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アメリカ連邦準備制度理事会の第14代議長を2006年から2014年まで務めたベン・バーナンキによる米国の金融政策に関する本です。世界最大の経済であるアメリカ中央銀行総裁によるリーマン危機時の対応や、20世紀の歴代議長に対する評価、現議長であるパウエルによる金融政策の舵取りに関して記されており、とても興味深く読みました。
連邦準備銀行(FRB)のReserveとは、市中銀行がFRBに保有する預金を指し、FRBの負債に計上されます。資産としては、米国債、MBS(GSE-Government Sponsored Enterprises, Fannie Mae, Freddie Mac, Ginnie Mae e.g.の発行するMBSで政府保証付き)や、市中銀行への貸付金などが計上されます。
市中銀行は、Federal Funds Rate (FFレート)を利率として、資金を融通し合います。FRBは、市中銀行の保有するReserveを増減させることにより、その利率を調整してFFレートに影響を及ぼします。保有する米国債などを市場で売却することにより、市中銀行のReserveは減少します(米国債購入者がFRBに支払いを行うため)、Reserveの総額が減ることにより市場流動性が減少し、FFレートが上昇する仕組みです。Reserveを増やして、市場に流動性を供給することによりFFレートを下向させるときには、米国債などをFRBが購入し、その代金をReserveを通じて支払います。この一連の取引は、FRBのOpen Market Deskが、primary dealerと執行します。
一般に、FRBの金融政策が、失業率をターゲットにしている状態をDoves, インフレ抑制に動く場合を、Hawksと呼びます。
こうした一般的な中央銀行の金融政策を踏まえ、バーナンキは21世紀における先進国の中央銀行の政策が何を中心に据えるべきかを述べています。一般にも読みやすくかみ砕いて説明をしており、彼の明晰さが伝わってきます。