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西尾潤『マルチの子』徳間文庫。
西尾潤の小説を読むのは、第2回大藪春彦新人賞受賞作の『愚か者の身分』に次いで2作目。第4回細谷正允賞受賞作。
マルチ商法という沼に嵌まり込んでいく若者たちを描いたサスペンス。『愚か者の身分』と似たような作品で、『愚か者の身分』と同様に小説としての面白さを感じることは無い。
結末は最初から見えている。悪いことに見えている結末以上のことも起きないのだ。数々の賞を受賞している作家とは思えないプロットに、著者の実体験を元にするのであれば、ノンフィクションの方が面白かったのではなかろうかと思う。
主人公の鹿水真璃子はバイト先の掲示板で見付けた『磁力と健康セミナー』の貼り紙を切っ掛けにマルチ商法に嵌まり込んでいく。
なかなか儲けることが出来ない真璃子は仲間と共に次々と新たなマルチ商法に手を出し、借金だけが増えていく。やがて、仮想通貨取引に手を出した真璃子たちは大きな詐欺に引っ掛かる。
本体価格950円
★★★
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マルチにはまった人の大変な話なのか?と思いきや読んでいるとマルチやる人はこんな思考回路からやるのねって妙に納得したり…
一体感や高揚感、認められたい欲求が強い人がはまりやすいのかな。
そこには熱い師弟関係があったり、信頼関係があったりする。
けど、やはり借金までして自分を大きく見せたいと思うのはおかしい。
でも、主人公がダメな人だとは思えなかった。
だからか読み終わりとても不思議な物語だった感覚。
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こてこての大阪弁で、テンポよく一気に読めました。
帯に書いてあるように、なるほど人が何故マルチのはまるのかわかったような気がします。
何度も、もうそこら辺でやめとき!って思いながら読みました。
面白かったです。
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バイト先の掲示板で見つけた奇妙な貼り紙「磁力と健康セミナー・無料開催」。それは地獄への扉だった―壮絶な実体験をもとに、マルチ商法にはまった女性の“乱高下人生”をリアルに描いたノンストップサスペンス!(e-honより)
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マルチ商法がどんな手法で洗脳されていくのか。みたいなことが分かっていく小説かと思いきや、リアルな実体験をもとにしているからなのか、思ったほど、大変なことにならない感じでエンタメ性にかける感じがしました。主人公がおった痛手があまり感じられないままに、別のビットコインの詐欺にあって追い詰められて。あれ?ネットワークビジネスに関しては大したことないのかな?と思ってしまいました。
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一度だけ、「マルチ商法」のイベントに行ったことがある。人々が褒め称えあい、励まし合い、「これからも頑張るぞー」と高揚しあっていて、とても温かな集まりであり、ステキな繋がりに思えた。ただ、その人々を繋げているのが"商品の売買"であることに、妙な違和感を私は感じた。
その経験があって、本書を読もうと思った。
小説という形ではあるが、著者さんが「マルチにハマった実体験」から描いたとあって、私の中で漠然としていた「マルチ商法の危うさ」というものに、ますますのリアリティをもたらす読後となった。
人は誰でも、他の人々に「必要だ」と認められたい、感謝されたい、などという"承認欲求"を抱いているモノ。
「マルチ商法」なるものは、そこに巧妙に入り込み、マニュアル化して、組織化、システム化していて、人がマルチにハマっていくカラクリがよく分かった。
主人公は、家族や周りの人々に「認められる自分」「感謝される自分」になって「家族や皆と幸せな生活を送りたい」と思っていただけだ。
そんな主人公が「マルチの世界」で翻弄され、お金持ちになるどころか、借金まみれに堕ちていく。息苦しいほどに痛々しい。
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マルチにハマり堕ち続ける主人公。傍目にはうまくいってる風に見えつつ、いつのまにか借金が膨らんでいる。妙に生々しいのは著者もマルチにハマった過去があるらしい。なるほど。投資と借金を履き違えてはいけない。
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なぜ、マルチ商法に騙されるのだろうと思っていたけれど、そこにいると不思議は無くなってしまうのかもしれない。
ほんの些細なきっかけからハマってしまうと、そこから抜け出せない。
著者の実体験をもとにしているようなので、割とリアルなのかもしれないが、本当にこんなふうなのだろうか。
不思議と、怖さみたいなものは感じなかった。むしろ、会社(と呼んで良いのか?)として見る分には、凄く良い。
人間関係も、そりゃ色々あるけれど、上司部下や同僚とのやり取りを見ていると、結構理想なんじゃないだろうかと思えてしまう。
だからこそ、そこから抜け出せない。
そういう意味で言うと、怖さがあるんだよなぁ。
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題名から気になっていたので、土日で集中して、読了。
マルチの借金をマルチで返そうとしてしまう。しかも、次のマルチももうかると踏んでしまう。客観的に見ると、(そんなアホな)と思うけど、本人からすると、すがる思いと、今までの自信で、沼にはまってしまうんだろうな。
エピローグで、著者が、マルチにハマってしまう人の特徴として、
1.現状に満足していない人
2.勉強熱心な人
3.自分に自信のない人
が挙げられていた。
いやー、分かる。
スピとも関係する話なんやろなとも思う。
自分の軸をしっかりもち、基盤を確立するのって何よりも大事。
そして、信頼のできる人(旧友とか家族とか)やいつもの自分を知っている人に、話せたり、相談できる環境があるか。
となると、がんばってネットワークビジネスをしているあの子は収入がどれぐらいあるのだろう。
どっちにしろ、人と積極的にコミュニケーションをとるのが好きでは無い自分ははまらないなって思った。
マルチで悲しむ友達や家族が出てきませんように。
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承認欲求とは、なんと面倒な欲求なのだろう。自分の居場所が欲しくて頑張って、仲間を守りたくて頑張って、褒めて欲しくて頑張って…その行為だけをみたら素晴らしいものなのにマルチという世界に踏み込んでしまった為に、蟻地獄にはまる。自転車操業でカバーできたから、今度も上手くいくのでは無いかと思ってしまう。そして、家族や本当に大切な人をも傷つけることになる。
本当にトップにいる人だけは上手くいくのかもしれない。でも、心理という1番大切にするところを巧みについてくるこのビジネスには、やはり近付かないのが賢明だし、小説で読んでいる位の距離が良いのだろう。
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マルチにハマる過程が主人公の気持ちの動きと共に描かれていた。
他人に認められたいという心の隙間に入り込み、いつの間にか抜け出せなくなっていく姿にぞっとした。
マルチは狡猾な人間が意図して弱い人を騙すというイメージだったが、マルチの中で上にのぼり詰めた側こそ1番にその場にしがみついていて、人としての弱さが現れていた。
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youtuber「新宿109 kenzo」にはまり、
なぜマルチ勧誘に騙される人がいるのか興味を持ったため読了
作者の実体験+αとのこと
なるほど、
騙す人も大多数は元勧誘された人で同じ穴の狢
幹部でも借金してまで地位維持のため借金を繰り返さなければならない
あとがきには、マルチに嵌りやすい3か条を記載している
まぁ誰もが当てはまる書き方
占い・詐欺手法ですね
この話をいつまでも愚かだ・滑稽だと感じれる人でありたい
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マルチにのめり込んでしまうことの怖さを知る一冊。
主人公は自分がマルチにハマっていることにも気が付かず、家族に認められたい、周りから認められたいという承認欲求も相まってマルチの沼にのめり込んでいく。認められる快感を求めて次から次へと手を出してしまう様は、読んでいてもこの子大丈夫かな?と心配になった。
マルチについて詳しくは知らなかったので、よくわからないけど怖いと思ってる人はぜひ一度手に取ってみてほしい。
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物語がマルチと出会うところからではなく、すでにある程度経験も積んだ状態から始まっており、かなりディープな内容になっていると感じました。
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サクサク読めました。小説としての起承転結は予想通りというか、まぁそうなるよねって感じです。ただ、マルチにハマる人の心理状態や取り囲む環境の変化の描写がリアルでそこは読んでて興味深かったです。こうやって人は堕ちていくんだなぁと勉強になりました。我が子にも大学入る前に読ませたいなと思いました…。