- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
6 件中 1 件~ 6 件を表示 |
紙の本
これは手ごわい武家小説だ
2023/10/18 17:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
新潮文庫の新刊として出たばかりのこの小説『泳ぐ者』は、
青山文平さんが2016年に刊行された『半席』の第二弾として
2021年春に刊行されている。
主人公は『半席』と同じ徒目付(かちめつけ)の片岡直人。
30歳まであとひとつという彼のつく徒目付とは、
監察を担う御家人で、幕臣の非違を糺す御目付の耳目となって動くのだという。
彼はまた「半席」でもあって、
「半席」というのは旗本に至らない身分のことだ。
そんな片岡が手掛ける「なぜ」は、
離縁された元妻が三年半も経って病床の元夫を刺し殺した事件。
元妻はどんな女であったのか、
片岡の聞き込みが始まる。
やがて、その正体が判明しかかった時、元妻は獄中で自死してしまう。
ここまでが前半。
実はこの長編小説のタイトル『泳ぐ者』は、
後半に描かれる「なぜ」からとられている。
片岡の耳に毎日決まった時刻に、冷たい大川を不恰好に泳ぐ男がいるという話。
「なぜ」彼はそんなことをしているのか。
片岡は男の「なぜ」を解明していくことになる。
不思議に感じたのは、青山文平さんが
一見まるで違う二つの事件をひとつの物語の中に描いたかということだった。
そのことにこそ、大きなテーマが隠されていて、
そのテーマは人間の内にある「闇がり」だろう。
なんとも手ごわい、青山さんの武家小説だ。
6 件中 1 件~ 6 件を表示 |