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ほかの作品にもよく見られるような、土俗性と人間の過剰なまでの人間らしさが散りばめられている作品。
雪に閉ざされた地方都市や戦後間もないであろう時代といった舞台には、確かに今この場にいる自分との距離を感じてしまう。しかし、われわれが日本人である限りはどこにいようとどんな時代を過ごしていようと同様の構造を周囲に見出していくのだろう。
なんて思った。
装丁がすてき。
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まさに破滅へのゆるゆるとした苦しい道程・・・
真綿で首をしめつけられる感触・・・・
閉鎖感・・・・
空気を殴る・・・・
いきつく先は狂気しかないのか・・・・
ほんと欝だー
どこか滑稽なんじゃなく、全体的に滑稽なのにものすごく重たい。
共産主義・・・・
こういった問題は現代こそもっと見つめなおすべき問題。
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かつては温泉地として栄えた花園町を舞台に、革命をもとめて『飢餓同盟』が結成される。
安部公房の作品としては、10作目くらいに読んだ作品。
『箱男』や『カンガルー・ノート』等の不気味な奇妙さに惹かれる自分としては、そんなに面白い作品ではなかった。
シュールというより現実的で、政治的。
『飢餓同盟』の主たる構成員である花井の、フイゴのような息遣いはリアルに感じられるけれど、安部公房独特の倒錯的でもある不気味さ、実は裏の裏の裏にまで意味がありそうな意味不明さは感じられなかった。
目的と手段の逆転。迷走する男の滑稽さ、その悲しさ。
憎悪とコンプレックスを巻き込んで、革命は暴走していく。
考え方とか、主義とか、そういうものがオブラートに包み込みまくられて描かれているんだろうけど、自分にとってはあんまりぴんとこなかった。
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読んでいて登場人物たちの策略に嫌悪感がしてくるが、考えてみれば現実的な小説だと思う。
織木が唯一、真面目な青年として最後まで描かれていたのは、読者として救いだった。
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ユートピア思想の具現化を追い求めて結成された「飢餓同盟」。
排他主義・権威主義がはびこる廃れた温泉町に革命の機運を起こすべく奔走するが、徐々に手段が目的と化し、自らも政治・経済システムに取り付かれた狂人となり果て、同盟が瓦解していく模様を綴った作品。
支配の重壁に押しつぶされようとしている人々が、立ち上がりその壁を突き崩そうと試みる。
例えその試みが儚く敗れ去ったとしても、彼らの飛ばした小さな火花の中に、私たちの社会のより良い可能性を見つけることができるのではと感じました。
私はこの作品を絶望ではなく希望の教訓であると信じたい。
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普段、形而上的なタッチの多い安部作品ではシュールさが強いが、精神性や狂気の観点では通底する著者のテーマだろう。世界観は違うが「石の眼」をパワーアップさせた感じの日常にある変質。内容においては、結びの一行を言いたかったのだろう。現実に潜む、奇妙な物語。
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隙間ない権力を打倒しようと文字通りあがき苦しむ男たち。全体的にどんよりと息苦しい霧が舞うような花園の町は、これからもあがく人間を踏みつぶし肥やしにし、しかし大きくもならずに存在していくように思う。変えられない場所の陰鬱さ。しかしどこか滑稽で、それがさらに歪みを感じさせる。
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(1972.12.20読了)(1972.11.18購入)
(「BOOK」データベースより)
眠った魚のように山あいに沈む町花園。この雪にとざされた小地方都市で、疎外されたよそ者たちは、革命のための秘密結社“飢餓同盟”のもとに団結し、権力への夢を地熱発電の開発に託すが、彼らの計画は町長やボスたちにすっかり横取りされてしまう。それ自体一つの巨大な病棟のような町で、渦巻き、もろくも崩壊していった彼らの野望を追いながら滑稽なまでの生の狂気を描く。
☆関連図書(既読)
「第四間氷期」安部公房著、新潮文庫、1970.11.10
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描写が生き生きしていてすごくよかった。舞台やキャラクター設定、SF要素なども、安部さんらしさ満載。雪にまどろむ寂れた町、診療所を与えられない医者、の組み合わせがカフカの「城」を思い出させる。
しかし、花井さんは骨の髄までしゃぶられっぱなしだったなぁ。同盟が空中分解くらいで済むのかなーと思ったら、予想以上にひどい結末だった。うーん。主人公二人の身の上が自分と重なってしまって、結構堪えた。
どんな思想があっても、どんな努力をしても、現実は壁だらけでどう行っても回り道だらけで、結局目的地にはたどり着かないまま歩かされ続けるんだよなぁ。
春が来て、窪地に落ちた小鳥の死骸が一瞬見せた可能性が切ない。
面白かったと言えば面白かったのだけど、どうもふに落ちないのは、花井の指導者としての采配がイマイチだったからかも。もっと頑張れるでしょ!まあ完璧だったらあの結末にはならないし、結局私の求めてるものにはならないんだろうけど。
というわけで、ちょっと残念な気持ちで星みっつ。
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現実の中にいきなりでてくる非現実。だけれども、非現実なのに、なぜか違和感を感じさせずに、リアリティをもつのは、安部公房ならでは。だから好きで読んでしまうんですよね。飢餓同盟も同じで、不思議な世界に誘われたいなら、ぜひとも読むべき1冊です。
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八方塞がりの現実のなかであがきもがいているわたしたちすべてのうちに、花井や矢根や森といった人間が現に住み着いていることを、わたしたちははっきりと知るべきだろう。(p268)
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ユートピアを目指すため革命を企てる男、花井の指導の下
町からどこか外れた人々がなんとなく集まってできた飢餓同盟
町の権力争いに巻き込まれてどんどん崩壊していく
秘密結社による革命という目的をめぐって
戦後の生きることに強烈な執着心を持った村人達がぶつかっていたり
花井がずれてしまった目的のために狂っていき、そのため周りの人たちが離れていく様子が
非現実な世界からとてもリアルな現実を突きつけてくる
最終的に狂ってしまった花井は村社会の発展のための生け贄なのか?
いろいろ考えさせられるのだが、何を考えさせられているのかまだ分からない
地熱についての科学的な記述とか
人間を計器にしてしまう想像力は安部公房ワールド全開で少し難解だった
“ひもちび”とか“ウルドック”なんていうもじりの言葉遊びが面白い。
複雑に絡んだ人間関係や権力関係、よくここまで作れるなぁ。
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【本の内容】
眠った魚のように山あいに沈む町花園。
この雪にとざされた小地方都市で、疎外されたよそ者たちは、革命のための秘密結社“飢餓同盟”のもとに団結し、権力への夢を地熱発電の開発に託すが、彼らの計画は町長やボスたちにすっかり横取りされてしまう。
それ自体一つの巨大な病棟のような町で、渦巻き、もろくも崩壊していった彼らの野望を追いながら滑稽なまでの生の狂気を描く。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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「全集4」収録のものを読了したので、ずるだけど本棚に加えちゃう。
地方政治の駆け引き、一攫千金を狙う地方人の希望と挫折、というあらすじはあるものの、そこは安部公房、卓越した物語設定と構成力、初期段階からすでに特徴のある比喩がちりばめられており、飽きない。
「飢餓同盟」というタイトルも秀逸だなぁ。
文庫で読んだのは大学生の頃だから、かれこれ30年近く昔かぁ(遠い目)。最近になって全集を読む、ということは、若いころ読んだ作品を再読することでもあり、当時読んだときの印象・とらえかたが全然違うんだなぁ、と感慨深い。ちっとは成長したのか俺?
文庫のカバーも現在のものとは違い、公房夫人の真知さんによるイラストで、自分はこの一連のカバーが好きだったなぁ。
それから、最初に読んだ当時は『方舟さくら丸』はまだ発表されていなかったのだが、『さくら丸』を読んだあとに『飢餓同盟』を読むと、この2作品の設定はけっこう似ている気がする。
『さくら丸』は安部公房晩年の作品だが、『飢餓同盟』のシチュエーションがみごとに磨かれていて、さすが、進化し続けるのが文豪なんだな、と再認識。
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「眠った魚のように山あいに沈む町花園。この雪にとざされた小地方都市で、疎外されたよそ者たちは、革命のための秘密結社“飢餓同盟"のもとに団結し、権力への夢を地熱発電の開発に託すが、彼らの計画は町長やボスたちにすっかり横取りされてしまう。それ自体一つの巨大な病棟のような町で、渦巻き、もろくも崩壊していった彼らの野望を追いながら滑稽なまでの生の狂気を描く。」(あらすじより)
全体的にぱっとしない町の欲にまみれた、どろどろとした話。だらだら続く印象。安倍公房にしてはあまりおもしろくないが、人間に薬を飲ませて温泉の地下水脈を探査させ、それを楽譜にたとえて表すといった考えが奇抜で安倍公房らしさを感じる。