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ありそうで、なさそうで、でもやっぱりあるなという妙なリアリティと、ゆるーいところに時折投入される鋭いまなざしにドキリとさせられる
平凡な毎日だけど小さな変化は必ずあってそこに焦点を当てる、地味だけど何かしら知りえた満足感があって面白味が増幅される
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【架空の県を舞台にした連作小説集】黒蟹は日本のどこにでもある、地味な県だ。そこで紡がれる人々の営みを、土地を描くことに定評のある著者が巧みに浮かび上がらせる。
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絲山秋子さんの新刊は外せない
「黒蟹県」と同じ微妙な地味県に住んでいるひとりとして「だよなぁ~あるある」だ
架空の固有名詞がどれもこれも素敵!
例の「神」もなかなかなはたらきをする
平凡で普遍な人びとをこんなにも愛おしい描く著者
カバーデザインが中途半端に地味なのがざんねん
文庫化に期待
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黒蟹県という架空の都市を舞台にした、そこに住む人々の短編集。
なんとなく想像はできつつもつまるところ絵を結ばないが雰囲気だけは想像できる世界。架空と現実とがいい具合に混ざっているので、全く存在しないことであってもすんなりと読めてしまう。話の終わりに用意された黒蟹辞典でそれが架空が実際かを判断して、架空であれば頷き実際であって驚く。いかに自分がよくわからいものでも想像で補完して読み進めているのだと実感する。
神という立ち位置はその地に存在し生活をしながら、そこで実際に生きる人とは指先で触れ合うような関わりをする。神にとっては薄い紙越しに見る世界なのかもしれない。だから関わって仕舞えばそれは誰かの見た夢になるのだろう。
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日本のどこにでもあるような地味な県、「黒蟹県」、って、もうその名前を聞いただけでなにかありそな気配むんむん。
そんなどこにでもあるような地方都市では、これまたどこにでもあるような市同士のあれこれもあるわけで。
ビジネス拠点となっている紫苑市と、かつての中心地だった灯籠寺市、このライバル関係がすでに面白い。
ことあるごとに張り合う市民たちの郷土愛にニヤリとしたりクスっとしたり。
そこに加わる他の町村民もそれぞれに愛が深い。そんななかでまじめに働く人たちの、そして時折降臨してくる半知半能の神の、その大きな事件もない、特別なこともない、何気ない毎日を描いた連作短編集。
いや、この何も起きない、何も変わらない日々が、ものすごく尊いのだよ。
だれにでも自分だけの人生があって、それは「神」もまたそうで。何も変わらない毎日でも、それでも知らなかったことを知ったり、知らなかった人と知り合ったり、小さな変化はやっぱりあるわけで。その小さなカケラを丁寧に紡いでいったとても心地よい小説なのだ。一章ごとに挟まれる用語解説「黒蟹辞典」も面白すぎる!
土地の設定から架空の用語まで、これ本当は日本のどこかにあるんじゃないかって思えてくるくらいリアル。
それにしても仙人だの神だのを描かせたら絲山さんは天下一品だな、いやほんと。愛おしい。
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楽しみにしていた単行本、読了しました。ひとつひとつのお話は文學界で読んできたけれど、こうしてまとまっているとひとつの物語になっているようで、最後はちょっとさみしくなってしまいました。と言ってるそばからまたその、隣にいる人が神かもしれないのに⁉️さみしさの原因は狐のほうかな。うん。
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実在と架空が入り混じる黒蟹県と神の話
p198娘が生まれてからおふくろが『ばあちゃん』になって。俺はおふくろの息子をそのときやめたのかもしんないな
それなら男が子を持つのも悪くないな
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文字通り黒蟹県に降り立ち、そこで暮らす神様と市井の人々の物語。
架空の商品や出来事満載の中、実在するものが折々挟み込まれるのが紛らわしくて幻惑される。神が一体何をしたかったのかはよくわからないが、少なくとも歴史は変わらないだろう。更には、黒蟹県と近隣自治体との関係性も、そこに暮らす人々の人生も、おそらく何も変わらないだろう。誰も神とは知らないひとりの男がある時黒蟹県にいたというだけのことなのだ。
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いかにフィクションといえども、こんなに普通とおかしみの境目が感じられないってすごい。
自分の身の回りにもこんなフィクションがたくさん転がっているんじゃないか。
もしそうならなんだかすごく愉快だなと思う。
神 がいい。
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地味でビミョーな架空の県「黒蟹県」を舞台に、そこを訪れ、そこに暮らし、そこで働く人々のありそうで無さそうな、無さそうでありそうな日々のあれこれをユーモアたっぷりに描く連作短編集。
巻頭の地図や短編ごとの末尾の「黒蟹辞典」など、架空の県の設定をよくぞここまでという造り込みにリアリティが増す。
どこの田舎にもある地元ならではの軋轢や人間関係のあれこれ、そこに余所者として関わってくるどこか人間味のある“神”の姿がいい。
さりげなく深い人生哲学が描かれている「赤い髪の男」が一番好き。
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黒蟹県という架空の県に暮らす人々を描いた連作短編。
描かれているのはごく普通の暮らしなので、わざわざ架空の県にしなくてもと思いましたが、そういえば絲山さんは『まっとうな人生』で富山を描いたり、元々はどちらかと言えば土着型。やはり、それでは色々差支えがあって書き難さがあるために、わざわざ地図やロゴまで描き、黒蟹県を創作した様です。章間に置かれた「黒蟹辞典」もおしゃれです。
時々奇妙な神が姿を見せます。何せ全知全能ならぬ半知半能。人々の上に「君臨する」わけでなく、いつの間にか隣にひっそりと立っているのです。
住民のごく普通の生活、あるあるを描きながら、そこにスルり神様が割り込んでくる感じです。ただし全編を通しての何かテーマがあるという感じはしません。
中々面白いのですが、感想は書きにくい。
2023年中に読み終えられそうだったのですが、最後の一章が年越しとなりました。年末のドタバタにまぎれ、上手く読めていない気がするので、再読したいですね。
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黒蟹県の人々と神の視点から、黒蟹県を描写する。
物語自体は全く普遍的だが、黒蟹県人の地域的な視点、ひいては個人視点と、それらを俯瞰した神の視点により、普遍的な風景から重要なことが浮かび上がってくる。
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架空の県と不思議な地名と名前の人々。
各章の終わりに、黒蟹辞典なるものが添えられていて、これまた興味深く、紐解いてみたくなる。
著者の頭の中には、この辞書がぎっしり詰まって整然とした別世界が織りなしているんだろうな。
そして、装丁がなんともユニーク。
県のロゴとして最高だ!!
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神から眺めた『人間というもの』が鋭くユーモアたっぷりに描かれている。物語に登場する黒蟹県や市町村は架空だが、ふと身近な場所に思えてならない。牧歌的でありつつも説得力のある筆力に唸る。
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蟹に反応してしまった。架空の町を舞台にしたオムニバス短編集。手探りで進む内容が面白くて次は何かと手が止まらない。楽しかった。