっと言う間に読み終えた。ミステリーと言うより物語性が強めだったが当時の生活感、世情がとてもリアルだったので、この事件さえ実録物ではないかと思った程。
絶対に映画化して欲しい作品。
投稿元:
レビューを見る
この夏、登った鳥取城跡と美しい洋館思い出しながら。大正時代の雰囲気、充分醸し出され、時代小説読んでいる気分に。後半の謎解き、少しくどくて…。脚本家ということで、これからも期待。
投稿元:
レビューを見る
大正13年(1924年)の鳥取が舞台の探偵小説。主人公の田中古代子、娘の千鳥、友人の尾崎翠、夫の涌島義博は実在の人物らしい。そして「怪盗ジゴマ」も、実在の活動写真。内縁の夫・涌島は社会主義活動家。文筆家の古代子は、未来をひらくために東京へ進出しようとしている。
古代子と娘の千鳥が「怪盗ジゴマ」を観にいった映画館で、劇中に火災が発生、観客が避難する中、「ジゴマ」の格好をした人物が現れ、古代子の隣りにいた男性が刺殺された。その後、古代子の周りには怪しげな影がうろつくようになり、古代子と千鳥は真相究明に動き出す。
この辺りの時代背景を理解していないので、読後に少し調べてみた。時代は関東大震災の翌年で、不況の入口だったとか。そして昭和初期の軍拡へ向かうのか。鳥取に流れてきた過激アナキスト集団「露亜党」が絡んでくるが、涌島たちとの明確な違いは、よく理解できず。
投稿元:
レビューを見る
江戸川乱歩賞受賞作。大正時代の女流作家・田中古代子は「兇賊ジゴマ」の活動写真を見に行った最中の殺人を目撃し、自らも命を狙われることになる。社会革命運動が活発な時代、不穏な輩が活動する中で身を護るために、彼女は利発な娘や内縁の夫とともに危難に立ち向かうことにする。息もつかせぬ展開の活劇ミステリです。
当時の時代情勢や雰囲気がたっぷりと味わえる作品です。その中で当時の女性としては逞しく生きようとする古代子や尾崎翠といった女流作家の姿が清々しくて素敵でした。そしてなんといっても、幼いながらに利発で勇敢な千鳥のキャラクターが良いです。子供らしいところがありつつも、大人顔負けの洞察力。主役であり探偵役であるのは古代子なんだけれど、千鳥の印象がとても強かったです。なので後日談の部分はけっこう悲しくて、これは知りたくなかった、と思ってしまったのですが。事実なので仕方がないのですね。
とにかくスリリングな読み心地は圧倒的です。特に古代子が活動写真の弁士をするシーンにくぎ付けでした。惚れ惚れしてしまいます。