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紙の本
本音の配当
2023/11/23 00:43
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投稿者:求道半 - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作と同様に、小説版を読む前に、原作に目を通しておいた方が、物語を楽しむ上で、無難である。
不死と不運が揃って登場するエピソードもあるのだが、全四篇の各篇において、敵味方を問わず、原作の記載に則った、幾人もの否定者の恋模様が語られるので、各篇の登場人物や舞台に関する知識が欠落していては、小説版を味わい尽くすのは困難であろう。
更に、本作では、原作で、度々、注目される少女漫画が、重要な小道具として、用いられており、その存在を知らなければ、架空の漫画の話を断片的に読まされる事になるので、原作は必読だ、と言い切った方が適切かもしれない。
但し、表紙のイラストを見て、一人でも、その人となりが気になるようであれば、試しに、小説版から、原作の雰囲気を感じ取ろうとするのも、一興である。
副題にあるロマンチックのニュアンスを読者が如何様に受け取るのかは、明らかにしようがなく、その必要も無いであろうが、恋心に付随する悲喜交々の感情を、各篇の登場人物は、様々な場面で体現し、発露する。
激烈な感情の表出を伴う話がある点では、原作も本作も、ロマン派の流れを汲む作品であるとも言い得るが、他人に聞かれては小恥ずかしくなる様な、甘ったるい話題が、本作では全編で繰り広げられる。
だが、副題に含まれる休日の意味を、読者は軽く考えてはならない。
常住坐臥、否定者は戦っている。
寸暇を惜しんで、戦いに備える者や、病気に苦しむ者、信頼を寄せる相手から裏切られた者等、生き地獄の様な暮らしを送らざるを得なくなった否定者が、ほんの一時、胸の内に眠る繊細な感情と向き合えるのは、稀な事であり、それが、如何に貴重な瞬間であるのかについて、読者は考慮し、その観点から、彼らの休日の過ごし方の是非を判断すべきである。
アンディの全裸が目立つ原作と本作との違いが如実に分るのが、各篇における女子のファッションへの言及である。
休日だからこそ着られる服を選んで、街に出る喜びは、少女や若い娘にとって、何物にも変え難い、特別な気持ちである事に議論の余地はなかろう。
隣には、恋焦がれる人がいる。
普段なら、歯の浮く様な科白でも、甘美な響きとなって、心を震わす。
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