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本屋大賞受賞後待望の新作!!
同志少女を書いた逢坂がどんな新しい話を書くのか、とても楽しみにしていた。
そして今回もヘビー級の1冊。
読み終えた後暫くタイトルを見つめてじっと考え込んでしまった……
戦争と言う物は悪と善みたいな感じで捉えられがちだけど、そこには色んな人の思惑や感情が混ざりあってまさにカオス。
良い人でありたい、尊敬する人から認められたい、自由でありたいと思う中で、全員に共通するのは「生きたい」と言うただ一つの思いなのに何故それが出来ないのか。
生き残るためには良い人でありたいと言う思いは自分の都合の悪い困ってる人は見捨てるしかなく、尊敬する人から認められる為には頭のネジを外して大量虐殺をしないといけない…そして自由に生きれば殺される。読んでいる最中は戦時の混沌が常に渦巻いていて気持ちが参りそうになった。
ラストの方は皆な歌ってくれよ!
と、思ったものの、果たして自分が当時のドイツ市民の立場だったとして、歌えるのか…。
歌えよと言うのは容易いけど、当事者の立場に立った時それはそう簡単な事ではな無いとも思えた。
だからこそ戦争が終わった今、何が当時あってその時の人達がどう生きたのか…その事をしっかりと知っておくのはとても大切な事なんだと感じた。
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前作の評判は存じておりましたが、結局読む機会はなく、今作が初めてとなった作家さん。
とても心揺さぶられました。読んで良かったです。
個人的に「ナチ体制下のドイツ。《究極の悪》に反抗した少年少女の物語」は作品の一部であって、”人は、自分が受け取った他人の、断片化された一面をかき集め、空白を想像で埋め、矛盾のなさそうな「その人らしきもの」の像を組み立てる””自らの作り上げた虚像を眺めることで、他人を理解したつもりになる。”ことに警鐘を鳴らした作品なんだと思いました。
だから表題も「歌われなかった海賊」ではなくて「歌われなかった海賊へ」なんだと思います。
戦争、全体主義による大衆操作、人種問題、ジェンダー問題。悲しいかな、今なおそれらの問題は続いていて、またSNSでの安易な拡散などにも当てはまることですし、この作者さんはどこまで考えて作品を書き上げたのだろうと感心するばかりです。
大まかに、①クリスティアン②ヴェルナー③クリスティアンという構成で、②を経ることで①での郷土史やアマーリエ、フランツ、デミレルで語られたことが側面的なものであって、③で別の面を思い知ります。見事な構成だと思います。
最後の「フランツを知ろう」という、まずは「知ること」で終わるのもとても良かったです。
あと個人的にフランツのペンネームが「マンフレート・ジーラント」でManfred Zeelandだと思うのですが、名前の由来を考えると心揺さぶられました。
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前作の『同志少女よ、敵を撃て』で一読惚れした作者の待望の第二作目。
前作の銃撃戦のような明確な命のやり取りは少ないため、エンタメ性ではやや劣る。
しかし戦争というテーマで、説得力を持たせつつ読ませるという点は見事。
一面しか見ないことによる自分にとって都合の良い解釈の積み重ねで戦争は起こるのだと考えさせられた。現在を生きる我々への警告であるようにも感じた。
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「第11回アガサ・クリスティー賞 大賞」を受賞したデビュー作『同志少女よ、敵を撃て』の逢坂冬馬、長編二作目。『同志少女~』が良かったので、著者追っかけで今作も手に取ることに。
舞台は1944年、終戦間近のナチス体制下のドイツ。主人公である少年・ヴェルナーは、父を密告して処刑に追いやった街区指導者のカール・ホフマンを復讐により殺害を狙っていたところ、同年代の少女・エルフリーデに止められる。その翌日、エルフリーデより伝えられた廃工場に入ると、レオンハルトと名乗る少年が彼を出迎える。レオンハルトとエルフリーデは、自由を奪うナチス体制に反抗する「エーデルヴァイス海賊団」だと名乗り、ヴェルナーを勧誘する―――。
「ナチス体制下のドイツで、"自由"を求めて抗った少年少女たちの青春物語。」
前作と同様、戦争(という大人の事情)に立ち向かう少年少女たちの物語。大人に気付かれないよう、違法となったワンダーフォーゲル(徒歩旅行)を敢行し、線路を辿って歩き進むシーン(途中、列車が走って来たり、ヒトラー・ユーゲントに追いかけられたり。)で想起されるのは、やはりキングの名作『スタンド・バイ・ミー』。
ナチスが行っている悪行を見過ごすことの出来ないヴェルナーたち。その悪行に気付いていながらも、見て見ぬふりをする大人たち。「"歌われなかった海賊"(=ナチスの悪行に抗ったヴェルナーたち)と、"歌わなかった住民"(=そんなヴェルナーたちの姿から目を背けた大人たち)」。
しかし、そんな大人たちを一概に"悪"と切り捨てることも出来ない。「子供だからこそ出来ること、大人だからこそ出来ないこと」、「"歌いたくても歌えない"大人たち」。抱える事情や価値観は十人十色で、自分の物差しだけでは決して測れない。全てを理解することなど到底出来ないが、「理解出来ないもの」と切り捨てずに知ろうとする姿勢は、決して忘れてはならない。
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田舎町で少年少女がナチスにあらがった物語
時代は違えど同じようなことは世界でも身近でも起きているのではないだろうか
ぼくは何か出来ていただろうか
歌わなかった住民より
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面白い……と言っていいかわからないけど、面白かった。
『同志少女』とはまた違った登場人物達の立場や生い立ちから、戦争や自分自身、他人の在り方等本質は何なのか考えさせられる。
何が正解かどうかはその時代背景や世情によっても移り変わっていくし、抗う気持ちも流される気持ちも理解はできるので、自分自身は一体どうなのかと問われたような気がした。
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待望の第二作目ということで、楽しみにしていました。多様性の捉え方、無関心であることの罪…など、現代的な社会問題を、大戦中のドイツを舞台に展開し、深掘りしているような印象を持ちました。
前作に比べ、作者からのメッセージをより強く感じるので、読者に問いかけてくる場面、台詞も多かったです。
ドイツの政治的な知識をある程度持っていた方が楽しめる作品かも…
少年たちの熱い想い、冒険、レールの上での緊張感は「スタンドバイミー」を思わせるドキドキを味わえて面白かったです。
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本当の信念、虚偽、生きる目的、誇り、等色々考えさせられました。
目を背けていた事実と向き合い戦う人々の行動、心理描写が良かったです。希望って小さなものだろうと紡がれるんだと知りました。
この方の作品を読むのは今回が初めてですが、他の作品も読んでみたいです!
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なんとなく前作と表紙の絵といい内容のテーマといい被るところがありました。前作もそうでしたが、今のウクライナやロシア、イスラエルやハマスの戦争と重なって読んでいて辛くなりますが、こんな時代だからこそ目を背けずに読んだら良いのかもしれません。
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同志少女よ、敵を撃てが非常に面白かったので手に取りました。
今度はソ連の相手国ドイツで少年少女が半ナチスとして戦うお話。
今回もノンフィクションのようなリアリティ溢れる素晴らしい作品でした。
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エーデルヴァイス海賊団、ヒトラー・ユーゲント、初めて知ることばかり。
学校で何を学んできたのか。
この時代の歴史について、『数々の残虐行為と殺されたその責任は、ヒトラーとナチ一党のみにあったのではなく、市民の間にも存在した。』しっかり学ばなければならない。
最後に、
『どうしてみんな、自分の都合で分かろうとするんだろうね。』いろんな場面でもそう。
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ナチス統制下のドイツを、反ナチの少年少女という立場から捉えた一冊。
ナチスによるユダヤ人大虐殺について、知らないことが多すぎる。自分の勉強不足を反省。
『夜と霧』を読んでからの本書はおすすめ。
極限の状況でも、自分は人は人であることを保てるのだろうか。自分の死が迫っていてもなお、他人のために働くことができるのか。
人間のとても脆い部分と、強靭な面を、このナチスによる強制収容所という場所を通じて眺めることができた。
もうしばらくこのトピックについて思考を広げていきたいので、参考文献をあたってみようかなと思ってる。
いずれにしても、本書は貴重な一冊。
少年少女にもぜひ読んでほしい。
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先日読んだ逢坂さんの二冊目です。
時代背景は同じですが こちらはドイツ側のお話でした。
同志少女と同世代の主人公達。
この時代に育った人たちは同じように
自分を見失ったり 引き込まれたりと
大変だったと思います。
その時代にこうして自分を見つめる。
そのことは 政府 軍に逆らう事であっても。
ラストには まさかの展開で 泣けました。
きっとこういう事 あったと思います。
本当に戦争って酷いです。
もう 二度と と 願っていますが
現在終わらない戦いがある。
どうにかして欲しいです。
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舞台は第二次世界大戦の終戦間近のドイツのとある地域。
そこで行われる、少年少女達の反ナチ運動?を描いた作品です。
戦争という国の事業に巻き込まれる国民達。
戦争前と戦争後に態度を変える大人たちや、正しさとは、生き抜くとはどういうことなのかを考えさせられる作品だったなと思いました。
まず、この話を戦時中のドイツだけの話としてだけでは捉えられない、現在の話でもあるということを感じたことは伝えたいなと思いました。
ドイツといえば、真っ先に思い当たるのは、おそらくユダヤ人への迫害だとは思いますが、それだけじゃなかったというのは本作を通して改めて知りました。
例えば、反体制への取締、同性愛者への迫害、反戦争や思想の取締。
こういうことすべてが戦争という大義名分を掲げられて行われているという点があげられるわけですが、戦争が終わってもう80年以上も経つというのに、いまだにLGBTの婚姻の自由やその扱いは議論されているし、思想だって多数の他人と違えば仲間はずれにされる、共産主義を掲げれば、あの人大丈夫?という目で見られたりもするわけです。
結局、戦争というものが行われていようが行われてなかろうが、今の人々の考え方は変わらないんだろうなと思いました。
そして、これはドイツだけの話でもないということだなと。読んでいたら、日本だってこうだったと聞いていたし、最近読んだ『楽園の犬』もまさにこういうことやってやんと思いました。
そして、反戦、反体制を掲げた人は、戦争に負けて戦後優遇されるのか?といえばそうでもないという点や、何なら陰ながらであろうとも今の自分の国がおかしいと思って戦った人は時間とともに埋もれてしまう。
確かに、私も戦争で特攻して犠牲になったという話は聞いても、反戦活動で弾圧された人やその活動によって命を救ったという話は聞いたことがあまりないなと思いました。
私の知識でも、日本史で学習した時は日露戦争くらいかな?太平洋戦争でも、出てくる名前は極わずかですし、まして、その活動で救われたという話はほぼ聞いたことがないなと。
そして、言い方は悪いですが、戦前と戦後にうまく生き延びた人々が今の私達の基礎となっていてるという事実が浮かび上がってくるというお話。
実は、戦前は表向きには帝国主義でお国のためという思想で、戦わない人、反戦活動をする人を非国民と罵っていたにも関わらず、戦争に負けてコロッと生き方や考え方を変えた人々が私達のルーツなんだということだなと改めて思う作品だなと思いました。
ただ、じゃあ私が当時その世界に生きていて、反戦活動なんかできたかと思えば、そうではない。
結局、平穏に生きたいとだけを願い、周りに同調していたんだろうなと容易に想像がつきます。
でも、せめて、その時、勇敢に自分を曲げずに生きていた人達がいたからこそ今があるんだと思うと、称えたい。
そんな気持ちになる作品でした。
そんなことを書きましたが、ところどころ本作品は場面がとぶイメージで正直読みづらい面もありましたが、感想としては、上記のようなものになりました。
今もエーデルヴァイスは密かに咲いているかもしれませんね。
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前作「同志少女よ、敵を撃て」が凄く心に残る内容だったこともあり、期待して新作を手にした。
前作同様、すごく読みやすい!内容的には前作よりはやや劣るかな。期待しすぎたというのもあるかもしれないが、それでも読み応えのある本。
ナチ体制下のドイツにおける、少年少女たちの物語。戦時中の青春ともでも言えよう。
この本はフィクションだが、そのような歴史、事実があったことは知っておくべきだし、忘れてはならないとも感じた。特に今のこの時代においては。繰り返すべきではない。