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現実より面白いものはない。
お母さんの話がもう苦しいような、明るいような、で。
肝の据わった食いしん坊な、偏った自分を受け入れている女性。
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理知的な昔の女優さんだよね
たしか本出してた、という記憶があったので
blogでお薦めする方がいらしたのをきっかけに
買って積んでおいた。
女優さんの回顧録、というには
中身がこゆ過ぎ注意!
何度か午前様になったから。
昭和史であり 映画史でもあり
読み出したら とまらない。
業界の人、社会的地位のある人
それこそ国の首相以上に
多くの人々を観てきた上
子役から女優業をしてこられたのだから
人を見る目と、その批評眼力は凄いのヒトコト。
学業を全うできなかったことを
気にかけておいでだが
今で言うれっきとした『ストリート・スマート』な方かと。
あと、昭和の映画を見る機会があれば
ちょっと試してみようという気にもなった。
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新刊コーナーで見つけて、あれっ同じ表紙で10年以上前に出たはずなのにと思いましたが、増版だったのでしょうか。
この本については苦い思い出があります。
目についた映画関連の本をかたっぱしから集めようと、何年か前までブックオフに毎日通っていた私は、およそ2,000冊に及ぶ映画に関係する書籍を集めましたが、きちんとリストアップして行ったわけでなくメモも取らなかったため、なんとこの本、といっても1976年に朝日新聞社から出た単行本ですが、下巻を3冊も購入するという“うっかり八兵衛”ぶりでした。
それはともかく、俳優の書いた随筆・エッセイというと池部良や沢村貞子のものが絶品だとつとに有名ですが、戦前・戦後にわたる国民的大スターの高峰秀子も、歯に衣着せぬ個性的な屈託のない洞察眼で、俳優生活を回想した本を何冊も書いたことで知られているようです。
日本の敗戦直後の男たちは、ただ放心して闇市を彷徨うばかりだったとか、映画界のパーティーは大嫌いだとか、天皇陛下はいい人だったとか、真の喜劇役者はたいてい孤独で生真面目だとか、女は宝石を身につけたくなったら最悪だとかなど、まあよくもこれだけ言いたいことをと思うほどですが、特に明確な主義主張があるわけではありませんけれど、たいした人間観察と驚嘆せざるを得ない断言に満ちていて感心します。
なかでも私がもっとも気に入ったのは、「納得のいかない勲章などが家の中に舞い込んで来ては始末に困る」といって、紺綬勲章の授与を断ったというエピソードです。
こういう常識的でない反骨精神旺盛な人物こそが、私がもっとも尊敬し愛する人なのですが、それからは、今まで見た明るく美しい実物をそのまま活かした役柄よりも、1960年の木下恵介監督作品『笛吹川』で85歳の老婆を演じた際の老醜の方が、みごとに美しく神々しいとさえ感じられる錯覚となって彼女を神格化させるほどになりました。
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ほとんど学校教育を受けられなかった女史がこれだけの文才を揮えるのは、各界の巨匠と呼ばれる方から様々なことを貪欲に吸収したことと彼女の仕事の合間を縫っての独学によるところが大きいのでしょう。掲載されている写真は、子供から少女へそしてうら若き乙女へと変貌を遂げる姿をしっかりととらえています。その容姿のなんと美しいことか!最近の女優には感じられない美しさが感じられます。
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こんな女優がいたんだ、と驚きました。天才子役から大女優となった、怜悧な女性の苦悩。
この甘えのなさ、私も見習いたい。
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偶然に5歳で映画界に入った著者の複雑な家庭環境を語り、義母との確執との決別を告げた自叙伝である。また、昭和の映画史としても貴重な記録でもある。評論家が語る映画史ではなく、現場での様子が生々しく語られている点に注目する。時代の世相と著者の心中が絶妙に語られている。谷崎潤一郎や梅原龍三郎をはじめ、各界の重鎮逹との交遊から見えてくるものも多い。
著者が低落したと思う日本映画界への応援のエールである。
ここまで身内や自分のことを赤裸々にさらすことは、余程の覚悟がいったことでしょう。脱帽。
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なんだこれは、べらぼうに面白いな!
この面白さはなんなのだろう?書いてある内容をかいつまんで説明しても、この本の魅力はまったく伝わらないだろう。むむむ。
そこんとこの考察はおいておいて、備忘メモ。
上巻は、
・養母しげのおいたち
・秀子のおいたち
・子役デビューのきっかけ
・人気子役として、そして一族郎党の稼ぎ頭としての生活
・学校生活への憧れ、無学コンプレックス
・松竹から東宝への移籍
・たくさんの映画人、文化人との交流あれこれ、特に黒澤明
・戦時下の女優業
といったところか。
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高峰秀子の語り口長の文書が深い。幼い時から映画の世界で仕事をし続け、魂を成長させていく様がとてもいい。清々しい。
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掛け値なしの名著。高峰秀子は人生の達人だ。
司馬遼太郎が高峰秀子を「どのような教育を受けたらこのような人間ができるのだろうか」と評したというが、子役でデビューして小学校もろくに行っていない高峰は、学校教育をほとんど受けていない。では、どうしたのか。彼女が自分自身を教育したのだ。本書を読んだ今なら自信をもってそう言える。
自分の意思や力ではどうにもならないことは、決して悩まないし、振り返らない。周囲に対しては期待しないし、求めない。世の自己啓発書に出てきそうなことを、彼女は自己教育で見事に体得し、実践している。養母との関係など並の人間なら投げ出すか、もしくはキレるところ。でも、高峰は至って冷静。自分を客観視しているもう一人の自分がいるかの様だ。
そして、この感覚、どこかで読んだ覚えがあった…美輪明宏の『紫の履歴書』だ。美輪も同じだ。悩まず、振り返らず、期待せず、求めず。この奇妙な一致は何なのだろう。美男子・美少女として子どもの頃から芸の世界に身を置いていると、自分を客観視できる人生の達人になれるのか。それとも、この二人が持って生まれた才覚なのか。
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楠木センセが影響を受けた本と紹介していた著書。5歳から俳優を続け、まともに小学校も行かせてもらえず、仕事に明け暮れた凄まじい半生を描いている。
しかし、丹羽宇一郎の「人は仕事で磨かれる」という著書があるが、まさにその通りで、寝る時間も十分に与えられないほどに、ずっと仕事に取り組み、また、一流の人々と交流を続けたからこそ、このような素晴らしい文章が書けるのだと思った。とても学校に行けなかった人の文章ではない。自分が恥ずかしい。
私はいつも、自分の人生を「おかげ人生」だと思い、今もそう思っている。まず、映画俳優の仕事は画家や彫刻家と違って、一人だけでは絶対にできない。だれかがライトを当ててくれなければ、だれかがカメラをまわしてくれなければ、私がいかに熱演しようとも画面には映らない。そんなことは百も承知だが、それをあえてここに書くのは、私が感傷的なのかもしれないし、お年のせいで涙腺がゆるんできたと言われるかもしれないけれど、人間は一人では生きることも死ぬこともできない哀れな動物だ、と私は思う。
私は中国のことわざにある「昼のために夜がある」という言葉が好きだ。苦労は苦労のためにするのではなく、明日という光明に向かっての下塗りだと思わなければ、とてもじゃないが無数の「恥」をブラブラぶら下げて生きてなどゆけるものではない。
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昭和の名女優の初エッセイは自伝的内容。子役からスター女優。この独自の感性があったからこその活躍だったのだと本書を読んでつくづく思う。
昭和の映画史に欠かすことのできない名女優の一人、高峰秀子。本作が初エッセイでその後多くの作品を残している。
子役からその後もずっと活躍する役者は少ないというのが定説。それを覆す存在の筆頭が本書の高峰秀子だろう。ここ最近再評価されている。本作も別の出版社でも何度か刊行されている。
べらんめえ調のような独自のテンポの語り口が面白い。子役からそのままずっと映画界。学校教育をほぼ受けられず独学のようにこっそり読書。育ての母との葛藤ゆスターではない苦しい生活、台所事情など赤裸々な内容。
女優さんというと単なる表現者かと思っていたが、その前提となる受け身の部分、感性が実は重要であることを本書は教えてくれる。例えば最近で言えば名子役だった芦田愛菜ちゃんの何とも高度な読書歴などインテリなご活躍ぶりは、同様な感性のなせるワザであろうかと思う。
日本映画は好きで当然高峰秀子作品も多く見ているが、本書には良い意味で裏切られる。屈指の表現者として人間高峰秀子の魅力のトリコになりました。
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複雑な家庭環境で裕福とは言えない暮らしだったみたいですが卑屈にならず見栄も張らず、売れても天狗にならず、周囲から学びながら一生懸命生きてこられた様子がいきいきと語られていました。娘たちにもこんなたくましい人生を送ってほしいなと思います。たしかに何が彼女をこうさせているのかもっと知りたい。下巻が楽しみ。
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「高峰秀子」のエッセイ『わたしの渡世日記〈上〉〈下〉』を読みました。
第24回日本エッセイスト・クラブ賞受賞作品です。
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〈上〉
昭和を代表する大女優が波瀾万丈の人生を綴った第一級の自伝。
「お前なんか人間じゃない、血塊だ」――養母に投げつけられた身も凍るような言葉。
五歳で子役デビューし、昭和を代表する大女優となった「高峰秀子」には、華やかな銀幕世界の裏で肉親との壮絶な葛藤があった。
函館での誕生から戦時下での撮影まで、邦画全盛期を彩った監督・俳優らの逸話と共に綴られた、文筆家「高峰秀子」の代表作ともいうべき半生記。
日本エッセイスト・クラブ賞受賞作。
〈下〉
戦後を彩る大ヒット映画の数々と共に綴られる女優の偉大なる足跡。
本邦初の総天然色長編映画『カルメン故郷に帰る』、『名もなく貧しく美しく」、『二十四の瞳』、『恍惚の人』……戦後を彩る数々の大ヒット映画の製作裏話と共に、女優「高峰秀子」が綴った半生記。
養母とのしがらみに苦しむ一方で、「谷崎潤一郎」や「梅原龍三郎」らとの交流を成長の糧とし、「松山善三」との結婚で初めて安息を得たことにより、「ひとりぼっちの渡世」に終止符を打つまでを描く。
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昭和を代表する俳優の中で大好きな女優ひとり「高峰秀子」、、、
1975年の5月から1976年の5月まで「週刊朝日」に連載された自伝的エッセイを上下二巻にまとめた作品です。
〈上〉
■雪ふる町
■旅のはじまり
■猿まわしの猿
■土びんのふた
■つながったタクワン
■父・東海林太郎
■母三人・父三人
■ふたつの別れ
■お尻がやぶれた
■鎌倉山の女王
■一匹の虫
■八十三歳の光源氏
■神サマのいたずら
■紺のセーラー服
■血染めのブロマイド
■鬼千匹
■ピエロの素顔
■兄は馬賊だった
■にくい奴
■ふたりの私
■馬
■青年・黒澤明
■恋ごころ
■鶴の化身
■神風特別攻撃隊
■同期の桜
〈下〉
■黄色いアメリカ人
■赤いスタジオ
■十人の旗
■ハワイの花
■お荷物
■キッチリ山の吉五郎
■鯛の目玉
■「空・寂」
■ウソ泣き
■ダイヤモンド
■色と欲
■木下恵介との出会い
■カルメン故郷に帰る
■遁送曲
■勲章
■続・勲章
■愛の人
■パリへ
■ZOO
■夕陽のパリ
■再び戦場へ
■二十四の瞳
■ラスト・ダンス
■イジワルジイサン
■バズーカお佐和
■骨と皮
■解説 沢木耕太郎
「高峰秀子」って、大物女優として華々しい生活をしていたんだろうなぁ… というステレオタイプ的な先入観があったのですが、本書を読んで、その考えが180度覆りました。
その理由は幾つかあり���すが、具体的には、
複雑な家庭環境から叔母「志げ」の養女として育てられ、
叔母「志げ」の強く見当違いで狂気的とも言える愛情(愛憎?)に葛藤し、戸惑いながら、
経済的に困窮していたことから5歳から家族の大黒柱として俳優として働かざるを得ず、
養父養母だけでなく、実父や義母、兄弟等、親族の生活まで金銭的に援助し、
俳優業が忙しく学校(義務教育含め)にはほとんど通うことができず、
等々、現代では考えられない人生を歩んでいるんですよねぇ… 本当に驚きましたね。
そして、もう次に驚いたのは、文章の巧みさ、、、
義務教育をほとんど受けることができず、俳優業に専念していた人が書いたとは思えない… ユーモアを交えながら、自分のことを冷めた目で冷静に描いているところや、他者を的確に描いているところ等、エッセイストとしても十分な素養を備えていると感じました。
苦しいことや、悲しいことがあっても、人生を肯定しつつ、力強く前向きに生きていく姿に共感しましたね。
著名人との交流も幅広く、、、
映画界では、有名女優「田中絹代」との交流、映画監督「黒澤明」との淡い恋、私の好きな日本映画界の巨匠「小津安二郎」、「木下恵介」、「成瀬巳喜男」との交流等々… を興味深く読ませてもらったし、
映画界を飛び越えた幅広い人脈として、作家「谷崎潤一郎」や画家「梅原龍三郎」、歌手「東海林太郎」との交流等々… これには驚きました。
「高峰秀子」って、元々好きな俳優さんなのですが、本書を読んで、一層、強い魅力を感じるようになりましたね。
愉しく読めるエッセイ… というか、素晴らしい自伝でした。
写真が盛りだくさん使ってあるのも嬉しかったですね。
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5歳で子役に抜擢されて以降、晩年まで女優として生き抜いた高峰秀子さんが50歳ごろに書いた、自叙伝。2011年に亡くなったそうで、リアルタイムで彼女の演技を観た記憶がないが、もう少し上の世代にはなじみがある女優のようだ。数えきれないほどの映画に出演していたので、子どもの頃からの写真がたくさん載せてあって興味深い。
華やかな世界に身を置いているが故に、家族・親戚や知り合いからも経済的に頼られ何人も養わなければならず、自分は学校にも行く暇もなく働きづめだったと書いてある。そして人生で一番輝く時期であるはずの10代後半に太平洋戦争があり、青春時代を楽しむことができなかった。普通の日本人とは全く違う人生を送ってきたようだ。文章から、比較的楽観的でおっとりした性格であることがわかる。学問が無いのがコンプレックスということが書いてあるが、時世をきちんと把握していて、知的な人柄である。
動画で彼女の出演した映画を観てみようと思う。
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「わたしの渡世日記(上)」高峰秀子著、文春文庫、1998.03.10
368p ¥700 C0195 (2024.02.24読了)(2008.06.22購入)(2006.02.01/4刷)
【目次】
文庫版まえがき
雪ふる町
旅のはじまり
猿まわしの猿
土びんのふた
つながったタクワン
父・東海林太郎
母三人・父三人
ふたつの別れ
お尻がやぶれた
鎌倉山の女王
一匹の虫
八十三歳の光源氏
神サマのいたずら
紺のセーラー服
血染めのブロマイド
鬼千匹
ピエロの素顔
兄は馬賊だった
にくい奴
ふたりの私
馬
青年・黒澤明
恋ごころ
鶴の化身
神風特別攻撃隊
同期の桜
☆関連図書(既読)
「旅は道づれガンダーラ」高峰秀子・松山善三著、中公文庫、1992.10.10
「旅は道づれ アロハ・ハワイ」高峰秀子・松山善三著、中公文庫、1993.06.10
「旅は道づれツタンカーメン」高峰秀子・松山善三著、中公文庫、1994.01.10
「私の梅原龍三郎」高峰秀子著、文春文庫、1997.10.10
(「BOOK」データベースより)
女優・高峰秀子は、いかにして生まれたか―複雑な家庭環境、義母との確執、映画デビュー、養父・東海林太郎との別れ、青年・黒沢明との初恋など、波瀾の半生を常に明るく前向きに生きた著者が、ユーモアあふれる筆で綴った、日本エッセイスト・クラブ賞受賞の傑作自叙エッセイ。映画スチール写真、ブロマイドなども多数掲載。