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紙の本
失われた30年は企業経営の失敗、政策に問題ありか
2024/03/18 11:26
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投稿者:雑多な本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、日本経済が低迷したまま、「失われた30年」といわれる原因を、政府の経済政策のまずさより、日本企業の経営そのものに問題があり、解決するための方向性を提示したものである。コーポレートガバナンスといい、株主重視、従業員軽視、成長投資の抑制が問題と指摘する。世の中では、大企業の内部留保が増えている問題が取り上げられている。そのことも問題といえるが、配当増額で海外投資家の増と相まって、海外に流出している問題も指摘している。目次を見ると、
序 章 日本企業の経営がおかしい
第1章 漂流の見取り図
第2章 投資の過剰抑制という大きな間違い
第3章 カネは配当へ流れた
第4章 投資抑制と配当重視が生み出す負のサイクル
第5章 従業員主権から漂流した日本企業
第6章 従業員主権経営で成長したキーエンス
第7章 原理の漂流をやめ、大きな投資を
終 章 歌を忘れたカナリヤ
あとがき
参考文献 となっている。
以上のように展開される。最初に、大企業の2001年から2021年にかけて配当額が増え、設備投資額が横ばいの事実を突きつける。2021年に配当額が設備投資額を上回る。従業員を後回し、現場では上から押さえつけが当然となっていったのであろう。設備投資額が横ばいということは、現状維持が基本になっていると思われる。これでは企業が成長するはずがないし、日本経済が成長することもないだろう。バブル崩壊、リーマンショックがあり、経営者が慎重になるのは当然であるが、それが続いている不思議な状況がある。経営の原理を理解せず、実行しなかった問題が指摘される。著者が漂流と表現することが明らかになる。配当を増やし、内部留保を増やし、設備投資を抑制し、人件費をカットすれば企業そのものは後ろ向きになることは間違いない。本書では、大企業と中小企業を分けて分析し、中小企業は従業員重視、配当抑制の傾向が残っているので、大企業の問題ということをクリアにしている。配当増等の要求をアメリカやアメリカ企業が要求していることも取り上げるが、それを日本政府が受けてしまい、政策に反映されている問題も指摘すべきだろう。積極的な設備投資を行うと従業員の育成にプラスになる面も取り上げる。なぜ、日本が成長しないといわれるほど低く、世界から取り残されているかを明示してくれる。それでも、期待できる面を新型コロナ蔓延時に、不十分なあるいは誤った政策にもかかわらず、住民が適切な対応をとり、世界的に死者が少なかったことを引き合いにして指摘する。一読してほしい本である。
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