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1990年代(平成)から2020年代(令和)にかけて日本全体がどう変わったか、また、47都道府県それぞれがどう変わったかを共通項目で分析する。
まず、日本全体では、①76年、アメリカが発表した漁業専管水域を12カイリから200カイリに拡大したことによる北洋漁業の衰退、②「鉄の町」、「造船の町」、「産炭地の町」の衰退③ほぼ全県で起きた地方百貨店、商店街の衰退など、負のトレンドが印象に残った。
都道府県ごとの分析はベーシックな地理歴史、人工変化に加え教科書記述の変化、地方百貨店の興亡、進学校の実績、民放テレビ局でキー局の番組がどれだけ見られたか、地元の大企業の売上高ランキングの推移などの共通項目で構成されている。
それらの中から自分にとって興味深かったものを幾つか列挙しておく。
①平成の大合併で新潟県では112の自治体が30にまで減った。
②健康のための減塩運動に県民が素直に従った長野県では、脳血管疾患の死亡率が向上した。
③四大公害病のひとつ、四日市ぜんそくで悪名をなした石油コンビナートは、今や幻想的な夜景の整地になり、疫病神から観光資源への大変貌を遂げた。
④可住地面積が最下位は奈良県(854平方キロ)
⑤和歌山県の人口減少率は西日本一、対照的に沖縄県の人口増加率は全国2位(1位は東京都)
⑥東京、大阪などの6大都市に次ぐ規模として「札仙広福岡」が近隣の都市に与える影響がこの約30年間で大きくなった。(ストロー現象)
⑦岡山県は学生服の生産量日本一。4大メーカーのうち3社が立地。児島湾の干拓、綿織物工業の発展が背景にあり、特に盛んだった足袋づくりの厚手縫合技術が学生服生産に移行
⑧徳島県阿南市は世界で初めて青色LED(発光ダイオード)を実用化した日亜化学工業の本社があり、キャッチフレーズが「光のまち阿南」
⑨熊本市は阿蘇山からの伏流水に恵まれ、全国の大都市では唯一の例となる水道水の水源が全て地下水。周辺には豊富な水を求め、半導体工場が立地。
全体を通して、写真、地図、イラストなど、分かりやすくするための配慮がなく、解説はあるものの、知識やデータを定型的に並べただけの味気なさが残った。また、地方百貨店の興亡、民放テレビ局のキー局カバー状況、進学校の実績については、地域ごとに記述しても、読者はほとんど関心がわかないのではないと思った。地方百貨店の興亡については、過去から記述しているが、現在の状況から入り、過去はこうだったと表す方が、わかりやすかったのではないかとも感じた。
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病院の生協で購入。各県のデパートの動向が面白いと感じた。あと、鹿児島県のさつまいも一位が茨城県に脅かされているとか。
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なんでこういう地理本って、定期的に読みたくなるんだろう。好きなんだよなあ〜。面白い。
公式の紹介から、どんな本か引用すると
『80~90年代に習った「日本の姿」と現代の「日本の姿」は全然違う!』をコンセプトに、『この30年で、静かに激変している日本を県別に細かく解説する47都道府県本』である。
日本一を誇っていた産業が衰退した県、逆に生産量日本一を実現した県。地域を代表する企業がなくなった県、新たに企業が立地した県。歴史の教科書に載っていた事項がなくなった県、新たに記述された県。新たに世界的な観光地が生まれた県。新幹線や空港が新たに開通して経済活動が変わった県。
などなど、知識のアップデートに!
——個人的に驚いたこと、印象に残ったこと——
・五所川原立佞武多。ねぶたの山車は縮小していたが、市民が偶然見つけた明治時代の山車設計図や写真から80年ぶりに巨大な立佞武多が復元。
・茨城はさつまいもで鹿児島抜く。茨城は干し芋、鹿児島は焼酎。
・漁獲量1位が焼津港→銚子港へ。でもイワシが多く金額は少ない。焼津はマグロが多い。
・「生類憐れみの令」は教科書でお笑いネタみたいに扱われていたけれど、最近の教科書では称賛されている。野犬がいなくなり衛生環境が上がったこと、生命を尊重する価値観などが理由。
・山梨のぶどうは、デラウェア→巨峰→シャインマスカットへ移り変わる。デラウェア減ったよな、高くなって雑魚感なくなってる。
・静岡の面積 7777㎢ これもっと有名でいいよな。
・仁徳天皇陵は大仙古墳に。仁徳天皇じゃない説が出てきたため。
・下松市で新幹線の道路輸送が見える。
・あまおうの名前の由来は「赤い」「丸い」「大きい」「うまい」の頭文字。甘い、美味しいは入ってない。
・2023年に数え直したら、日本の島の数が倍になった。6854→14125。そんなんアリか!?
・鹿児島のお茶の生産が静岡抜いた年ある。