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「ある人が、くだもの屋さんで20円のリンゴを7こ買おうとしたら、10円たりませんでした。その人はいくら持っていたでしょうか」というような問題があったとすると、私はその”ある人”のことがひどく気の毒になりはじめるのである。この人はもしかして貧乏なのだろうか。家にそれしかお金がなかったのだろうか。リンゴが7個買えないとわかった時に”ある人”が受けたであろう衝撃と悲しみは、いかばかりだったであろうかーー。どうかすると、同情が淡い恋心に変わってしまうことさえあり、(”ある人”ったら、うふふ…)などと思いを馳せているうちに、「はい、鉛筆おいてー」という先生の声が響きわたってしまうのだった。
『ねにもつタイプ』よりやや洗練度が落ちるが…というのもいろいろな雑誌に書かれたものが集められているのと、クラフト・エヴィング商會の挿絵抜きだからそう感じるのかもしれないが…ともあれこの本も電車の中で読んでいると肩がふるえてくるので、何度も本を閉じて、深呼吸しなければいけなかった。「私の考え」を延々と続けてまた本を書いてほしい。「夜枕合戦」と「国際きのこ会館の思ひ出」は昔『翻訳の世界』で読んで切り抜き、私のおもしろファイルに入れてあったものだったので、あっ!あれはキシモトさんだったんだ!と遅まきながら発見し、再会できてうれしかた。
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翻訳家さんのエッセイなのですが、
すっごいハイセンスで好きです。
あるある、というのから
この人すごい!と思うお話など。
ぐいぐい読めちゃいます。
でもこの方の翻訳している本は独特すぎてついていけません…
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翻訳家の一風変わったエッセー。想像力の逞しさに笑いがこぼれる。私にはちょっとついていけない部分もちらほら。作者が好きだという筒井康孝の影を感じる。
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へんてこな日記とか、面白かった。こういうシュールな感じって、つげ義春を思い出してしまうんだよねえ。でも『ねにもつタイプ』のほうが面白かったな。
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某ブックファースト新宿店でのトークショーで柴田元幸先生もおっしゃっていたが、これはエッセイではなく、妄想の産物本。
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はっきり言いましょう。この本、毒にも薬にもなりません。ならないんですが……それこそが本書の最大の魅力なんですな。アホみたいに面白い。けれど、読む前と読んだ後で、なにひとつ心境に変化が生じない。最大級の賛辞を送るなら、この読後感は内田百?に近い。恐れ入谷の鬼子母神です。
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前半最高☆
電車の中で読んでしまうと・・・・大変です。
どうしても笑いをこらえて・・・それでもにんまりしてしまう。。。w
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面白い。
最後の方は、オススメの本についてなどで、
私は特に興味を示せなかったけど、
途中までは、思わずニヤッとしながら読んでしまった。
ところどころ自虐的で、でも開き直ってて、
どこか達観している…、
文才のある人のエッセイは本当に面白いなーと思う。
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自分よりネガティブな人を見つけるたびになんだか嬉しくなってしまう。国際きのこ会館に行ってみたいと思って調べてみたら、なくなっていてショック。
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やっぱりわたしこの人と友達になる!
自分は透明人間なのでは、という疑惑が濃厚になりました。
彼女に宣告されたなら誇りに思います。
岸本さん大好き。
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「ねにもつタイプ」よりも私にはツボにはまりました。
私みたいに少なからず妄想癖がある人は身に覚えのあるような話だからこそ、楽しめるのかな。
特に前半部分はリビングで読んでにやにや笑いをかみころしていたところを弟に目撃され、その部分(確か「オオカミなんかこわくない」だった)を音読したら弟も大笑い。
そこに母がきて…(以下略)w
中盤からは不思議だけど、うっすら怖い話もでてきて、翻訳した本の紹介や、彼女の好きな奇天烈な本のレビューも読めて、全体としてバランスもとれていたと思います。
彼女の訳したニコルソン・ベイカーの本がとても読みたくなりました。翻訳本がもっともっと文庫化すれば、気軽に手に取れるのになぁと思うのですが。
そして「国際きのこ会館」に私も行きたい!!
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翻訳家の、あんまり翻訳とは関係ない抱腹絶倒のエッセー。
めちゃめちゃ笑える。
いっきに、岸本佐知子のファンになったことは間違いない。
このズレ具合、絶妙すぎる。
ボケているのか計算なのか、とにかく面白い。
国際きのこ会館、すごく行ってみたい。
この方の訳した本をこれから読むのが楽しみ。
巻末に少し載っていた書評の本の趣味が川上弘美とかぶりぎみで、これらの本もがぜん読みたくなってしまった。
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翻訳作品はあまり読まないので、失礼ながら岸本さんのことは
存じ上げず、訳された作品も読んだことがなかったのですが、
『ねにもつタイプ』で賞を受けたときに、審査員の先生方が
おもしろい!と書いていたのを目にして、
読んでみたくなりました。
2冊いっしょに買って、まずは1冊目から。
書き出しに、「世の中の人間は〈数学心のある人とない人〉の
2種類に分けるのが最も手っ取り早い」というようなことが
書いてあったのですが、そこからもう、「思う思う!」と
引き込まれてしまいました。至極真面目な顔をしながら
ぽつりとおかしなことを言うような印象の文体で、
大爆笑というよりはニヤッと笑ったり、思わず吹き出したり、
そんなふうに楽しみながら読了。
著者の妄想や、子どもの頃の話、大きくなってからも
やっていたおかしなことなどを読んでいるつもりで、
実は「こういうことをした」という話自体も
もしかしたら妄想なんじゃないか、なんて、
現実と妄想の境目がぼやけてくるような感覚もありました。
(なんとなく、竹中直人さんの著作を読んでいたときに
本当のことだと思っていたら創作で、創作だと思っていたら
実体験だった、と知ったのに近い感覚でした。)
彼女が訳しているニコルソン・ベイカーさんの作品も
どうやら一筋縄ではいかないようですが、
どんなものだか見てみたい気はします。
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「ねにもつタイプ」から流れてきた身にとっては、以前からこうだったんだ!というのとまぁ比較的普通なとこも多いという思いが交錯する。
こうした奇妙な発想、話というのはあるんだけど、作者以外のところで起きて、本人はニュートラルだったり場合によっては高いとこにいたりするが、岸本さんの場合は自分自身が奇妙だったり、自分自身の頭の中での話だったりするのでその分がよりインパクトが深いんですね。
彼女の好きな本の紹介を読むとやはり奇妙本好きで納得です。
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(2010/06/10購入)(2010/06/12読了)
翻訳家岸本 佐知子のエッセイ。
全く気取らず、むしろ卑屈すぎるぐらいの語り方がツボだった。
ドトールでニヤニヤしながら読んだ。気持ち悪い顔をしていただろう。