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朝鮮戦争が勃発した1950年の実況中継を見ているようでした
2021/07/03 12:39
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:じへも - この投稿者のレビュー一覧を見る
1950年に勃発した朝鮮戦争。トルーマン米大統領や毛沢東らの歴史上の人物から市井の人びとまで、世界各地の人たちが戦争をどのように感じて行動したかを捉え、著者ならではの冷戦についての解釈を導き出しています。
この本は、元々、英語で執筆、出版された著者の自書「Cold War Crucible: The Korean Conflict and the Postwar World」を基にして、著者が日本語に翻訳、加筆した本です。
私自身、歴史家や国際関係の学者ではないので、冷戦の解釈がどれぐらい独自性を帯びているのか、専門家の評価は残念ながら分かりません。
また、「ネタばれ」になるので、どのような「まとめ」が導かれているのかも、あえて書きません。
ただ、一読者として新鮮なのは、単眼でなく複眼で、時には虫の目、時には鳥の目の俯瞰した視点で1950年前後の状況を描写している点です。
米国だけでなく、日本、イギリス、韓国、中国など世界10の国と地域の図書館を訪ね歩き、1950年前後の新聞、手紙、電報、回顧録など丹念に探し出した資料がうまく生かされ、世界各地の当時の状況が目に浮かぶようです。
朝鮮戦争が勃発した直後のソウルとアメリカの人たちの反応は興味深いものがありました。
日本語、英語に加えて、中国語などの語学力を駆使した調査はどことなく旅人の視点が感じられます。いや、旅人というよりも、国境を軽々と超越するジャーナリストの視点かもしれません。
米国史、日本史、中国史などと国単位の歴史ではなく、1950年の前後という短期間ですが、世界各地の実況中継を見ているようでした。
「ネタばれ」にはならず、「著者による解題ーあとがきに代えて」から興味深い記述があったので抜き書きしておきます。
『「アンラーニング」すること、つまり、学んだことを一度捨て去るというプロセスー言い換えれば、私たちが一般に常識と考えるような事柄にもいちいち疑念を投げかけていくというプロセスー』は歴史理解だけにとどまらず、自分が信じたい情報やニュースがあふれる世の中で重いひと言かもしれません。
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