紙の本
発達心理学の素材の宝庫、冒険小説の精髄
2009/12/12 09:49
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:風紋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
トムは、活力あふれる少年である。悪戯はまいどのことで、くんずほぐれつの喧嘩は日常茶飯事。遊びに熱心だから当然勉強はできないのに、才覚をはたらかせて成績優秀者の表彰を受けたりする。たちまちボロをだして大恥をかくのだけれども。
幼い恋をして、痴話喧嘩もする。しかし、彼女が失策をおかして窮地に立つと、自ら進みでて彼女の身代わりに教師の鞭を引き受ける。
親代わりのポリー伯母さんから理不尽な叱責を受けると、友人をかたらってサッサと家出したりする。失踪した子どもたちが見つからないので、村民が彼らの葬儀を行っている最中に姿をあらわし、涙をたちまち大いなる歓喜にかえてしまう茶目っけもある。
茶目気は愛すべきだが、ポリー伯母さんもたいへんだ。
殺人を目撃して恐怖にふるえあがるが、誤認逮捕された容疑者を救うために敢然として証人として名乗り出る。なかなかの勇気だ。
この殺人は、トムとハックルベリィ・フィンが宝探しに熱中している最中に生じた事件であった。宝探しの成果は・・・・未読の読者のためには言わぬが華である。
子どもの心を生き生きとえがいて、他に比肩する作品は、ないとは言わないが、本書を凌駕する作品は稀れだろう。
児童心理学の素材になりそうなエピソードが満載されている。
たとえば、ロビン・フッドほか本で知った活劇を模倣するゴッゴ遊びは、少年が歴史を受け継ぎ、大人の仲間入りをする準備作業である。
子どもの心をつうじて、おとなの心も洞察する。げにも、子どもはおとなの先生である。たとえば、動機づけの心理学。
お仕置きで苦行を命じられると、苦行どころか、その逆に滅多なことではやれはしない楽しみだと芝居して他の子どもたちの関心をひき、塀のペンキ塗りをさせてやる。ペンキ塗りをさせてやる代わりに、彼らのささやかな財産を巻きあげて。
この時、トムは「周囲に起こった変化を、あれこれ思いめぐらし」ただけだが、「大人でも子どもでも、あるものをほしがらせようと思ったら、それを容易に手に入れにくいと思わせさえすればいい」「仕事というものは人がやらなければならないものであり、遊びとは人がやらなくてもかまわないものだ」と著者は解説するのである。
要するに、本書は発達心理学の素材の宝庫である。
そして、本書は冒険小説の精髄である。世にあまたとある冒険小説は、本書をすこし巧緻にしたか、もしくは大がかりにしたものにすぎない。
21世紀に生きる者としては、先住民に対する偏見が気になる。
ある登場人物はいう。「それで、すっかりわかった。おまえが、耳をそぐとか鼻をたち割るとか言ったとき、わしは、おまえが、いいかげんなほらを吹いているんだと思っていた--白人は、そういう復讐をしないものだからね--だが、インディアンなら、やりかねない。インディアンとなると話が別だ」
だが、これはあくまでも、本(原著は1876年刊)の中の一登場人物の意見である。
インディアンに対する著者の見解は述べられていない。しかし、つぎのくだりから、著者マーク・トゥエンの考えを推定することはできるだろう。
物語の終わりに、トムはインディアン・ジョーに対する見方を変える。
インディアン・ジョーは洞窟に閉じこめられ、飢えに苦しんでコウモリを食べ、ロウソクを食らい、なお餓死した。殺人の罪を他人になすりつけて平然たるインディアン・ジョーだったが、その末路にトムは「強く胸をうたれた」
インディアン・ジョーの末路は、米国の、すくなからぬ先住民の末路を象徴している。
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子供向けのリライトしか読んでなかった。予想以上の面白さ。アメリカ人の元気さの素はこういうことなんだろうな。
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超有名な、元気いっぱいで健全な少年文学。アメリカの大らかさに憧れる。ハックが効いてるなー、ある意味彼がピーター・パン。
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あー、いいな!
読み継がれてきているだけあって間違いはない。
実は一旦読むのを投げ出したんですが、再着手して良かったと思えた一冊。だってねえ、可愛いんだものまぶしいんだもの。
ハックがお気に入りです。続刊買ってしまうかもしれない。
夏休み一日一冊計画、二冊目。
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児童文学だと、思っていたが違った。
人種差別問題など、時代背景をしっかり描写しつつ、子供の持つ純粋さを描いている作品だと思った。
ファンタジー性もあって、物語の展開がスピーディで読みやすい。
(英米文学概論の課題図書)
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少年文学だと思って侮るなかれ。
本当はハックルベリー・フィンが読みたかったんですが。
読んでみます。
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昔、アニメで見たのを思い出して、読みました。
子供向けの話かなと思いきや、大人になった今でも、洞窟や空き家を探検するところなど読んでいて、まさに手に汗握るという感じ。
ところどころ、主人公以外の人物の気持ちの描写がうまく表現されていて、「そうそう、わかる」という感じで、その場面をより一層鮮明に思い描くことができました。
インジャン・ジョーの話のところはすごくおもしろい。,
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少年のころは、毎日が冒険だったね~。ペンキ塗りの話やインジャン・ジョーとのスリルある対決に、読んでいて飽きないオモシロさ。
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The Adventures of Tom Sawyer(1876年、米)。
底抜けに明るく、冒険心に富み、罪のない程度に反抗的。トム・ソーヤーは「愛すべき悪童」的キャラクターの原型だ。と同時に、粗野だが根は善良な「陽気なヤンキー」の典型でもある。楽観主義に根ざした牧歌的な世界観は、そのまま「古き良きアメリカ」の象徴のよう。とはいえ、腕白な少年たちの織り成す微笑ましいエピソードに、国や時代は違っても、懐かしさを感じる人は多いはず。児童文学だが、むしろ大人になってからの方が、その真価が分かる作品かもしれない。
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茶目っ気たっぷりの腕白少年トムは、町の浮浪児宿なしハックを相棒に、いたずらの数々・・・家を抜け出し、海賊気取りの冒険旅行、真夜中の墓地での殺人の目撃、迷路のような洞窟での宝探し、そして恋。ミシシッピ河沿いの小さな田舎町を舞台に、子供の夢と冒険を爽快なユーモアとスリルいっぱいに描く、大らかな自然と自由への讃歌。
児童文学の傑作と呼ばれる本書ではあるが、大人が読んでも十分に楽しめる。子供ならではの純粋な気持ちや様々な物事に対する好奇心を再び呼び醒ましてくれるような、生き生きとした生命力が本の中からリアルに感じられた。これは文句なしに、「おもしろい」と呼べる一冊。
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子供のために自分が先に読むつもりで、軽い気持ちで読み始めた。読むにつれ、話が面白く、読んでいて楽しくなってきた。自分が子供の頃にこの本に出会いたかった。
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すごい!面白い!爽快だ!
大人になった自分が読んでみて、なんだか心が洗われるようだった。作中のユーモアもかなり面白い!
冒険心を思い出させ、好奇心を掻き立てるような本だった。
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こないだふと、この名作を読みたくなって買ってきた。子供の頃に何回も読んでは悪童トムの冒険ややんちゃぶりに心踊らされ、トムの生活を心底羨んでいたのです。
トムは行動力もあるが口もうまい。子供はトムの言うことに目を輝かせ、大人はコロッと騙される。
最後のハックルベリー・フィンをうまく説得するあたりなんか、感心してしまった。
大人になっても色褪せない名作、子供のころに読んでいて本当によかったと思います。次はハックルベリー・フィンの冒険を探さなくちゃ。
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一度は読んでおかねば、という思いで何度も挫折しながらやっと読了。痛快な冒険ものにさほど心惹かれないので、買ってから7年ぐらい本棚に眠らせていた。ハックルベリイ・フィンがどうしても「小さな恋のメロディ」のトム・オーンショウくんをイメージしてしまう。恋の描写が意外と大人。作者が「子供向けに書いたつもりはない」といっていた気がするが、読んでみると確かにそう。個人的にはポリーおばさんが好き。
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初めて買ってもらったファミコンのソフトがスクウェアのトムソーヤーだったんだなーこれが笑
でも読んだことはなかったと!!
いやーおもしろかったねー
期待通りの純粋なお話!!いいお話!!
素朴に描かれてるトムと周りの人々の日々、よい!!笑
まあもうちょいスケールのでかい冒険も期待してたけど、
このページ数じゃ無理よね。