紙の本
歴史小説の王道
2016/12/17 12:48
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
清く美しく清々しい読後感。
両親を亡くした卯乃は黒田藩の重根に引き取られ物語が始まる。
藩主を守るために重根と弟峯均が活躍するが、兄弟は美しい卯乃へ想いを抱く。
重根・峯均を追い落とそうと企む一派により苦境に立つが、己の信念を貫く姿がいい。
峯均と剣豪天馬との戦いは迫力がある。
ゾンビのように蘇る天馬は少し書き過ぎと感じたが、本格歴史小説に鮮やかな色を付けているとも読める。
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全1巻。
加賀騒動、伊達騒動とならび、
三大お家騒動と呼ばれる黒田騒動。
の、次の世代。
第二の黒田騒動と呼ばれる事件を背景に、
剣と恋を描いた物語。
けっこうよかった。
著者特有の、
すこしイヤミ臭いくらいの堅苦しさが大分影を潜め、
往年の時代ものを読んでいるような
割とベタな雰囲気。
後書きにも書かれてるけど、
藤沢周平を彷彿とさせる。
リアルタイムでこういうの書ける人は貴重だと思う。
著者が多様する和歌を使った心情表現も
いい頃合いで邪魔にならず、
宮本武蔵vs佐々木小次郎な気分の
クライマックスはすごく迫力がある。
著者の新作に、
(個人的には)最近あまり当たりが無かったので、
なおさらぐっときた。
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母を亡くし、今また父を失った卯乃。親戚には引き取り手がなく 立花重根に引き取られた。
成長していく中で、父の自害の「真相」とやらを知らされ、目が見えなくなってしまう。本当の真相を求める中で自らの出生の秘密を知る。自分を愛おしんでくれる人達を自分も愛おしく思っていくことで前に進むことができるのだろう。
しなやかにたくましく生きている卯乃は素敵です
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2013.6.16読了。図書館。筑前黒田藩の権力争いと香しい女の茶道、香り、恋物語。藤沢周平を連想さす作品。
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両親を亡くした卯乃は黒田藩の重鎮,立花重根の元に引き取られる.
父の自害の原因が養父の重根にあると聞き,卯乃は失明してしまう.己を道を貫く男たち,それを信じ一途に生きる女たち.感動の時代小説.
カッコイイ登場人物が目白押し.個人的には重根が一番.やっぱ愛でしょ.
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筑前黒田藩・立花家を中心に香と茶と和歌、そして花…の世界。ご乱心のお家騒動に巻き込まれながら、己の信念の生きざまを貫く男たち。凛とした一途な咲きざまを見せる女たち。ラストの足早感は否めないがハラハラする展開と、男女問わずの各キャストの"気"に圧倒される。個人的には泰雲と天馬の尖り具合が後味強い♪
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時代小説ではなく歴史小説が読みたいと思って手に取った作品。
「どうやら黒田官兵衛の子孫の時代らしいなぁ」程度のほぼ予備知識ゼロだったので、中盤になると「この先、どうなるのだろう?」と、もう夢中になって読んでいました。
おかげさまで寝不足です。
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素敵すぎる。香や和歌、そして武家の生き方。。。重根と峯均の兄弟がほんとに武士らしくしたたかで誠実で、かっこいい。キャラがたっていて、実在したと言われる人物とそうじゃない人物の区別がつかない。
歴史にファンタジーが溶け合わさって、和風で夢のつまった感動ストーリーになっちゃったかんじ。
バスの中で涙してしまって困りました。
蜩の記に続いて、読後の心地よさがくせになる本でした。
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「第二黒田騒動」とも呼ばれる筑前福岡藩の実際のお家騒動に絡めた物語。
まず思ったことは、この方の描く話の登場人物はみな「覚悟」を知っているな、ということです。
「腹を括る」ではなくて「覚悟」。
貫く為に、例え理不尽に謗られ妬まれ疎まれようとも、動じない静寂の力強さ。それは己が定め決めた事の顛末に対して不服を持たない力強さでもある。
主人公の卯乃が失明したときに預けられた家の姑りくは、香を聞くことを教えて、「ひとは匂いです」という。この表現には、権利主義や唯物主義になりがちな世に対して、表層のその奥に大事なものがある、と言われているようで、ぐぐっときました。
あと毎度ですが、美術工芸品の描写がさりげなく詳しい(笑)
香道具の意匠や茶席での茶碗の種類をそっと書いててでもうんちくくさくなくて、その彩りも、わたしがこの方の作品が好きなもう一つの訳。
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L
どうにもベタ感が拭えないのだけれど、それがいいのかな?盲目の陰ある女が主人公で、さらに出自秘密加算されて儚さ全開というか。強き女性が全面に出てるわけではなくむしろ周りの女性があっぱれ的な。結局一緒になった峯均はなにをやったっていうんだ。周りの人々が凄すぎて霞んだ印象。
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重根、峯均、卯乃各々の胸に秘めた思いと情が政局の流れに翻弄されながらも強くひたむきで、切なくも心温まる作品。願わくば、峯均の流刑が解かれたあとの描写がもっとほしかった。峯均の覚悟と強い信念に男らしさが満載で、蜩ノ記よりよかったな。
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福岡藩の第二黒田騒動が舞台として、人としての生き方を改めて問う。
吉川英治、藤沢周平などの時代小説の系譜に筆者も位置付けられるであろう。
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最後!最後は一体!?
と自分の中でハッピーエンドを書いてほしい、はっきり書いてほしいとの願望がわき出た状態で終了。でもよくよく考えたら、この話は決して恋愛小説ってわけじゃなかったんだなよな、と。
当たり前ながら漢字も多く読み方も複雑。でもそれが気にならないくらい、読むにつれてぐいぐい引き込まれました。
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両親を亡くしたのち、筑前黒田藩の立花重根のもとに引き取られた卯乃、しかし重根が父の自害に関与したと聞き卯乃は懊悩のため失明してしまう。さらに立花一族に対し藩からの圧力が強まり…
小説を読んでいて、登場人物の生き方に対し心の底からカッコいい、と思ったりすることってなかなかないと思うのですが、
この小説に登場する人物たちは老若男女問わず、どの人たちもカッコよく、彼らの生き方を漢字で表すとしたら”清”という字や
どんな苦境の中にあっても強く自分を持ち続ける姿から”凛”という字が思い浮かびます。
お家騒動や恋愛事情、複雑な家族の来歴、刺客の存在と死、そんな様々なドロドロとしたものが描かれながらもこの作品を読んでいるとそうしたドロドロさは感じられません。それもひとえに登場人物たちの清らかさと凛とした強さのおかげだと思います。
チャンバラシーンの読みごたえも十分で、時代小説の醍醐味を存分に味わうことのできる小説だったと思います。
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カッコいい男達を読みたくて、読んでみた。
期待通り。まっすぐに生きる人たちに共感しました。
スカッとしました。
これまで時代小説はあまり読まなかったが、こういうのだったら他の作品も読みたいと思う。