紙の本
出直し神社
2022/01/11 10:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
両親は亡くなり、家族も家も職もなくしたおけいは閑古鳥に導かれて出直し神社に行きつく。出直し神社はうしろ戸の婆が仕切っている目立たない神社であった。そこには人生をやり直したい人が訪れ、縁起のいい神のタネ銭を借りに来る場所で、おけいはお手伝いを始める。ある日、身なりのいい女性・お妙が出直し神社にタネ銭を借りに来る。お妙は茶屋を営んでいたが、行き詰まり再起を賭けて出直し神社にきたのであった。神はお妙に八両もの大金とおけいを貸し出す。そしておけいはうしろ戸の婆から、ひとつの任務を言い渡される。その任務とは・・・・・。
出直し神社が現代にもあればと、思ってしまいますね。おけいちゃんみたいな子供がいたらいいですね。
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貧乏神に見初められた少女おけいちゃん。苦労してきただけあって16歳ながら気はつくし頭は回るし働き者だし、まったくもって非の打ち所がない。そんなおけいちゃんのお仕事は貧乏神からたね銭八両をもらって商売を始めたお妙さんの相談相手。
いやぁ、このお妙さんの魅力も半端ない。見た目も美しいが芯が強く凛としていてカッコいいんだ。
このお妙さんが一度はつぶしたお店を新しく女性限定のお茶屋としておけいちゃんと二人で作り上げていくという、あるいみお仕事小説でもあるのだけど、その向こうにお妙さんの実家の秘密がかくされていて、という謎解きでもある。おいしいお菓子と楽しい仲間たちがわいわいがやがやお店を作り上げていく過程に浸っていた最後に見つけた悲しい事実。
仲間たちそれぞれが抱える問題も加わってとても豊かな話だったなぁ、という読後感。
これはぜひともおけいちゃんシリーズとして続いていってほしい!
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貧乏神を祀る神社があるという設定から興味深いが、そこでビジネスの相談を受け付けているという。
貧乏神に取り憑かれているのではという残念な人生を歩んできた主人公のおけいが、両親を家事で無くしたお妙が運営するお蔵茶屋くら姫の再建に尽力する。
くら姫を取り巻く様々なストーリーがそれぞれ興味深く、一つ一つのストーリーが大きな物語として紡がれていく。
再建に向けての展開はマーケティングなどの要素をふんだんに含むため、ビジネスマンにも好まれれるストーリー。
何となく次作へ続くのでは?と期待を込めてコメントを残します。
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櫻部さんの作品は『フェルメールの街』以来、読むのは2作目。後書きの解説を読むまで、気づかなかったのだから、呑気なものだ。この『くら姫』は本屋の店頭でふと目に止まって、手に取って読み始めたのだけれど、読み進めるにつけ、どんどん面白くなっていった感じの本でした。もう一冊、『シンデレラの告白』って作品もあるらしいので次に読んでみようかと思っている次第。
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主人公のおけいの真っ直ぐな性格に怪しげなうしろ戸婆の元に連れて行く閑古鳥などキャラクターも面白い。性同一性障害やミステリーの要素も加わり想像以上に面白かった。続編を読みたくなる一冊
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面白かったです!
のんびり進んでいくのかと思いきや、内容盛りだくさんでした。
時代小説は読みにくいのかなと勝手に思っていたけれど、こちらはとても読みやすく、タイムスリップできたような感覚を味わうことができました。
続編が出ているようなのでそちらも読んでみたいです。
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表紙イラストの可愛い巫女姿の女の子、この子がタイトルの〈くら姫〉かと思いきや、「おけい」ちゃん。〈くら姫〉はお蔵茶屋の店名でした。おけいの〈くら姫〉での日々が描かれます。
不遇な少女・おけいは、下働き先を探している時に、閑古鳥に導かれるように貧乏神を祀る〈出直し神社〉に辿り着きます。
そして社殿を守る婆さまに、これまでの不運と不幸だらけの人生を語ると、良い巡り合わせと婆さまを手伝わされることになるのでした。
この神社では、「たね銭」(商いの元手となる縁起の良いお金)を客に授け、借りた客は一年後に元手の倍の額を返す約束で、これが本書の副題意味です。
単調でほのぼの系の時代小説と思ったら結構複雑で、様々な事情を抱えた人物が登場し、伏線が張り巡らされたミステリー要素もありました。終盤の伏線回収へ向けて、読ませます。
おけいの魅力が一番ですね。美少女でなくても真っ直ぐで、人を恨んだり自分を嘆いたりしません。自分の役目を一生懸命果たそうと、出会った人々の手助けをする姿は、誰もが応援したくなります。
なんか、おけいの存在そのものが、神様の思し召し? あの婆さまは何者? と思っちゃいます。少なくとも、高利貸しのサラ金や悪徳ヤミ金とは雲泥の差ですね。夢のある話で、シリーズが5作まで出ているのも頷けました。