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連載記事集とは買ってから知ったが、内容は題名の通りだったので良かった。
難を言えば、トーンが暗い。終始悲観的に思えるところかな。
けど、面白かった。続きを読みたいです。
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「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」、「歴史は繰り返される」など歴史を学ぶことの重要性を問う言葉や文面は多く存在する。私も学生時代は歴史の授業が好きで、大学は法学専攻だったが一年次は西洋史や宗教史などの授業が1番面白かったのを記憶している。歴史といえば山川出版の教科書に慣れ親しみ、用語集などは凡そ試験では過去大学入試出題頻度の最も低いレベルまで暗記したりしていた。歴史を学ぶなら日本史は自国の歴史を深く知るという点では馴染みやすく日本のよく知る地理と相まって、聖地巡礼とまではいかないが、旅行する際の一つの楽しみにできたりする。だが私は世界史が大好きだった。地球という広大な土地で地球の裏側で発生した出来事が海を越え大陸を吹き抜ける風の様に日本まで届いてくる。日本だけではない。世界中で発生している出来事がまるでドミノ倒しの様に駆け抜け互いに影響し合っている関係の深さを改めて知ったりもした。沢山の覇者が生まれ国を統一し、また外部から敵に襲撃され滅んでいく。国の危機に際しては決死の外交が行われ起死回生や裏切りなど、どの歴史もドラマチックでワクワクするものばかりだった。前述の言葉が示す様にどの歴史的な出来事を見ても何処となく場所を変え時代を変えて同じ様な出来事が繰り返されている様にも見える。人は何度でも同じ過ちを繰り返すし、当の歴史を作った本人が生きている間ならまだしも、子孫の代には、それが忘れさられてしまうのか、また同じ様な出来事が起こる。逆を言えば、歴史の過ちを研究し原因と再発防止策が採れれば同じ轍を踏まない様に進む事ができるはずだ。実際には世界中が同じ動きをするわけでもなく、統治者は代わる代わる変化を続けるから、無理な事ではあるのだが。だが人間は洞窟の壁にも石にも発明された紙にも何かを残そうとしてきた。そうして歴史が記録され続けてきたのは、後から生まれてくる人々に同じ過ちを繰り返さない様にとの警鐘を鳴らす想いが含まれていたのかもしれない。勿論、太平洋戦争を記録した戦史業書や古くは日本書紀、古事記など歪められた記録や権威を表す事が目的に含まれる事も多々ある。
本書は筆者が週刊新潮に掲載してきたコラムを纏めたものであるが、現代に起こっている出来事を歴史に当て嵌め準える事で前述した様な「歴史が繰り返されてる」事を伝え、そして将来がどうなるか予測するものだ。とは言え毎日書き溜めた様なものだから、大袈裟に語るというよりは、「そう言えばこんな事が過去にもあったな」といった感じで、平易で解りやすい言葉で伝えてくれる(内容は勿論、よくこんな事に紐づくなと感心しきり)。帯に「未来へのヒントは過去にある」が示す通り、膨大な歴史の中から、まさにどハマりの出来事を見つけ出して示してくれる点で非常に楽しく読める本である。
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かつての山本夏彦「夏彦の写真コラム」そして藤原正彦「管見妄語」の後を継ぐ「週刊新潮」連載「夏裘冬扇」(2019年5月2日号〜)のセレクション。なるほど、新潮はそうきたか、といまさらながら知る。
*「週刊新潮」のコラムの他に、「文藝春秋」巻頭随筆(司馬遼太郎→阿川弘之→いまは塩野七生なの?)と「ちくま」巻頭随筆(堀田善衛→なだいなだ→橋本治→)の人選あたりに世相や日本の知識層の雰囲気が反映されていると思って注目してしまう。
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一個一個は面白く、知らない話も多かったのだが週刊誌のゴシップ記事のような雰囲気が合わなかった。ちゃかして終わりというか。こちらも真面目に読む気が失せてしまったのがもったいないなと思った。
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I 天皇制はどう変わるのか――人間的な、余りにも人間的な
決められる天皇と決められない天皇/天皇はヴィオラになれるか/8月15日の菊花に寄せる幻想/ジミーとマークとメリーとジュリー/人間的な、余りにも人間的な皇族には、寛容の心を!/この人を見よ! 北白川宮能久親王の巻/中岡艮一の伝説――原敬暗殺100年に寄せて/大陸の男系、太平洋の女系/中川宮の伝説――山縣有朋没後100年に寄せて
II 宰相と政治は何をめざすのか――令和おじさんから暗殺者まで
令和おじさんの国/剣豪の新選組と重度身障者の新選組/弁護士とデマゴーグ/永遠の海軍青年将校、中曽根康弘/“坂の上の雲”から“坂の下の霧”へ/下剋上の精神――梶山静六と菅義偉/岸田文武の“正姿勢”/宏池会における正常化バイアスの伝統について/河野三代における“異常化バイアス”の伝統について/誰が源頼政になれようか――自民党永続与党論/参議院選挙を前に緑風会を懐かしむ/増上寺幻想――首相・将軍・大権現/“反共の帝国”の終わり/それからの暗殺者――血盟団事件異聞
III 国民生活をどう守るのか――下意上達にブラヴォーを
死者の名前は誰のもの?/社会保障と鬼/天叢雲剣よ、洪水を生き延びる道を教えよ/令和の苛政はデジタル庁から始まる?/捺印の赤い色は血判の色/柳田國男はベーシック・インカムがお好き?/ニッポンの電波を覆う黒い霧/火力発電は引退しても、原子力発電は永久に不滅です!/“正社員の帝国”の興亡/「貧乏人は麦を食え」と朝鮮戦争/優雅で感傷的な日本の蹴鞠/下意上達にブラヴォーを!/少子化すると“蛮族”が来る!――ローマ帝国衰亡史/高度成長期の日本の子供を誰が育てていたのか?
IV 災厄とどう向き合うか――コロナ禍と日本的心性
“蔓延元年”のオリンピック/鼻紙と専制国家/皆人の心の限りつくしても頼み少なや布切れ二枚/コロナ禍は人間不要の鬨ときの声/割に合わないことをやれ/学童集団疎開は観光事業支援国策だった?/「初め半年や一年の間は……」と山本五十六は言ったけれど/ワクチン恐怖症の戦後日本的起源/オリンピックとコロネット/マラリア・コレラ・マッカーサー/我が国の政治はなぜかくも幼稚になったか/2021年ワクチンの旅/平安貴族はわれらの同時代人
V 時代の申し子は何を遺したか――戦後への墓碑銘
市民はつらいよ――高島忠夫追悼/下山事件と金田正一/梅宮辰夫と第三次世界大戦/『東村山音頭』の戦後文化史的意義について/田中邦衛という怨歌――安部公房と倉本聰の間で/なぐさまってはいけません――瀬戸内寂聴さんを偲ぶ/ゼロ戦的な、余りにゼロ戦的な神田沙也加追悼/ゴジラとしての石原慎太郎/最後の“満洲的”日本人――宝田明追悼/日米同盟と大井川/ゴダール・トリュフォー・慎太郎/銀河鉄道・シベリア鉄道・パパーハ/“キメラ”としての坂本龍一
VI 極東の「持たざる国」の処し方は――「いつか来た道」の幻影
名づけのナショナリズム/この国のかたちは対馬海峡で決まる/地球祖国主義という妖怪と地球資本主義という亡霊/2020年代大予言!/インド人よ、来たれ!/アメリカの壁/合従か、連衡か、それが問題だ!/帝国の���び方――アメリカ合衆国の巻/超近代国家のパンとサーカス――中国共産党100年に寄せて/勝つ前に勝った証を立てようとした山田耕筰の話/日本・ハワイ安全保障条約の幻/“帝国海軍最低標準”と“必要最小限度の自衛力”/蒋介石の大予言?――政治が7分で軍事が3分/スイス沈没?
VII 歴史はやはり繰り返すのか――嗚呼、ロシア・ウクライナ戦争
キューバ危機・ウクライナ危機・台湾危機/クラシック名曲入門 ロシア・ウクライナの巻/“タタールのくびき”再び?/世界の周縁で「英米本位を排す」と叫ぶもの/コサック・マッチョ・大統領/北の幻――北樺太石油利権と日ソ大同盟/逆回転するロシア・ソビエト史/悪魔主義・世の終わり・Z氏/バフムトとは俺のことかと長沙言い
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音楽から政治思想まで守備範囲の広い片山杜秀氏が「あの」週刊新潮に「夏裘冬扇」というコラムに書き続けたものをまとめた新書です。
氏の音楽評論はあちこちで見かけておりましたが、本業の政治思想で「未完のファシズム」を拝読し、プロの学者の凄みを感じさせてもらいました。ビジネスの世界で生業を立ててきましたが、本当にわかっている人は、どんな難しいことでも優しく説明できるという特徴があります。この本は、その見本のようなもので、よくよく読めば背後に膨大な知識量があるのに、実に平易に説明されています。さらに読者層に合わせて脇道の話題も取り込んで、過去の歴史を軽妙な文体で書かれているので、歴史認識の薄い若者たちに有益な本ではないかと思います。冒頭の天皇制度の論考は、憲法の成立事情を含めて明治の先人たちの視野の広さには、改めて尊敬の念がわきます。
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週刊新潮の名物コラム「火裘冬扇」から。
筆者の知識力には驚かされる。斬新な視点は通常のテレビや新聞報道とは一線を画する。ちょっと右寄りな気もするが。