紙の本
ウクライナの歴史を知る
2023/11/27 13:53
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
1998年刊行の新版世界各国史20ポーランド・ウクライナ・バルト史より、ウクライナ・ベラルーシ史を独立させた通史。
読みものと言うよりは、極めて淡々とした歴史の解説で面白さには欠けるかも知れないが、ロシアがウクライナを侵攻し、戦争が続いている今読むと、背景などが分かり、ためになる。
紙の本
ウクライナ・ベラルーシ史
2023/10/31 22:09
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投稿者:n - この投稿者のレビュー一覧を見る
ロシア問題の報道が日本では少ないので歴史がわかる解説書を探していました。少し言葉の言い回しが難しいですが、日本のメディアが拾わない事象も載っているので、読んで損はないですし、手元に置いておくべき本だと思います。ウクライナの解説本として最適です。
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山川出版社の世界各国史のなかで初めて独立して「ウクライナ・ベラルーシ史」となった。最初は1979年の「世界各国史 ロシア史」の中に、次に1998年に初めて背表紙に「ウクライナ」という名称が入り「ポーランド・ウクライナ・バルト史」となった。これが本書の原書で、この原稿は2023年2月で書かれている。最後の章では2022年2月のロシア侵攻の状況がドンバス、クリミアなど地域、都市ごとに簡潔にまとめられている。
侵攻直後に「物語 ウクライナの歴史」を読んだが、これは元ウクライナ大使の黒田祐次氏がウクライナをもっと知ってもらおうと歴史を軸にウクライナを語ったもので、そこには”ウクライナ愛”とでもいう感情が漂っていた。こちらは歴史学者としてウクライナ、ロシア、水平に記述した、という雰囲気を感じた。地勢にもふれているのがよい。
メモ
ウクライナとロシアの戦争は18世紀以降4回
1.大北方戦争:バルト海の制海権をめぐりスウェーデンとロシアが多くの国を巻き込んで戦争。ウクライナ・コサックの指導者マゼッパはスウェーデン王カール2世と同盟しピョートル大帝と戦った。1709年、ボルダヴァの海戦でロシアに完敗。マゼッパは1718年11.30にノルウェーとの戦闘中に戦死。
・マゼッパはプーシキンの物語詩「ボルダヴァ」、チャイコフスキーのオペラ「マゼッパ」、ユーゴーの叙事詩「マゼッパ」、リスト作曲の「マゼッパ」、バイロンの詩「マゼッパ」にとりあげられている。
2.ロシア革命直後の戦争:1917年のロシア革命では、ウクライナで自治の機運が高まり、ロシアでボルシェビキが政権を握るとウクライナ人民共和国(中央ラーダ)により独立が宣言された。がロシアの赤軍が侵攻し、学生を主体とするウクライナ側はキエフ近郊のクルティの戦いで敗北し、キエフは占領された。が、ウクライナ・コサックや中央ラーダは、現在のウクライナ国家の政治的、歴史的正当性の根拠のひとつになっている。
3.第二次大戦中の戦い:ウクライナはソ連とナチスドイツに侵攻されたが、ウクライナ蜂起軍(UPA)はソ連やナチス・ドイツに対しゲリラ戦を展開。
・バンデラ~戦後もウクライナ西部でソ連に抵抗を続けたUPA指導者のひとり。1941.6.30にウクライナの独立を宣言したが、直後の7.5にドイツ軍に逮捕され終戦までドイツのザクセンハウゼン強制収容所に収容された。そこでドイツとの協力を拒否したことが知られている。(が、)その名を冠した「バンデラ派」という言葉は、ソ連時代から、ロシアでは「ナチ協力者」という最悪の罵り言葉になっている。彼は戦後ドイツで亡命生活を送っていたが1959年KGBの刺客スタシンスキーによってミュンヘンで暗殺された。独立後、第3代大統領ユーシチェンコは2010年にバンデラに「ウクライナ英雄」の称号を授与したが、国内外から反発も多かった。プーチン大統領はしばしば「バンデラ派」を非難し、ゼレンスキー政権を「ネオナチ」と呼んでウクライナの「非ナチ化」を戦争の目的のひとつにしている。
4.2022.2.24の侵攻
<ベラルーシ>
1237年~ モンゴル軍がすべてのルーシの地を支配。キプチャク・ハン国となる。モンゴルは方角を色��呼ぶ呼び方を持ち込む。ルーシの南の地域(現在のウクライナ西部)を赤ルーシ、西方を白ルーシ(現在のベラルーシとして残る)、北を黒ルーシ(のちのモスクワ周辺)と呼んだ。
<ウクライナの呼称>
・モンゴル時代、キエフ、チェルニゴフ、ペレヤスラフといったキエフ・ルーシの中心的都市は人口も急激に減少し地位も低下。辺境を意味するウクライナという呼称もモンゴル時代に登場した。再興したヴォルガ・ルートから離れ、キプチャク・ハン国の首都サライからも遠いこの地域はウクライナと呼ばれるようになった。
ウクライナ語、ベラルーシ語があるが、征服者はまず征服地の言語を廃止させ、征服者の言語を強要するようだ。日本の対朝鮮、台湾でも同じか・・
表紙はキーウに建つ聖ソフィア大聖堂
2023.5.30第1版第1刷 図書館
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世界各国史では「ポーランド・ウクライナ・バルト史」とされていた巻のハンディ版、ウクライナとベラルーシが独立。前者では広い地域を扱う為に話があちこちへ飛び、なかなかついていけなかった記憶がある。が、今回読んでみて、「あっ、この話は覚えているな」と記憶に残っている部分も多かった。
コサックが勢力を増してゆく辺りまでは面白いが、以降は厳しい歴史が続く。特に第二次世界大戦前、ソ連による厳しい穀物徴発がきっかけで起きた飢饉。大戦中は敵の敵と組もうとドイツに接近するもこちらにも徴発され苦しむ事になる。
その後、言語問題・宗教問題(ユニエイト教会を含む)を発端に独立へと至る。が、ウクライナ人、ロシア人、クリミア・タタール人、ユダヤ人、ギリシャ人などなど多くの人種を含んでいるので、難しい状況が続く。現在の大統領ゼレンスキーも就任当初は、ドネツク人民共和国・ルガンスク人民共和国、そしてクリミア共和国問題については冷静な態度を取っていたが、その姿勢が国内で大反発に遭い、アメリカに接近し現在に至っている。
ベラルーシも今でこそロシアの味方という事で叩かれてもいるが、チェルノービリ(チェルノブイリ)原発事故では死の灰の70%が降り注ぐなど過酷な過去を経験している。