電子書籍
知性と脆さ
2024/01/23 16:41
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投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
テレビ的な情報の無秩序な流れから無意識に権力の側に加担しているといった主張など、物書きとして活動家としてのソンタグの挑発する知性と脆さに抗う思想と苦痛を、利己的な私生活も交えて考察している。
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ソンタグの写真についての考え方を知りたいというきっかけで手に取った。
ソンタグの生き方とその時々の思想を知るには有用な本だと思う。ただその思想を現代社会を批評する目的で援用できるかというと「?」と思ってしまった。マイナスの意味ではなく、彼女の思想を読めばなおさら。
故人を過去に閉じ込めたまま借り物にしてああだこうだと言うよりも、純粋にソンタグならこの状況を何というか知りたい、という感じ。
ただ写真のところはよく理解できなかった。写真=「他者のヴァルネラビリティへな関与をやめない暴力的なツール」とあるが、その当否は被写体と撮影者の関係性によるのでは?写真がそれを固定してしまうということならまだ納得がいくが...とか思ってしまった。ので原典を読んでみようと思います
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初めてソンタグの名前を知ったのは、予備校の時(1985年?)。確か、工作舎か何かの関係で京都に来ていたとか。その後、大学生になってからやその後でも、ほんの少し著作に手を出したけれど、文章のスタイルがかっこいいとか、その程度しかわかっていなかったと思います。この本を読んで、少し理解が深まった気がしました。
とてもとても微妙で、難しいソンタグという人間への批評(!?)を、とても丁寧に、良く考えられたアプローチで行なってくれています。文章も美しい。このようなガイドは、読書にとって、とてもありがたいです。お薦めします。
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わかるようなわからないようなところが面白い。ディコンストラクションとかフェミニズムとか、ときどき自分の解毒のように読むのだが、同じようなものを感じた。ソンタグ、読んでみようかな。
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一番好きな批評家(思想家でもある?)
自分の中にある複数のアイデンティティの間にある脆さに争う気持ちは少しわかる
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波戸岡景太「スーザン・ソンタグ『脆さ』にあらがう思想」
https://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/1184-c/
1/3くらいまでは、またうっかり新書へ手を出してしまった…と悔やんだけれどその後の追い込みがすごかった
前にソンタグを読んだときは、感動する一方で、でも結局は大国の国際権力の傘の下にいる知識層の余裕のなせる業じゃんとも思ったけど(わたしは何様でしょうか)、そのあたりも反知性主義の主張でちゃんと回収されていたことをこの解説書で知った(それはそう) 半生や晩年のあれこれも知り、ソンタグの思想と人物との両方の入門書として平易でとてもよかった
ソンタグかっこいいなー 積読になってる数冊をいつか読みたいと思いながら重くてなかなか気分が出ない
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スーザン・ソンタグは、小説は読んでないが、翻訳された批評集は多分全部読んでいると思う。
ソンタグの言っていることは、時期によって論調が変わって、以前とは矛盾することを書いていたりするのだが、それも彼女が無理やりの自己一致の連続性を維持することよりも、自分の変化をそのまま表現する誠実さのようなものだと思っていた。
そんなことを思いながら、本書を読んでみた。
目から鱗がたくさん落ちた。
そう、ソンタグは、「カッコ良い」のだ。だから、つい読んでしまうのだ。そして、そのカッコよさは、時代が変化する中で、主流の言説がどのようなものかによって、それに抗う形でなされる批評は変わっていくのだ。その切り口の鋭さが、「カッコいい」というわけだ。
とは言っても、彼女は、時代の変化の中で、カッコいいことを言えば良いと思っている物書きではない。
その中心にあるのは、「脆さ」(ヴァルナラビリティ)にあがらうということだ。なるほど、ジュディス・バトラーの議論につながっていたのか。
さて、わたしは、ソンタグは本を読むだけなので、ソンタグへのバッシングについては、初めて知った。2001年のテロに際しての「カッコいい」コメントが、アメリカでは反感を買うだろうことはそうだろうと思うが、それだけでなく、死後に私生活や性的な関係性などでスキャンダラスの話しが掘り起こされて、大変になっていたことは知らなかった。
でも、読んでみれば、そういうこともあるだろうと思う話しで、どうしてそこまで大問題になってしまうのだろうか?
つまり、「カッコいいこと」で批判された、批判されたと思った人が、本人の死後に批判をし始めたということなのかな?