紙の本
暴力とは何かと。
2024/03/28 21:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:おじゃもんくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「暴力論」と言う言葉に惹かれて、手に取った一冊です。
それも「死なないための暴力論」やし。
著者はまず、「暴力」の定義に紙面を割いている。
当然「怖いもの」「痛いもの」「嫌なもの」なのだが。
国家からの力の行使も、暴力としている。
警察力と言う暴力装置と、問答無用の徴税システム。
そして、ドンドン増税して行く。
また、資本主義は低下層の人々から搾取を繰り返し。
資本家達は富み、私達からさらに搾取して格差を広げる。
家長制度は、男性優位の社会を作り女性劣位のシステムを作り。
世界は、暴力にあふれている。
色々例を読んで、ナルホドそれらも「暴力」と言えるなぁ。
と、思いました。
ではそれに対抗するのには、「暴力反対」「暴力はいけません」で良いのか?の問いになるのですね。
その後「暴力の思想史」に話しは移り、暴力の定義づけから「非暴力だけで勝てるのか」と言う問いも。
続いて、支配搾取する「上からの暴力」の事例を。
そして、自律・抵抗する「下からの半暴力」の事例を。
英国での、「女性の参政権」を勝ち取るまでの流れ。
民族解放の歴史を複数紹介。
権利の獲得って、ホンマに「暴力」と「半暴力」の戦いなのね。
最後に、「私たちの闘い方」を示して終了。
いやー、頭を使いメチャメチャ疲れた一冊でした。
投稿元:
レビューを見る
暴力の政治性・政治の暴力性 暴力の多様性 世界:暴力的な私たち 生≒強奪 誰もが加害者に 暴力の思想史ーソレル・ベンヤミン・ファノン・マスミ 非暴力を批判ーマンデラ・ガンジー・キング牧師・マルコムX 支配・搾取す、上からの暴力:構造的暴力 ショック・ドクトリン 廃絶運動 産獄複合体 システム廃絶 自律・抵抗する、下からの反暴力:サフラジェット 強制摂食 女性参政権獲得 統治と抵抗 反体制・半操行 サパティスタ民族解放軍 ロジャヴァ革命 反暴力を定義 暴力の手前にあるもの:相互扶助 抵抗運動 私たちの闘い方
投稿元:
レビューを見る
「ヨーロッパ・コーリング リターンズ」等のブレイディみかこさんが帯文を書いていたので購入。
「暴力」の定義が(私の読みが上手くないからかもしれないが)たとえばシャープの論と比べて読み取りにくい気がした。
しかし、「ロジャヴァ革命」にかんして書かれた以降の文章はこの暗澹とした世界に希望を持たせてくれる。問題は我々が「青写真を引きつつ」決起できるかどうかというところか。
だから、欲をいえばシャープの論とフーコーのレイシズム定義を踏まえて、「ある人間(ら)が他の人間(としたもの、あるいは動物)たちを、自分らと同様に尊重しないときどうたたかうか」の具体的レヴェルの暴力論を聞きたかったナァと。
投稿元:
レビューを見る
アナキズムの入門書としてまとまっていると思いました。
やっぱりグレーバーの影響力って大きいですね。亡くなったのがとても残念。
まずは誰のために「働いている」のかってところを再考すべきだと思うのですが、皆さんあんまり疑問を持っておられないようで・・ 資本主義は生き残りのためにますます一極集中に邁進し、人々に負債を押しつけて搾取を続けていくのでしょう。子ども食堂のような相互扶助のシステムを評価しているようなふりをしながら、それらがコミュニティーセンターとして機能するようになれば潰しにかかるかもしれません。いかにして地方に分散した拠点を作るか、ですかね。
投稿元:
レビューを見る
日本+アナキスト+暴力論=難波大助の計算式を崩し難波のナの字も出てこない。いい意味で裏切られた感はある。しかし、そもそも自由になりたいのなら、アナキズムと言う枠を拒否していいはず。在特会にも生きさせろにもデルクイにもノレないのは、さしずめ中立になるのかもしれないが、現実に向き合うとこうなる訳で。右でも左でもないではなく、右も左もいちいちウザい。自由と言うものを考えた時、その自由に対して自由を奪われている人がいる事だけは考えていきたい。
投稿元:
レビューを見る
どこかの書評で見たのと、帯のコメントに惹かれて。暴力と聞くと、反射的に”反対!”って思い浮かんでしまうクチなので、書店で見たときはちょっと敬遠してしまったんだけど、そういう短絡的な判断は良くないな、と改めて。当たり前なんだけど、暴力全般を是としている訳もなく、理不尽なハラスメント的力に対して、最低限の力は必要だよな、って話。両方向を”暴力”で表してしまうから分かりづらいのであって、上からの”暴”力に対し、下からは”防”力とでも記せば、意義が分かりやすくて良いのかも。今書きながら思いついたんだけど、なかなかのナイスアイデアだな、これ。
投稿元:
レビューを見る
暴力反対!
非暴力以外は認めない!と短絡的に考えてしまう方は、プーチンのウクライナ侵攻を止めるために、国家と国民を差し出せば良いと考えているのだろうか?
暴力とは何か?
一般論として、いまは腕力により他者に害をなすことだけが暴力だと考えている人は少ないと思う。
でも、短絡的に暴力は良くないと考える人は多いような気がする。
プーチンの侵攻に対して闘う武力の行使は、暴力なのか?
イスラエルのガザ侵攻は、暴力なのか?
国による国民財産の強制的な剥奪(税ともいう)はどうか?など、現実問題として人類の歴史の中で綿々と続く暴力について、歴史、過去の議論を踏まえ考察する。
暴力反対と安易に考える人は、暴力とは何かをまず考えるべきだと思う。