紙の本
日本の確率論の基礎を築いた伊藤清氏の初のエッセイ集です!
2019/01/29 12:26
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、日本の確率論の基礎を気付き、第1回ガウス賞を受賞した伊藤清氏の初のエッセイ集です。内容は、多彩で、彼が数学者になるまでの生い立ちからはじまり、彼が考え出した「確率解析」の誕生秘話、忘れられない言葉や思い出、彼の周囲の人々との交流などが自由奔放に描かれています。なかなか興味深いので、ぜひ、多くの方々に読んでいただきたい一冊です。
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人柄がよくわかる。のんびり読めます。確率論ということではなく、数学との向き合いを書いている気がする。
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学生時代に少し触れたことのある確率微分方程式の生みの親の本と聞いて読んだ。本書はあまり数式には触れていない。どういう思考で発案したとかが書かれていて、大変参考になった。
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いわゆる純粋数学と応用数学の違いが非常にわかりやすく説明されていて、これまであいまいに理解していたものが明確になった。
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「伊藤の公式」で知られる確率論の大家、伊藤清の著作、講演集。数学の知識が無ければ読み解けない部分もあるにはありますが、そこを飛ばして読んだとしても面白いと思います。
科学では、基礎と応用という対比がよくなされます。数学で言うと、基礎=純粋数学、応用=工業、経済の数学といったイメージが一般的でしょう。しかし、若き日の伊藤少年の見る目は「宇宙の原理、原則を研究するのが哲学」であり、数学はその哲学の1手段なのだ、という考えでした。したがって、哲学的な数学とは、数学の構造を調べる抽象数学ではなく、物理現象を読み解くツールとしての数学であってそれが確率論における大きな成果を導いた、と読み解けます。いま、確率・統計が世界を読み解く重要なテーマとなっていると感じていますが、違った視点で見ることができました。
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図書館で借りた。
数学者であり、確率解析学の基礎を築いた伊藤清氏のエッセイ集だ。1冊丸々記したものではなく、いろいろな所で書かれた記事を寄せ集めた形式であることは注意しておきたい。
「物理学者ならこう見るが、数学者の場合は~と見る…」というくだりは、非常に面白い。最近ではYoutube界隈でもよく見る、理系あるある的な話題とも思う。読めば読むほど、確率論、ひいては数学をもっと学びたくなるエッセイとも感じる。
コルモゴロフに会ったというだけでも驚きだが、ドイツ語で会話したというのも面白い。やはりこのレベルの学者センセイは、英語だけでなくドイツ語も堪能なのね…と感じる。
隙間に読む本としては、楽しめる「数学読み物」だ。興味があれば是非オススメな1冊。