紙の本
リアル社会と地続きのネット性犯罪の闇
2024/03/27 11:43
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
にわかには信じ難いが、韓国で実際にあった事件を追跡した大学生2人「追跡団火花」による記録。
ネット上では、このような卑劣な犯罪が行われているとは。本書を読んでも分かるが、まだまだ警察もメディアも現実社会が着いていけない部分が大きいのだろう。
匿名性の高いメッセージアプリのチャットルーム「n番部屋」で脅迫された女性や子どもが性的搾取されていた事件を、記者志望の2人が戸惑いながら、苦しくなりながら追っていくさまがリアルに報告されている。
翻訳物のためか、自分にデジタルにうといせいか、若干の読みにくさはあるが、韓国だけの問題ではなく、高度にネットの闇に埋もれたこの犯罪も基を正せば、私たちのジェンダー規範とつながっていることが、随所に読み取れて興味深かった。
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*被害者に「なぜ?」と問うことは加害に他ならない。私たちは加害者に「なぜそんなことができるのか」と問うべきだ。
*それより、こんな質問をして欲しい。いまの被害者の日常はどうか、政府の被害者保護対策はしっかりなされているのか、必要な立法は何か、裁判所の軽すぎる判決はどうすれば変えられるのか。
*遭うべくして被害に遭う被害者はいない。いくら説明してもこのことを理解できない人がいる。理解できないなら(たとえ嫌でも)ただ暗記してほしい。
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n番部屋事件について、日本ではどれだけの人が知っているのだろうか。本書を読みながら、私はそう考えていた。事件が社会に知られた時期がコロナ第一波の時期だったのも相まって、日本でのこの事件の認知度はかなり低いのではないかと思う。隣国にもかかわらず。
本書を読んで、韓国と日本の男女規範の考え方が似ているようで違う部分も多いなと感じた。ほかの文献などを調べたわけではないので本当のところがどうなのかはわからないが、日本以上に男女差別が酷い国なのだと思った。そんな国で、大学生の女性たった二人が立ち上がったことがすごい。調査活動内容もすごい。韓国に生きる女性達の救いだと思った。
n番部屋事件に類似した事件は、今もどこかの国で起きているのだろう。それほどサイバー性犯罪はどこにでも発生可能なものだ。けれど、その犯罪から目を逸らさず、根絶を諦めないことこそが大事なのだと感じた。
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悪いのは加害者
時代やテクノロジーはどんどん進むが
法や人々の認識は同じスピードでは進まない
でも、だからこそ!
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東洋経済2024217掲載 評者:渡部沙織(東京大学医科学研究所公共政策研究分野特任研究員、遺伝学的市民権、公費医療、他)
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韓国のデジタル性犯罪に、女子大生ふたりが挑み、その実態を明らかにする実録のおはなし。女子大生ふたりが明らかにしてゆき、警察と国を動かす。犯罪そのものもしんどいし、体験記のような側面もあり、精神がやられていく2人の話もしんどくて、つい目を背けたくなる。
本としては、評価分かれるかも。事件そのものと、韓国フェミニズムを女性視点からひろく捉えた読み物としては良いと思う。
ただ、純粋に事件そのものをルポとして読みたい向きには合わない。エッセイとルポとが混ざった独特の感じ。個人的には読み物として好む形式なんだけど、好みは分かれると思う。
ただこれ、そうなるのも事情があって、先に書いたとおりこの女子大生ふたりも「被害者」なんだよね。病んでるし。
だからその2人がどうなったのか、その後どう過ごすのか、という周辺の話、連絡をくれた被害者のケアに悩む話含めて、このようなエッセイ含む形式のほうがいいかなとぼくは思う。
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挫折しそうになったが、読み切った。ショートカットとノーメイクにそんな深い意味があろうとは全然知らなかった。恋人がいてもええやんか。
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普通の、今まで自分が読んできた事件のルポルタージュや本とは一線を画す内容だと思う。
まず、被害内容がほぼ書かれていない。被害者がどのような目にあったかの具体的内容が書かれていないことがとても印象深かった。追跡団火花が被害者の事を考え、事件をただの消費物としないように最大限配慮している事が伝わってきた。センセーショナルな書き方は避け、あくまでも追跡団火花が行ってきたことを視点として書いている。なので、前知識がないと少し事件を把握するのが難しいところがあるかもしれないし、n番部屋事件を知りたいという欲求には少し物足りなさを感じるところがあるかもしれない。でもそれはこの事件をセンセーショナルに消費したい欲望がそうさせているような気がしてきてそれを自省しながら読んだ。
とくに本の中盤。追跡団火花の2人の事件とは一見関係ない日常についての文章が、かなりページを割いて掲載されている。n番部屋についてが知りたかったのでこの部分は必要なのか?いるのか?と思いながら読んでいたが、徐々にそれが必要であるかを理解した。
ともすれば日本よりも厳しい男尊女卑が韓国には溢れている事を知ったし、追跡団火花の2人がどうして追跡団火花として活動するに至ったのかをより深く理解することができた気がする。(何しろ髪をショートヘアにするだけでもかなりの決断を強いられるという衝撃)
韓国の話だけど、まるで日本の話のような気持ちだった。性犯罪に対してのあまりに軽い刑罰、一向に減らない加害者、政治家の無理解、などなど。
それに男性不信になりそうというかちょっとなる。加害者はもちろんだがデジタル性犯罪には傍観者という存在もいて、それがひょっとしたら身近な人かもしれないというのがとても恐ろしく感じた。
後半に今後どのような法整備が必要かなども書いてあって、それはそのまま日本にも当てはまる内容だと思った。日本も韓国のように変わっていってほしいし、そのために微力ながら力を尽くしたいと思わせる1冊だった。
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日本の性的物の取り扱いについてや性犯罪について考えさせられた。
これを読み、n番部屋について初めて知ったが、専門用語などがわかりやすく丁寧にまとめられていて読みやすい印象。
ただ、追跡花火団の生い立ちや結成秘話の掘り下げの方が多いため、n番部屋についてより詳しく知りたいと思って読むにはイマイチかなと感じた。