投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
読んでいて登場人物たちの策略に嫌悪感がしてくるが、考えてみれば現実的な小説だと思う。
織木が唯一、真面目な青年として最後まで描かれていたのは、読者として救いだった。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
ユートピア思想の具現化を追い求めて結成された「飢餓同盟」。
排他主義・権威主義がはびこる廃れた温泉町に革命の機運を起こすべく奔走するが、徐々に手段が目的と化し、自らも政治・経済システムに取り付かれた狂人となり果て、同盟が瓦解していく模様を綴った作品。
支配の重壁に押しつぶされようとしている人々が、立ち上がりその壁を突き崩そうと試みる。
例えその試みが儚く敗れ去ったとしても、彼らの飛ばした小さな火花の中に、私たちの社会のより良い可能性を見つけることができるのではと感じました。
私はこの作品を絶望ではなく希望の教訓であると信じたい。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
普段、形而上的なタッチの多い安部作品ではシュールさが強いが、精神性や狂気の観点では通底する著者のテーマだろう。世界観は違うが「石の眼」をパワーアップさせた感じの日常にある変質。内容においては、結びの一行を言いたかったのだろう。現実に潜む、奇妙な物語。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
隙間ない権力を打倒しようと文字通りあがき苦しむ男たち。全体的にどんよりと息苦しい霧が舞うような花園の町は、これからもあがく人間を踏みつぶし肥やしにし、しかし大きくもならずに存在していくように思う。変えられない場所の陰鬱さ。しかしどこか滑稽で、それがさらに歪みを感じさせる。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
(1972.12.20読了)(1972.11.18購入)
(「BOOK」データベースより)
眠った魚のように山あいに沈む町花園。この雪にとざされた小地方都市で、疎外されたよそ者たちは、革命のための秘密結社“飢餓同盟”のもとに団結し、権力への夢を地熱発電の開発に託すが、彼らの計画は町長やボスたちにすっかり横取りされてしまう。それ自体一つの巨大な病棟のような町で、渦巻き、もろくも崩壊していった彼らの野望を追いながら滑稽なまでの生の狂気を描く。
☆関連図書(既読)
「第四間氷期」安部公房著、新潮文庫、1970.11.10
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
描写が生き生きしていてすごくよかった。舞台やキャラクター設定、SF要素なども、安部さんらしさ満載。雪にまどろむ寂れた町、診療所を与えられない医者、の組み合わせがカフカの「城」を思い出させる。
しかし、花井さんは骨の髄までしゃぶられっぱなしだったなぁ。同盟が空中分解くらいで済むのかなーと思ったら、予想以上にひどい結末だった。うーん。主人公二人の身の上が自分と重なってしまって、結構堪えた。
どんな思想があっても、どんな努力をしても、現実は壁だらけでどう行っても回り道だらけで、結局目的地にはたどり着かないまま歩かされ続けるんだよなぁ。
春が来て、窪地に落ちた小鳥の死骸が一瞬見せた可能性が切ない。
面白かったと言えば面白かったのだけど、どうもふに落ちないのは、花井の指導者としての采配がイマイチだったからかも。もっと頑張れるでしょ!まあ完璧だったらあの結末にはならないし、結局私の求めてるものにはならないんだろうけど。
というわけで、ちょっと残念な気持ちで星みっつ。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
現実の中にいきなりでてくる非現実。だけれども、非現実なのに、なぜか違和感を感じさせずに、リアリティをもつのは、安部公房ならでは。だから好きで読んでしまうんですよね。飢餓同盟も同じで、不思議な世界に誘われたいなら、ぜひとも読むべき1冊です。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
八方塞がりの現実のなかであがきもがいているわたしたちすべてのうちに、花井や矢根や森といった人間が現に住み着いていることを、わたしたちははっきりと知るべきだろう。(p268)
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
ユートピアを目指すため革命を企てる男、花井の指導の下
町からどこか外れた人々がなんとなく集まってできた飢餓同盟
町の権力争いに巻き込まれてどんどん崩壊していく
秘密結社による革命という目的をめぐって
戦後の生きることに強烈な執着心を持った村人達がぶつかっていたり
花井がずれてしまった目的のために狂っていき、そのため周りの人たちが離れていく様子が
非現実な世界からとてもリアルな現実を突きつけてくる
最終的に狂ってしまった花井は村社会の発展のための生け贄なのか?
いろいろ考えさせられるのだが、何を考えさせられているのかまだ分からない
地熱についての科学的な記述とか
人間を計器にしてしまう想像力は安部公房ワールド全開で少し難解だった
“ひもちび”とか“ウルドック”なんていうもじりの言葉遊びが面白い。
複雑に絡んだ人間関係や権力関係、よくここまで作れるなぁ。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
【本の内容】
眠った魚のように山あいに沈む町花園。
この雪にとざされた小地方都市で、疎外されたよそ者たちは、革命のための秘密結社“飢餓同盟”のもとに団結し、権力への夢を地熱発電の開発に託すが、彼らの計画は町長やボスたちにすっかり横取りされてしまう。
それ自体一つの巨大な病棟のような町で、渦巻き、もろくも崩壊していった彼らの野望を追いながら滑稽なまでの生の狂気を描く。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
「全集4」収録のものを読了したので、ずるだけど本棚に加えちゃう。
地方政治の駆け引き、一攫千金を狙う地方人の希望と挫折、というあらすじはあるものの、そこは安部公房、卓越した物語設定と構成力、初期段階からすでに特徴のある比喩がちりばめられており、飽きない。
「飢餓同盟」というタイトルも秀逸だなぁ。
文庫で読んだのは大学生の頃だから、かれこれ30年近く昔かぁ(遠い目)。最近になって全集を読む、ということは、若いころ読んだ作品を再読することでもあり、当時読んだときの印象・とらえかたが全然違うんだなぁ、と感慨深い。ちっとは成長したのか俺?
文庫のカバーも現在のものとは違い、公房夫人の真知さんによるイラストで、自分はこの一連のカバーが好きだったなぁ。
それから、最初に読んだ当時は『方舟さくら丸』はまだ発表されていなかったのだが、『さくら丸』を読んだあとに『飢餓同盟』を読むと、この2作品の設定はけっこう似ている気がする。
『さくら丸』は安部公房晩年の作品だが、『飢餓同盟』のシチュエーションがみごとに磨かれていて、さすが、進化し続けるのが文豪なんだな、と再認識。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
「眠った魚のように山あいに沈む町花園。この雪にとざされた小地方都市で、疎外されたよそ者たちは、革命のための秘密結社“飢餓同盟"のもとに団結し、権力への夢を地熱発電の開発に託すが、彼らの計画は町長やボスたちにすっかり横取りされてしまう。それ自体一つの巨大な病棟のような町で、渦巻き、もろくも崩壊していった彼らの野望を追いながら滑稽なまでの生の狂気を描く。」(あらすじより)
全体的にぱっとしない町の欲にまみれた、どろどろとした話。だらだら続く印象。安倍公房にしてはあまりおもしろくないが、人間に薬を飲ませて温泉の地下水脈を探査させ、それを楽譜にたとえて表すといった考えが奇抜で安倍公房らしさを感じる。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
話の筋は置いておくにしても、なかなかに理解が難しい作品だった。結末も救いがない。
本筋とは外れるが、私は著者の日本語の使い方が非常に好きである。個人的には三島由紀夫よりも素晴らしいと思っている。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
閉塞感漂う「花園町」で共産主義的な革命を画策する者たちの哀愁劇を描く。”ひもじい同盟”という極めて貧相な名前から”飢餓同盟”へ名称を変え、地熱発電所を基軸に革命を試みるが・・・。
作品全体に纏わりつくどんよりした暗い雰囲気と、あくの強い個性的な登場人物は安部公房ならではといえよう。ドストエフスキーの『悪霊』がベースにあるらしいが、当時の共産主義を担ぐ者たちに通ずるような、何かに飢えた者同士が至極脆弱な共同意志の下革命を目指すが虚しく瓦解する姿はなんとも滑稽である。
本書で特に秀逸だったのは「患者に飢える」というくだりだ。患者の治療が医者の使命だが、その医者が患者に飢えるとはこれ如何に。本作のパラドックス的側面を巧みに表現した言葉と感じた。作者自身は本作をあまり好きではなかったようだが、安部作品のなかでは比較的分かりやすい物語かと思われる。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
閉鎖された町、革命がテーマですが、読み進めるうちに小さな組織、例えばご近所付き合いとか学校とかに例えると理解しやすいかと思います。
正気の革命なんてものは夢。
だが、そこに魅せられてしまう者がいて、思いが強いと狂気になり、やがてそれは成功か不成功か、人為的なものもあるけど、この本では狂気、狂気、更に狂気。
だけど、所々ギャグコミックのような描写に笑ってしまったりもする、いいエッセンスが加わりあまり苦がない作品だけど、個人的には結構難しかったので、また読み直したいと思います。