紙の本
感性と感じ方
2022/10/29 21:07
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投稿者:ヒグラシカナ - この投稿者のレビュー一覧を見る
豊かな感性で音を捉える様子が随所に感じられて
気づいたら読み終えていました。
視覚障害者の方に案内をするときには
例えば「あと200mくらいで左に曲がります」というように
距離ではなく「あと何歩くらいで左に曲がります」歩数で
案内するとわかりやすいといったことも書かれてありました。
恥ずかしながら、共有していただかないと私は知らなかったので、
知ることが出来てよかったです。
年代問わず、おすすめの一冊だと思います。
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子どもが小さいころ何度も読んだ絵本「でんしゃはうたう」の作者三宮さんのエッセイ。何気なく手にとっていいなと思い、しかも名前が一緒で発行日が誕生日だったので運命にこじつけて即購入。視覚障害の三宮さんの日々はセンスオブワンダーでできている。匂いや音、手触りや足の裏の感覚など全身で世界を感じている。こんなにも世界は豊かなのに、自分がいかに目に頼りきって、視覚に偏った世界で生きているかがよくわかる。視覚以外の感覚を日々どれだけ使えているかどうか。感じることを味わいたい。子どもと一緒に。
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とても素敵な本だった。
作者の三宮さんは、目が見えない。
でも、いや、だから、かとても感じる力が細やかで、するどくて、やさしい。
目が見えないということを私たちは、きっとハンディだろうと想像する。
おそらく、ハンディになるシーンもすごくたくさんあることと思う。
でも、この本を読むと、むしろ目がみえることによって、逆に感じる機会を逸してしまっているのではないかとさえ思う。
そのくらい、三宮さんの「センスオブワンダー」が、美しい。
目が見えることがノイズになっていることに、気づいていないのかもしれない。
感覚を研ぎ澄ます。じいっと聞き入る、またそっと触ってみる、肌で感じてみる……人の感覚には、目で見る以外にもたくさんあるのだということを気づかせてもらえる。
また、その感じていることを言葉にし、伝えるということは、人間の根源の部分に関わる大切な、本当に大切なことだと気づかされる。
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盲目(シーンレス)の著者によるエッセイ。光を失うまでに、周りの大人により与えられた感覚体験が今の著者を作ったというようなことが書かれてた。
私にも3歳の娘がいるので、本物に触れさせることの大切さを感じた。
いろいろな習い事をさせられたけど、そのどれもが楽しむ、感じることを最終目的としていて、将来に役立つかなどという尺度はなかったというところが素敵。この方のご両親を見習いたい。
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4歳の後半から光を失った著者。
それまでの記憶と、そこからの体験によって、聴覚 嗅覚 触覚やピアノのレッスンによって得られた集中力によって、感じる感覚が研ぎ澄まされた。
200種類の鳥の声の聞き分けや、季節ごとの香りなど、その感覚は大変豊か。
ご本人の、何だぁ という好奇心や、役に立つ、立たない関係なく、ご家族の何でも体験させてあげるという姿勢があるからこそだと感じた。
子どもと接する機会がある方はすでにわかっているかもしれないが、小さいころの豊かな体験の大切さを改めて感じた。
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エッセーも絵本も大好きな三宮麻由子さんがこれまた大好きな『センス・オブ・ワンダー』(レイチェル・カーソン著)のオマージュのような本を書かれた『センス・オブ・何だあ?』
カーソンは「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要でないという。
自分の感じ方が、いかに視覚に頼っているのかが、三宮さんの感じ方を知ると分かる。
五感全てで感じたい。そして「何だあ?」で世界を広げたい。
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この地球に住んでいる一つの生命体として、一人の人間として、一人の日本列島上に暮らす人として、豊かに感じ、気づくことのできる人生を送っていきたいと改めて思えました。
自分はこれまで、自然の音や空気の匂いを敏感に感じるようにしている方だと思ってきましたが、著者の例示のレベルとは桁違いで、「感じる」幅が広がった気がします。センス・オブ・ワンダー入門編(もしくは姉妹編)と副題をつけたい。笑
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「季節の変化は匂いでわかるし、料理のできあがる過程は音の変化で楽しめる。感性の描写が得意な著者・三宮さんの文には身の回りの様々な情報を全身で感じ取るヒントがちりばめられていて、感じることの楽しさが伝わってきます。本書のタイトルは『センス・オブ・ワンダー』(レイチェル・カーソン著)へのオマージュが込められています。「知ること」は「感じること」の半分も重要ではない。」
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センスオブワンダーをもじった著書。「ワンダー」=「感じる」ことと、「何だあ」と疑問をもつことを大切にしようというメッセージを、目の見えない著者ならでは具体例を通して描いていく。
裸足で足の裏の感覚を楽しんだり、音で「地図」を描いたり、匂いで季節が進んでいくかんじを掴んだりと、視覚以外の感覚をフルに働かせて豊かな世界を楽しんでいる著者の姿が印象的だった。
何も見えない「シーンレス」な世界に比べて、感覚を働かせて周囲を豊かに感じることができる世界を「シーンフル」な世界と著者は呼んでいる。この「シーンフル」な世界を生きることの幸せを細やかに描いている。
この本を読むと、目の見える自分がいかに「シーンレス」な世界に生きていたのかということを感じさせられる。仕事の生産性を上げることとか、自分の能力を高めることとかばかり考えていたなあと、反省した。仕事のことや、自分の向上心を休ませて、自然と溶け込む時をもちたいなあと思った。
紡に味合わせてあげたい世界も「シーンフル」な世界で、世界を「シーンフル」に捉えていくことのできる感性を育ててあげたいと思った。
この本は小学校高学年くらいから読めるし、子どもたちにも読んでほしい。けれども、各章の最後の文章が子をもつ親に向けて書いてあるために、子ども自身が読むと「自分に向けて書かれていない」と感じてしまうかもしれない。そこが惜しい点。読者を意識して書くことはよいけれど、それを明示してしまうと、その読者層以外は排除されたような感覚になってしまうんだなということに気づいた。
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「センス・オブ・何だあ?」の感覚を、まさに息子と(息子の感覚を通して、といった方が正確か)体感しているからこそ、面白い一冊だった。
一歳をすぎて、ぐっと活動量が増えた息子と、よく近所の散歩に出かけるようになった。
いろいろなことに気づき、「ん!ん!」と指さし教えてくれるが、その細やかな感覚に、感心せずにはいられない。
最近は、風に揺れる葉っぱがお気に入りのよう。風の吹き方、吹く方向によって、葉っぱの大きさによって、ゆらゆら、バサバサ、ゴーゴー…
一言に「風に揺れる」といっても、さまざまな揺れ方があるんだな〜なんて、独り身のときには、気にも留めなかったことに、妙に感心したり。
息子と共に観察していると、今までは目にもくれなかったささやかなことに、たくさんの発見があり、楽しいと感じる。
もちろん、育児は目まぐるしく、時間勝負のときもあって、だから、毎日毎日ゆったりとした気持ちで過ごせるわけでもなく、急いでいるときは、足早に駆け抜けていってしまうことも多々ある。うわ、ちょっといま、そこに葉っぱはやめてくれ!と心の内で叫んでいることも。笑
が、無駄にスケジュールをいっぱいにして、いらんことに追い立てられるくらいだったら、日々のこうした時間のほうが、よほど豊かで、大切にしたいと思う。読んでいてその気持ちが一層強くなった。