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『小説 人望とは何か?』
著者 眞邊明人
PHP新書 2023年
最近話題になった『もしも徳川家康が総理大臣になったら』の著者である眞邊さんが新書という形をとって人望に関することに関して小説の形式で書き記した本書。
なぜ小説の形式かは初めに書いてあるが、いわゆる経験学習をベースにしており、小説形式であれば具体的な状況が入ってきやすく経験学習に似た効果である疑似経験学習を促進するものであるからだそうだ。ここに関しては賛否両論あるだろうが、人望という抽象的なものに具体的な環境を設定することで捉えやすくするという試みはシンプルに著者の愛だろう。
この本では人望に関することに関して様々な事を書き連ねてあるが、私が個人的に面白いと思った箇所を紹介する。それは3つある。
1つ目は「人望がある人とは、組織の価値を体現している人」
ここでは、人望というものを再定義している。その中で人望とは価値観を理解することで人望を生み出すことができると書いてあり、そのために価値観を共有しておくことが重要であると書かれてあり、そして人望とはそもそも組織におけるものである事を踏まえた場合、組織におけるリーダーはその組織の価値観を体現していないといけないということになります。そうでないと、意思決定に迷いが生じ、行動が遅くなり、尊敬や期待などの人望は生まれづらいでしょう。このように、人望というものは価値観である以上、組織的な価値観を重視して、それを体現することが重要であるそうです。
2つ目は「言葉だけではモチベーションが上がらない」
ここでは、言葉でモチベーションを上げるのではなく、適切なタイミングで指導することであり、そのためにできることはその環境を整えることであると書いています。
3つ目は「オンとオフを区別せずに考える」
ここでは、アメリカの経営コンサルタントであるデビッドアレンさんの「そもそもオンとオフを分けることに意味がない」という発想を紹介しています。これによると、人間はそもそも次の行動をしようとする時、プライベート、仕事関係なく、頭の中に出てきて、そこに区別などはなく、そしてそれが一旦思い浮かぶと、人間の脳はそれを記憶に止めようとすると書かれており、アレンさんはこの状態が普通であり、頭に浮かんだことはオンとオフの区別なく書き出し、整理する「GTD」という手法を編み出しました。
そこから、今の多様性の時代を鑑みた結果、これからのリーダーは仕事のみでなく、生活に関することでもアドバイスを送れる人が望ましいというのが筆者の主張です。
ここに関しては、アドバイスというよりは、女性の産休事情などももちゃんと汲めるぐらいで良いでしょうね。アドバイスまでする必要性はないでしょう。
この本では究極の人望として言葉を介在させずに「あの人がいうなら…」という存在だけの人望を提示しています。確かに、もしそれができるのであれば、組織としてはものすごく楽でしょう。しかし、最後らへんではその人望が一個人を超えて暴走することの危険性を指摘しています。
しかし、これに関しては用いている具体例が西南戦争という��まりにも大きすぎる事柄で、いまいち実感が持てないというところです。
それに1企業の人間で人望が暴走するということはないのでは?とも思います。なぜなら一企業の人望というのはその会社内での人望であり、それ以上でもそれ以下でもないからです。具体例に用いているのが、政治の世界の文法であるため。命をかけることはおかしくはないかもしれないですが、1企業で命をかけるかといえば、NOでしょう。
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意外にも面白かった。ビジネスにおける人望とは何かをケーススタディごとに解き明かしていく小説形式を使ったマネジメント向けの本だ。
実在の企業におけるケースではなく人望を説明するためにわかりやすくシンプルなケースを作り上げ組織における人望、部下とのコミュニケーション、リーダーシップを解き明かしていく。冒頭、小説にした経緯が書いてあるが、確かに意図したことを意図したように組み立てるには小説にした方がいいと感じた。
読みやすくするために幕末の薩摩藩になぞらえ主人の西郷武彦(=西郷隆盛)、盟友の大久保和人(=大久保一蔵(利通))、社長の島津彬光(=島津斉彬)、先代の島津敏光(=島津久光)という既に人物造詣が歴史的に確定している人を使って構成していて頭にすんなり入ってきた。
以前から若手の教育に関するヒントを考え勉強していたが「ゆるい職場」にない角度から得られそうだ。いわく具体的な指示の出し方がいかに働き手のモチベーションを引き出すかとか、目標の具現化にあたり人望がリーダーシップになりえるとか。
中小企業における若手の中途採用に求められる要素は身近な中間管理職が仕事を通してどのように組織にコミットさせ、明日への希望を持たせるかということなんだとおぼろげながらわかった。つまり、若手自身の問題でもあるがある意味、映し鏡で取り巻く職場の構成員の問題でもあるということだ。
焦ってゆるい職場は読んだけど、この本は一歩引いて読めたから良かったのだろう。
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いまいる会社を辞めたいと考えている若者に対して、どのように意見するか。なるほど!というヒントが書いてある。登場人物が多いけれど、頭の中が混乱することなく読むことができた。
とてもいい本だと思います。
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面白くない。話ができすぎて綺麗事すぎる。内容も古くさい。人はシステムティックには動かないという事を言っていると思うが、個人の感情やモチベーションを上げるだけではいかんと思う。