紙の本
言葉の力を感じさせる、意外な組み合わせ
2024/04/26 20:48
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
大詩人の谷川俊太郎さんと、ブレイディーみかこさんの往復書簡を一冊に。
それぞれ別の表現方法で、言葉の力を感じさせてくれるお二人だが、意外な取り合わせ。興味深く読み、改めて言葉の力を感じた。
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特に前半、谷川さんが誰と話しているのかわからなくて不安になったけど、現場の話くらいからこの世に戻ってきてくれて良かった。文章はもちろんお二人ともとても面白いです。
ブレイディみかこさんのお話は、他者とのやりとりを具体的に想像できるので、自分ならどう考えるのか、どう答えるのかと考えながら読めました。
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もともとブレイディみかこさんの文章が好きだし、谷川俊太郎さんも小学生の頃にガツンとやられて以来のファン。さらに奥村門土さんはご家族勢ぞろいの原画展で似顔絵を描く姿も見ている私にとって本書は夢のようなメンバー。往復書簡もだけど毛づくろいする猫だとか、草原にポツンといる老人の後ろ姿だとか水中の生き物だとか‥挿絵がほんとうに素晴らしい。
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内容もとても面白いのだけど、谷川俊太郎さんの詩が読めたのが何よりも良かった。
「この世とあの世のあわいにあるその世」というものがどこか知っている、と誰もが思うのではないかと感じた。
「ここではない世界で、行ったこともないのになぜか知っている場所」とか、なんとなく懐かしいものが詰まっている。
消費の現代の我々には幽霊になる体力はない、という部分に笑いながら深く頷き、イギリスの若者の「人類は少しずつ体を失っていく途上にあるのだから」というトランスヒューマニズムのポジティブさににやりとしたり。世の中どうなるのでしょうね。
人は、どうなるのでしょうね。
トランスヒューマニズム、その世の生き物なのかな、人の形を必要としないことは私にもとても便利で素敵なことのように感じる。「体がなければ病気も怪我も老いもない。人間が体を持っていることは人間に苦しみしかもたらさない」。
でも、「ぬくもりや体感に対する郷愁をどうするのか、必要なくなるのか」、とプレイディさんも仰っていた。どうやって生まれてどうやって育つんだろう。面白い。
プレイディさんのお母様の予期せぬ遺し物もかわいらしい悪戯好きの少女のようで、私も是非そうなりたい、と強く拳を握ったのでした。
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【目次】
邪気の「あるとない」(ブレイディみかこ)
萎れた花束(谷川俊太郎)
Flowers in the Dustbin(ブレイディみかこ)
その世(谷川俊太郎)
青空(ブレイディみかこ)
座標(谷川俊太郎)
詩とビスケット(ブレイディみかこ)
現場(谷川俊太郎)
淫らな未来(ブレイディみかこ)
気楽な現場(谷川俊太郎)
秋には幽霊がよく似合う(ブレイディみかこ)
幽霊とお化け(谷川俊太郎)
ダンスも孤独もない世界(ブレイディみかこ)
父母の書棚から(谷川俊太郎)
謎の散りばめ方(ブレイディみかこ)
笑いと臍の緒(谷川俊太郎)
ウィーンと奈良(ブレイディみかこ)
Brief Encounter(谷川俊太郎)
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本のつくりが丁寧。
それぞれの手紙の章の最後に描かれている挿絵がよい
ブレディみかこさんの文章がいつもながらうまい。
あと、本の中ではひとつの話題でしかないが、トランスヒューマンという考え方について衝撃をうけた。
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読む時期によって心に残る章が変わるだろうなと思う。谷川さんの最後の詩が良い。
ブレイディさんと谷川さん、それぞれがそれぞれの足場を崩さずにマイペースに言葉を綴っているのが良い。だからお二人に、温度差や、全然相手への返事になってへんやんけ、みたいに感じる部分もあったけど、そこが良かった。
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お二人の往復書簡は永遠に続けて欲しかった。ブレイディみかこさんは、やっぱりオモロイ。谷川さんへの返しがほんま秀逸。彼女の本は全部読みたい。谷川さんは余裕かまして、ブレイディみかこさんへの返信にあまりこだわりを感じへんかったな。でも谷川さんの詩は全部声に出して読んだ。ええわぁ。
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「その世」という言葉に惹かれ書店で手に取った
谷川俊太郎さん、ブレイディみかこさん
お二人とも大好きだし
往復書簡であるがそれにこだわりなく
手紙を綴っているのが とてもいいなあ
返信のようでもっと自由で
それでいて相手への敬意が伝わってくる
とてもいいなあ
出会わず、それぞれの暮らしを背景に重ねた
詩と文による言葉の逢瀬
とある
はさまれた絵がグッとくる
≪ 時々は あわいの世界を 訪ねたい ≫
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思っていたより
話題が堅く壮大になってゆく
思っていたより
ブレイディさんが気軽に話す(書く)
そして話したいことに一気に深くシフトする感じ
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図書館で二人の名前が同じ本に書かれていることに気付き手に取る。
中は文通だった。
人の文通を見ること自体初めて(?)で、少し悪い気もするけどニヤけてしまうのは仕方ない。
それに、谷川さんとブレディさんという、生ける偉人というキャスティング。
お二人の文章が知的で、綺麗で、どうしても丁寧に読みたくなる。
お手紙の返事の最後は、毎回 詩の谷川さん。スラスラ書いてるような詩で、手紙の返事の延長だった。
お二人の本や話されてる姿を見たくなりました。
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谷川俊太郎さん×ブレディみかさんの対談ではなく、文通という形式が密やかな感じでよかったです。
2人の話題は時に絡まり、時にそれぞれの方向へと向かいながら、自由に進んで行きます。
どちらも好きな作家さんなのに、同じ日本語なのに、こんなにも違う二人の紡ぎ出す言葉を噛み締めました。
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「静かだが、沈黙に与していない」…日々過ごしていることは命の果てに近づくことでもある。寿命が尽きたその後は、「この世」に自分はいなくなる。「あの世」に行きつくその前に、”That”でも”This”でもなく、「その世」がある。とどまることのできない、つかの間の時間。視覚も触覚も使えない。聴覚だけが働く。音楽が大気に包まれて統治している。…半世紀と少し生きてきた「散文の人」が問いかけると、一世紀近く生きてる「詩人」が詩を送る。ウィーンのヒトラーの話を持ち掛けると、「他人だらけ」と応答し、二人は書簡を終える。
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ページの余白や行間が多くとってあるため文量は少なく、かつ、非常に読みやすい日本語なので、サッと読める。
ブレイディさんが書いた手紙を谷川さんが受け取り、谷川さんは受け取った手紙の一部からとあるテーマへと話題が広がる返信&詩を送る。
それを受け取ってブレイディさんがまた別の話題へと展開する手紙を書く、といったやりとりで、往復書簡だけれども、明確に返事しあってないところが興味深い。
詩というものは私にはあいまいで、メッセージを伝えたいのか、情景を描いているのか、それとも気持ちの吐露なのか、よくわからない(谷川俊太郎さんは好き。PEANUTSの翻訳が最高)。
にも関わらず、この書籍を読んでいると、なぜだか心が落ち着く。
数ページ読むだけでも、心が落ち着く。
家事、双子育児、ささやかな仕事でバタバタしている私にとって、日々この数ページを読むことで、私の心を落ち着かせてくれたことに感謝。
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図書館で借りたので手元にはないが、きっといつかまた読みたくなる時がくるんだろうなと思える一冊だった。
ブレイディみかこさん、谷川俊太郎さんお二人の言葉や詩は私の心持ちを穏やかにしてくれた。谷川さんの詩のあとに描かれている奥村門土くんの絵があたたかくてこの本をより一層素敵なものにしている。
谷川さんがところどころでご自身が人生の終わりが近い旨のお話をされるので少し寂しい。