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紙の本
家康の軍事は平凡
2023/05/20 06:37
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投稿者:つばめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は織田信長、豊臣秀吉、徳川家康が戦国時代を終わらせた経緯を軍事・統治の両面から解説したものである。次に内容の一部を列挙する。◆戦国時代の諸大名は、有事になると農民に武器を持たせ、兵として戦場に送りだすのが一般的であった。信長は常設軍の設置、工兵、輜重兵を組織し農繁期にも戦える軍事革新を実現させた。◆信長の抜擢人材登用は、裏切り下剋上につながるリスクを抱えていた。◆長篠の戦いで、鉄砲を有効活用するための野戦築城に信長の天才性がある。◆秀吉の兵站力はスケール・アイデアにおいて信長を凌駕。これにより秀吉の大軍は信長の10万を上回る20万の動員も可能ならしめた。◆働かねば殺されるかもしれないという恐怖心に訴える信長と異なり、秀吉は人間の欲望に働きかけて人を動かした。◆秀吉の人事登用は、戦場での武功を重視せず、行政能力が高いことが必須の条件。秀吉は「戦争の勝敗は経済力にあり、経済力は政治と密接な関係にある。統治こそ天下人の役割である」、つまり文民統制の考え方である。◆家康の軍事は平凡で優れた発想には縁遠い。家康の統治手法は、譜代大名と外様大名に分断して大名を統制・管理、花(権力)と実(経済力・領地)を同一大名に与えなかった。つまり、分断して統治せよ。◆家康は江戸幕府安定のため、将軍は長子相続(世襲)という継承基準を明確にした。
江戸時代の平和や外国の植民地になることを回避できたのは軍事力に負うところが大きい。信長・秀吉・家康の歴史的役割は軍事によって平和を作り上げたことだと著者は指摘。
本書は、軍事を主軸にそれと密接な連関をもっている政治・経済を絡ませた、通常の軍記物とは、一線を画す興味深い内容であった。
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