あるイスラエル人元兵士がたどり着いた非戦の考え
2024/02/14 10:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
現在は日本人と結婚し、秩父に暮らしているイスラエル軍元兵士で家具職人のネフセタイさん。自らのイスラエルで生まれ育った体験からたどり着いた考えについて語った一冊。イスラエルの歴史、現状、そして日本のいままでよく分かる。
投稿元:
レビューを見る
イスラエル軍元兵士として空軍のパイロット候補生にもなったことのあるダニーさんが語る非戦論。
詳細や内容は本書を読んでほしいと思いますので省略しますが、太平洋戦争を兵隊として務めたことのない人がほとんどで、何なら自分の祖母世代がギリギリ空襲を体験したくらいの今の世代にとって、徴兵制があった日本、原爆が投下された唯一の国日本、たくさんの人々が戦争で犠牲になったことは記録や学校で習うことはあっても、イマイチ実感が湧かないもの。
私もそんな1人です。
語り手であるダニーさんは、イスラエル出身で、ユダヤ人。
ナチスにより数え切れないほどの多くユダヤ人がユダヤ人であるという理由だけで収監され、大量虐殺を受けた民族です。
そんな歴史をもつ彼らが、今や、お茶の間のニュースで聞かない日はないであろうガザ地区に武力行使をし、多くのパレスチナ人を殺害している。自分たちの国を守るという名目のために。
そして、イスラエルとパレスチナの話だけの話ではないということ。
実は日本も同じような道を辿る可能性も十分にあるということです。
日本も、世界で唯一、核爆弾を戦争に使われて、核により死者を出した国です。
そんな国で、核の脅威を知っているはずなのに、今や防衛のために核を持つべきだと主張する人もいる。
防衛のためならば、敵の基地を先制攻撃することも可能ということまで議論しています。
理由は、いつかロシアや中国あるいは北朝鮮がアメリカと戦争状態になり、日本が戦争の舞台になるかもしれないから防衛しないといけないため?です。
しかし、本当にそんなことが必要なのか?武器も必要なのか?
その武器で相手国のなんの関係もない一般人が、老若男女や子供が死ぬかもしれないというのに。
本書はこれから日本で起きることなのかもしれない話として読んでいただきたいなと思います。
さて、そんな本書で私が思ったのは、ダニー氏の言うことももっともだなと思うのですが、私も幼い頃には勧善懲悪の仮面ライダーや地球の平和を守るために戦う戦隊モノを見てきたせいか、もし、他所の国が日本に武力侵攻してきたら、自分の家族を守るために何ができるだろうか、侵攻を食い止め追い返すために戦うことを選択しそうだなと思いました。
私の愛国心なんか、サッカーやオリンピックの時などに日本代表を応援する程度のものですが、それでも自分が住んできた土地を武力で他所の国の人に奪われるのは耐えられないと思います。
そして、私の愛する人たちが奪われたら、当然報復する、もしくは相手にも同じ気持ちを味あわせたいなと思うだろうなと。
そう思うせいか、論理的ではなく感情的に私自身は100%賛同はできないなと読んでいて思うところです。
しかし、私自身も選挙にいくものの、今の日本の政治には期待していない、誰が政権でも良いし、自分の生活によほど何かが起こらない限り、このままでも良いという無関心なところがあります。
でも、本当に私達が平和を望むのであれば、平和を実現する国のリーダーを育てあげないといけないなというのは本当にその通りで、それができるのは選挙権をもつ一般市民である我々だということはしっかりと認識しないとなと思いました。
そして、今の私ができることは、もっと政治に関心をもって政治の話を忌憚なく話し合うこと。
戦争を始めるのは国ですが、戦争のない世界を実現するためには、その国民たちの相手の国に対する想像力と持っている選挙権の行使なのかもしれません。
投稿元:
レビューを見る
理想的で、論理的な平和論の本。普段、私があーでもないこーでもないと言葉にできずにいることを、ストレートに語ってくれた。スッキリ。著者は「想像力」の大切さを説くが、まずこの本を読むこと自体が想像力を鍛えてくれるように思う。イスラエル・ガザ情勢が未だ落ち着かない今こそ、日本の在り方を問う上でも、一読の価値がある。良書。
投稿元:
レビューを見る
ルビは無いが平易な言葉で分かりやすく、歴史の真実を著者の実体験をベースに書いているので、是非小中学生にもお勧めしたい。
何と言ってもイスラエルと言う国は戦前戦中、そして今の日本とよく似ている事か。
日本が中国を侵略し、満州国を建国し、満蒙開団・・・ソックリである。
「罪深い教育」戦後の日本では1953年の池田・ロバートソン会談を拠り所にそれが行われている。
そして「ゼロ戦はやと」「宇宙戦艦ヤマト」「機動戦士ガンダム」「超時空要塞マクロス」・・・・最近では「鬼滅の刃」と近未来の有権者から暴力とその最たる物である戦争への批判力を奪うための、学校教育からサブカルチャー、玩具に至るまでを利用した、策動は、巧妙かつ執拗に続けられている。
これは日本を使い捨ての砲台として次の戦争に利用しようとするアメリカと日本の戦争推進勢力の仕業である。
本書は殆ど共感できる内容だが、あと少し足りないと思うのが、このアメリカの問題。
私には日本もイスラエルもアメリカの世界支配戦略の道具に過ぎない様に見える。
イスラエルはアメリカの中東支店、日本は東アジア支店。
世界人口1%未満の超富裕層に主導された世界支配戦略=戦争推進を終わらせないとイスラエル人もパレスチナ人も日本人もアメリカ人も・・・平和と自由を得られない。
繰り返しますが、本書は是非若い世代にこそ読んで欲しい。
投稿元:
レビューを見る
武力で争いは止められない、復讐は復讐を呼ぶとその通りのことを言われているが、身近に犠牲者が出ている著者の言葉は重い。また、自分も過去は愛国心の名のもと正義と感じていたと認めている点がすごい。
同朋から裏切り者と言われても自分の信念に、則り覚悟を持って行動しているところに共感を覚える。
投稿元:
レビューを見る
著者はイスラエル出身で、現在は埼玉県秩父で家具や木工品を製作しながら、平和運動に取り組んでいる。本書は著者のイスラエル時代の経験を振り返りつつ、軍事力・暴力による支配を肯定する人々の心情がどのように作られるのか、なぜイスラエルの多数派が「力による平和」「抑止」という発想から抜け出せないかが平易な言葉で綴られていく。「人を殺す機械」に文化はない、という指摘が日本刀の制作者たちの前でも語られていたという場面がスリリング。
投稿元:
レビューを見る
#イスラエル軍元兵士が語る非戦論
#ダニー・ネフセタイ
#集英社新書
#読了
教育は大事だ。平和を守るために必要な戦争もある、必要な武力もあると教育することもできてしまうのだ。公教育だけでなく、個人個人が能動的に情報を得て、考え、行動できたらいいなあ。
投稿元:
レビューを見る
イスラエルを作るもの
極めて強烈な「強烈な被害者意識」と、神に選ばれたという「選民意識」(p. 34)。
=私は善であって彼らは悪。「国の半分を与えたのに、彼らは戦争を選んだ(ロケット弾を飛ばしてくる)」(p. 42)。
=神様から約束されていた土地なのだから、入植は当然
ローマ軍への抵抗として、マサダで集団自決したという史実をもとに「ユダヤ人は、たとえ自殺しても敵に降伏しない」、「国のために死ぬのは素晴らしい」という意識(p. 37)
「爆弾を投下するとき、機体にちょっとゆれを感じるくらい」(p. 82)
軍隊の悪(p. 98)
差別的組織、絶対服従を強いられる
ハンニバル指令→命令であれば軍隊は味方すら守らない
戦闘機の温室効果ガス排出量の多さ
アイヒマン裁判後のイスラエル外務大臣の語り
「わたしたちがされたことが明らかになった今、わたしたちが何をしても、世界の誰一人としてわたしたちを批判したり指図したりする権利はない」(p. 142)
イスラエル政府は追い出したパレスチナ人の家々の残骸を片付け、森や国立公園などにしてしまいました。それを専門に行う「景観・史跡整備委員会」が設置されました(p. 143)。
→ショアと類似。虐殺の記憶すら抹消する
イスラエルにおける「司法制度改革」への大規模デモと可決→「新しい法律などがイスラエル基本法に接触すると最高裁が判断した場合に取り消す権限を最高裁から奪う内容」(p. 162)独裁を可能にするシステム、(国会を通さずに政令を出せるがその発動条件はあいまいな)日本の緊急事態条項と同じ
ヒトラーの後継者、ヘルマン・ゲーリング「もちろん、一般市民は戦争を望んでいない。貧しい農民にとって、戦争から得られる最善の結果といえば、自分の農場に五体満足で戻ることなのだから、わざわざ自分の命を危険にさらしたいと考えるはずがない(中略)しかし、結局、政策を決定するのは国の指導者たちであり(中略)。国民は常に指導者たちの意のままになるものだ。とても単純だ。自分たちが外国から攻撃されていると説明するだけでいい」(p. 186)